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出雲大社で駄目ならばもう

前回に続き、おかやまZINEスタジアムに出品するZINEに掲載するクとエッセイを紹介します。

ふたり目は岐阜の自宅を私設図書室にしようと企むカタヤマです。

出雲大社で駄目ならばもう
 3歳上の姉がいる。
 恋人ができると、姉は家族に会わせたがった。わたしもそのたびに姉とその恋人にご飯に連れて行ってもらった。男たちにはいい人もいれば、正直言って「なぜこんな人と…?」という人もいた。食事の時の姉は楽しそうだったが、彼らとの関係はあまり長続きしなかった。当時、たまに出会うといつも「はやく結婚したい」と言っていた気がする。
 ちょうどその頃、久々の家族旅行で山陰に出かけた。旅の目的地のひとつが出雲大社だった。出雲大社といえば日本で最も高名な縁結びの神社。ただ参拝するだけでは満足できなかったのか、姉はご祈祷の申し込みまでしていた。ご祈祷が終わるのを待ちながらつらつらと考えていたのは、ここで駄目だったなら諦めるか、もしくは海外のガチなスピリチュアルに頼るしかないんじゃないか、ということだった。ケルトの黒魔術とかハイチのブードゥーとか(よう知らんけど)。あの人だったら行きかねない、と思っているうちにご祈祷は終わっていた。
 そんな姉もその数年後に結婚することができた(お相手はトムクルーズ似のハーフ男性)。今では2児の男の子を持つ母である。出雲大社にお礼参りに行ったかは知らない。

テーマ;縁

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