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【AmazonPrime】「ライダーズ・オブ・ジャスティス」 マッツ・ミケルセン主演。皮肉で残酷なユーモアと文学性

<概要>

妻が列車事故で亡くなったという報せを受け、軍人のマークスはアフガニスタンでの任務を離れ娘の下へ帰国する。悲しみに暮れる娘を前に無力感にさいなまれるマークスだったが、彼の下を二人の男が訪ねてくる。その中の一人、妻と同じ列車に乗っていたという数学者のオットーは、事故は“ライダーズ・オブ・ジャスティス”と言う犯罪組織が、殺人事件の重要な証人を暗殺するために周到に計画された事件だとマークスに告げるが…。(Amazon公式サイトより)

<評価>

2020年のデンマーク映画。アマプラでタダで見られる。

マッツ・ミケルセン主演のアクション映画かあ、と何の予備知識もなく見はじめて、見事な背負い投げを食らったような一作。

リーアム・ニーソンが演りそうなアクション映画、と見せかけて、シリアスな人間ドラマか、と見せかけて、コメディ?ナンセンス劇?と見せかけて、実は・・と何重にも仕掛けがあって展開が読めない、心地よい驚きの連続。

アクション要素もありますが、最終的には、人間と社会への深い洞察、ヨーロッパ的な知性とヒューマニズムというやつを感じる。ブンガク的でした。

「特捜部Q」のニコライ・リー・カースはじめ、名優を集めたアンサンブルのなかで、マッツ・ミケルセンも本気の名演を見せている。この人、「インディー・ジョーンズ」の新作でも評判がよく、最近評価爆上がりだけど、こういう豊かな環境で演技を磨いてきたからこそだなあ、と思った。

デンマークのドラマでは、5月にNetflixの「ザ・ナース」を取り上げた。


この「ライダーズ・オブ・ジャスティス」では、デンマーク文化のさらに深いところがわかる。マッツ・ミケルセンはアフガニスタンで戦っている軍人の役だが、デンマークのアフガニスタン派兵というのも、日本人があまり知らないことではなかろうか。

ラース・フォン・トリアー「キングダム」以来の、デンマークの一筋縄ではいかない、「京都」的というか、ちょっと残酷なユーモアのセンスが面白い。ヨーロッパにおけるウクライナ人の扱いなんかもわかる。ウクライナ戦争後だと、こういう描き方はできなかっただろう。

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