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見てるか兄よ。この人が母でよかったな兄よ。

引き続き、おかやまZINEスタジアムに出品するZINEに掲載するクとエッセイの紹介です。

最後は今回のZINE制作の発案者でもある、岡山の港町・宇野で暮らすライターのハルカです。

見てるか兄よ。この人が母でよかったな兄よ。
 2019 年、ギリギリコロナ前に 開かれた兄の結婚式の話である。 式は滞りなく進み、新郎の退場の 時にサプライズで妹が呼ばれてス ピーチをするというあるあるのコーナーも難なくこなした。正直、 絶対に呼ばれると思っていたので、前日の夜にいい感じの尺と兄が喜ぶであろう内容を考えてしっかりと覚えておいた。兄はまんまと「泣きそうだった」と喜んだ。 最後の参列者お見送りのタイミ ングでは、私も母の隣に並び一人一人にお礼を伝えた。
 兄の友人がゾロゾロと出てき始めると、母は兄の友人全員と固い握手を交わして「ありがとう。これからもよろしくね」と力強く一人一人に伝えていた。「兄よ、見ているか?」私は思った。結婚式はこの瞬間のためだったんじゃない?と。家族に「私たちはこれだけの人に支えられて生きてきました。だから安心してね」と伝え、そして家族もまた「子がお世話になりました」と伝えられる時間。あの固い固い握手を兄は見ていただろうか。 兄よ、私たちはこの人が母親でよかったね。

テーマ:結婚式

ここまで主催3人のクとエッセイを紹介してきました。
ここまでお読みいただいた方はもうおわかりかと思いますが、とてもゆるーい句会です(「句会」と名乗る自信もなく、「ク会」と自称しています)。

こんなゆるい会なら参加してもいいかも、という奇特な方がいらっしゃれば、ぜひコメントなどでご連絡ください。お待ちしてます!

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