【Netflix】「ジェニファーのしたこと」邪悪な恋
<概要>
ジェニファーのしたこと
2024 | 年齢制限:13+ | 1時間 27分 | ドキュメンタリー
両親が銃で撃たれたと警察に緊急通報したジェニファー・パン。彼女への事情聴取を中心に警察の捜査が進むなか、事件は衝撃的な展開を見せる。
<評価>
カナダの閑静な住宅街で起きた事件。
ベトナム系移民の夫婦が自宅で銃撃され、妻は死亡、夫は意識不明の重体。
居合わせた一人娘の20代のジェニファーが警察に通報した。
登場人物が言うように、きわめて「後味が悪い」ドキュメンタリーだが、面白い。
以下、ネタバレあり。(少しスペース空けます)
容易に想像できるように、犯人はジェニファーだった。
両親から過大な期待をかけられ、そのプレッシャーで苦しんで、親を恨んでいた。(アジア系移民の上昇志向が背景にある)
わたしが興味深いと思ったのは、おそらくジェニファーは、自分の犯行を「恋ゆえの暴走」と思っていただろう、ということだ。
ジャニファーは、ダニエルというボーイフレンドとの交際を、親に邪魔されていると思っていた。
親から見れば、麻薬の売人であるダニエルとの交際など、許すわけにいかなかった。
しかし、ジェニファーから見れば、その反社会的なダニエルだけが、自分に「過大な期待」をしない、緊張しないで済む、自分をありのまま受け入れてくれる、唯一の存在だったのだろう。
その心理は、わからないではないとはいえ、悲劇的なのは、ダニエルはジェニファーを愛しているわけではない、ということだ。
実際、自分にしがみつくジェニファーをうっとうしく思い、ダニエルはジェニファーと別れるのだが、ジェニファーはそれを許さない。
ダニエルが自分を愛していない、という現実そのものを、ジェニファーは否認する。
この番組のなかで、あまり掘り下げられていないが、おそらくこの事件は、ジェニファーが反社的な男と別れたくないから起こった。
ジェニファーは、ダニエルを巻き込んで、両親の殺害を計画する(ダニエルに銃撃犯の手配を依頼する)。
それによって、ダニエルとの交際の邪魔者である両親を消すとともに、ダニエルと共犯者という絆で結ばれることを望んだのだろう。
そして、ジェニファーは、この邪悪な計画のすべてを、自分の恋の成就のためだと正当化したのだと思う。
でも、それはもう「恋」とはべつのものだとわたしは思うが、女はときどき、こんな「邪悪な恋」をするのを、わたしも人生のなかで何度か見てきた。
<参考>
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