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喪服にまで肩パッド

2023年1月からノリで始めた自由律俳句の会「かきク会」。

来る2024年2月25日(というか明日)に開催される「おかやまZINEスタジアム」にこれまでの活動をまとめたZINEを出品します。

ZINEの制作にあたって主催3人が書き下ろしたクにまつわるエッセイをnoteで公開することにしました。

ひとり目は東京でうんちの会社に勤めているサイミです。

喪服にまで肩パッド 
 不思議なものを見ると触りたくなる。動物の習性だろうか。
 あの頃のプードルのような前髪に、鼠径部が白いハイレグ。そして、フランケンシュタインを彷彿させる肩パッド。流行は繰り返すというが、いつの時代も流れるままに受けとる者もいれば、流したままの者もいるだろう。前者の母は、「あの頃は、ハイレグの水着しか売ってなかったんだから」と懐かしく呟いた。
 ひとり遊びが好きだった幼少期、アルバムを眺めることに時間を費やしていた。何をそんなに熱心に見ていたのかと今は思うが、完全にマイブームだった。自分のいない時代の写真を見ては、お気に入りを机の中にしまっていた。キジバト色のスキーウェアに身を包む父と、和田アキ子ヘアーの母。結婚してすぐのふたりは、どちらも脚が長くて肩を張っていて可笑しかった。
数年前、その当時に祖父に買ってもらったという喪服を母から譲り受けた。 「大パパは呉服屋で働いていたから、いい生地のを買ってくれたの」と。大好きだった祖父のお通夜、鏡に映る自分の肩を、ぎゅっと握った。

【テーマ:時代】

かきク会は月イチ、オンラインにて開催しています。
おそらく日本でいちばんハードルの低い句会です。
この記事で興味を持った方がいらっしゃれば、お気軽にご参加いただければうれしいです(参加方法はこのnoteなどで随時ご案内します)。



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