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「組合」に支配されるマスコミ

異様な攻撃で杉田水脈議員を辞職に追い込もうとしているマスコミ。

その中心、朝日、毎日、共同、東京・北海道・西日本などのブロック紙、の背後には、新聞労連がいるのかもしれない。

杉田議員は差別発言謝罪を 新聞労連が声明
たぶん、他のいろいろなことも、背後にあるのは新聞労連なのですね
(神奈川県人権啓発センター)


それは、神奈川県人権啓発センターの宮部龍彦さんが出演した昨夜の「デイリーWill」でも述べられていた。


新聞労連かあ。

全国100近い新聞社の組合を傘下に置く団体である。

私も新聞社に勤めていたので、毎月、会社の組合をつうじて新聞労連に貢いでいた。全部合わせれば相当な金額になるはずだ。


組合にさからえない仕組み


はるか昔の話だが、新聞の入社式の日のことを覚えている。

会社による入社式が終わったあと、「もう少しお話がある」といって、新入社員が残された。

そこで、労働組合の幹部が登場する。そして、

「ようこそ、〇〇新聞労働組合へ。みなさんは今日から組合員。組合から除名されたら、会社をクビになるので注意してください」


という恐ろしい事実を知らされる。


新聞社に入社を希望したが、労働組合員になりたいわけではなかった。でも、組合をクビになったら会社もクビだというのである。


組合は任意団体であり、労働者の団体行動は権利ではあるが(憲法28条)、義務ではないはずだ。

これは憲法違反ではないか、との疑問が頭をかすめたが、まあ入社早々であり、組合が労働者の権利を守ってくれるならいいか、と深くは考えなかった。

組合費も、問答無用で毎月天引きされた。


ユニオンショップ制というやつだが、でも、あれはやっぱりおかしい。

ユニオンショップ制について、ネットにこんな解説があった。


労働組合への加入・脱退は原則として自由であり、強制することはできません。
ただし、ユニオンショップという例外があるので注意が必要です。
ユニオンショップとは、会社が労働組合との協定に基づいて、組合員ではない者を解雇する義務を負うという制度です。


ユニオンショップ制でも、厳密に言えば、組合を脱退する自由があるはずである。

しかし、そんなことをすれば、会社からも、組合からもイジメの対象になるのが目に見えている。

となれば、クローズドショップ制(会社が特定の労働組合員から雇用しなければならない制度)と同じではないか、とずっと思っていた。

思ってはいたが、めんどくさいのでそのままにしていた。


ともかく、組合に嫌われたら、会社をクビになるのだから、社員は2つの会社に所属しているようなものである。

会社とも組合とも仲良くしなければ、出世できない。

組合で「出世」すれば、会社でもそれなりの待遇を得る。

しかし、組合にさからったら、新聞社では出世はできず、下手すると閑職やクビにおいこまれる。

という仕組みを、私はだんだん学んでいったが、学ぶのが遅すぎた。


政治運動ばかり


新聞労連は、やれ改憲を許すなだの、安倍を引きずりおろせだの、ことあるごとにストだの政治運動ばかりしていた。

新聞労連は共産党系という人がいたが、とにかくドサヨクだった。

なんじゃこれは、と思った私は、「組合アンケート」というのが回ってくるたび、

「私の払う組合費で、私の意見とはちがう政治活動をされるのは困る。やめてもらえないか。ほかの組合員からは苦情は出ないのか」

と抗議した。

アンケートに書くくらいで、それ以上の行動をとったわけではないが、いまから思えば、あんなことを書いてたから、組合の不興を買い、オレは出世できなかったにちがいない。


封建的な秩序


だいたい、私は新聞社が好きではない。

新聞記者が威張りすぎである。

新聞社にいるのは新聞記者だけではない。販売局員や広告局員、総務の人たちもいる。

しかし、出世するのは新聞記者だけである。身分制がすごいのだ。

オウム真理教事件を題材にした小説「平成の亡霊」で、私は新聞社を「記者が殿様の封建社会」と書いた。


新聞記者なんて、たいがい大学で学生運動をして勉強なんかせず、せいぜい左翼系の社会学か経済学をかじってるくらいの連中だった。

もともと浮世離れしたアタマの持ち主で、経営なんかわかるはずがない。しかし、そいつらが、販売や広告のトップに立ち、役員を独占する。

新聞社の経営の厳しさを、身に沁みて知っているのは、販売や広告の人間なのに、彼らが経営のかじをとることは許されない。

「そんな左翼偏向したら、新聞が売れませんよ」

と彼らは新聞記者に言えない。

なぜなら、ゆくゆくは新聞記者が、自分たちの上司になり、自分たちの人事権を握ることを知っているからだ。(そして、新聞記者がつくる赤字の尻ぬぐいばかりやらされる。)


この「身分制」を、組合もそっくりそのまま反映する。

組合でいつも威張っているのは、新聞記者、しかも所帯の大きい社会部や政治部の連中だ。

組合委員長は新聞記者に決まっており、ここでもその他は「部下」である。

最近でこそ、世間体をおもんばかって変わったが、男女差別もひどかった。

弱い労働者の味方などではなく、会社組織の補完物でしかなかった。

昔からそうだ。大正時代に印刷工がストライキをしたとき、新聞記者が彼らを見捨てたことを、以前、書いたことがある。


組合が左翼の出世コースに


ただ、こういうことは、日本の企業内組合にありがちなことかもしれない。

高度成長期、組合の幹部を務めた者が、会社の労担(労務担当重役)になる、というコースがあった。

それは、新聞社にもあった。つまり組合は、会社の出世のステップの一つでもあった。


ただ、いまから振り返れば、新聞社において、会社と組合の関係は、変質していったように思える。

むかしは、組合で「出世」した者が、会社でも出世した。

それが、いつしか、会社で出世できなかった者が、組合を通じてキャリアを追求するようになる。


1991年、ソ連が崩壊したのと同時に、朝日新聞の「朝日ジャーナル」が廃刊した。

冷戦が終わり、新聞社内に「左翼」の居場所がなくなったことを象徴していた。

それに抗議して、朝日のエース記者、本多勝一が退社し、佐高信らと「週刊金曜日」を作った。

いっぽう、本多勝一は、「朝日ジャーナル」での連載(貧困なる精神)を、毎日新聞の「サンデー毎日」で続けた。

これらの媒体が、それ以後、新聞社の左翼の一つの拠点になる。

最近の田中優子など、TBSやテレビ朝日に配給される左翼コメンテーターが、同時に「週刊金曜日」や「サンデー毎日」などと関係を持つことも多い。


そのあとの2000年代は、前に記した日本赤軍の噂がある人も含めて、団塊サヨクがマスコミ各社の役員に入り始めた時期だった。左翼「労使」の呼応があったかもしれない。

(あるいは、会社側としても、左翼が社外に出て行って「自活」してくれれば、厄介払いできてよかったのかもしれない。)


それと同時に、新聞労連は、いよいよ社内左翼の逃避場所になった気がする。

毎日新聞の北村肇が、

新聞労連委員長→サンデー毎日編集長→週刊金曜日社長

というルートで「出世」したのが典型だろう。


昔は左翼記者は、社会党なりから選挙に出るルートがあったが、1990年代後半以降はそうした道も細くなった。

だから、社内に居場所がなくなった左翼記者のための、互助会的組織が必要だったのではないか。


居場所がなくなって会社をやめても、ただの「ジャーナリスト」ではなく、「元新聞労連委員長」という肩書がつけば、仕事を得やすいだろう。

社会部長になるよりも会社の組合委員長になる方が容易だし、会社の役員になるよりも新聞労連の委員長になる方が容易だ。


そのころ、新聞労連は、「ジャーナリズム大賞」という「左翼偏向記事へのご褒美」みたいな賞をつくる(上記の北村肇が創設したとされる)。

組合がジャーナリズムを評価するのである。組合にそんな資格があるのか。

ユーキャンの「流行語大賞」より、さらに露骨に左翼くさい。

しかし、これも、左翼記者に箔をつけさせ、キャリアの一助にするためのものといえる。

つまり、新聞労連は、いつしか、一般新聞労働者、組合員のためのものではなく、社内失業した左翼のための、キャリア救済団体へと変化した、と言うと言いすぎだろうか。


活動家のためのマスコミ


いずれにせよ、新聞労連が「杉田水脈」の議員辞職を要求した、というニュースを見れば、世間の人は、それを新聞社や記者の総意と誤解しかねない。

そう誤解させるのが彼らの目的だろうが、決して「総意」ではなく、たぶん多数意見でもないことは、以上の説明でわかると思う。

しかし、新聞社も、一般の組合員も、新聞労連上層部をコントロールできないのだ。

にもかかわらず、新聞業界は(未加盟の産経などを除いて)新聞労連を業界組織の一部として抱えざるを得ず、その意向を無視できず、その存在との妥協をつねに強いられている。そこに、新聞業界の構造的問題がある。


ともあれ、新聞労連のそうした活動が功を奏したのか。

私が新聞社をやめるころ、ひところ影をひそめていた左翼記者の存在が、社内でまた大きくなったことを感じていた。

安倍晋三の政権が長引いたことを背景に、世間でも、東京新聞の望月イソコなどが「新聞記者」代表のように持ち上げられていた。


通常、管理職になれば組合員でなくなるが、左翼活動を目的に新聞社に入った者は、取材と称して会社にもあまり現れず、昇進を避ける傾向があった。

望月イソコ記者も、日本を代表する「新聞記者」なのだから、そろそろ東京新聞の編集局長になってほしいところだが、そういう話は聞かない。

出世せず、組合員でありつづけ、新聞労連の威光をバックにしたほうが、自由に現場で活動できる。

(そんなふうにして、マスコミの職場で「アンタッチャブル」=誰も文句が言えない存在=になる活動家を、私は長年見てきた。)


左派メディアの背後には新聞労連があり、報道の現場に、抗いがたい影響力をおよぼしているのかもしれない。

その後のことを考えると、私は、あのころ辞めてよかったと、しみじみ思う。

自分も安倍晋三暗殺団の一員になるところだった。


だが、私もそれなりに努力はしたつもりだが、新聞社の左傾化を防げなかったーーひいては安倍さん暗殺を防げなかったーー責任は感じる。

いま、杉田水脈に「議員辞職しろ」とワーワー騒いでいる新聞労連に言いたいことは、ひとつだけだ。

私が払った組合費を返してほしい。







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