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第一回講習会(フロー教育/ツール教育) - けんちく学園

 11/6に早稲田大学理工キャンパスにて、けんちく学園の第一回講習会を開催しました。25人ほどが参加し、3人のTAの助力もあり講習会は概ね成功と言える結果となりました。
 これは一回きりのRhinoceros(RH)/Grasshopper(GH)の講習会ではありません。①基礎理論、②アルゴリズム、③ツール の3つの軸を全て教え込み実践することによって、「けんちくエリート」を育成することができます。

講習の全体像

目次

 今回の講習会は単なるRH/ GHの講習会ではありません。目次に示しているようにこの活動はけんちく学園の活動の一環であり、その3軸のうちの一つ「ツール教育」をメインに据えた統合的なレクチャーになります。

けんちく学園に関して

 けんちく学園は ①基礎理論、②フロー、③ツール の3軸を研究/教育によって充実させることを目的にした機関です。その中でも今回の教育はフローとツールに関する内容になっています。

建築基本設計フロー概論

 設計課題をはじめとする建築クリエイションは上に示すようなフローによって構成されています(別記事「建築基本設計フロー概論」参照)。あくまでこれはヨコヤマが提唱する方法論の一つであり、これを守破離して自分だけの方法をつくりだして運用していくことを目標としています。

RH / GH に関して

 現代の建築クリエイションにおいてRH / GHのスキルは必須スキルと言っても過言ではありません。スケッチや模型製作と同様に欠かすことのできないツールです。
 RHは汎用モデリングツールであり、これを用いて基本的なモデル作成やスケッチモデリングを行います。
 GHはRHに内蔵されたビジュアルプログラミングモデリング支援ツールです。これによって生成されたモデルは数値入力などにより任意のパラメータによってパラメトリックに変形することが可能になります。これは精度の高い検討や高度なモデリングに主に用います。

学ぶことに関して

 学ぶことに関しては、①人から教わる、②自学する、③人といっしょに学ぶ の3種類があります。学習のフェーズに合わせて学び方を選択するのが良いでしょう。
 今回の講習会は学習の初歩である ①人から教わる にあたります。

目指す目標

高田馬場の劇場課題

 ここで目指す目標は設計課題などでGHでのパラメトリックスタディモデルで詳細な検討ができることになります。これは決して特殊なことではありません。「スケッチ→スケッチ3Dモデル→模型→パラメトリックモデル→BIM」のプロセスで空間やオブジェクトを詳細に検討していくことをお勧めしています。
 その中でパラメトリックモデルで検討することは構築した空間を建築物として成立させることには欠かすことができませんし、デザインの面でもより洗練されたデザインが可能になります。スケッチモデルやスケッチだけだとまとまりのないデザインになる可能性があります。このようなデザインをGrasshopper に落とし込みしくみ化することで、内容が整理されなおかつパラメトリック検討が可能になります。

山形の小学校課題

 ここで載せている2つの画像はヨコヤマが3年次の設計課題で設計したものです。これらのモデルは最終的に全てGrasshopper によって構築されたモデルです。ヨコヤマ自身はそれまでアイデアがあふれすぎてまとまりのないデザインをしていましたが、全てGrasshopper に落とし込むことによってデザインのまとまりを獲得しました。

 Grasshopper - 階段の作成

Grasshopper

 具体的な解説は有料情報になりますので、これからリリースする記事やけんちく学園の講習会にご参加ください。
 階段の作成はパラメトリックデザインの基礎であり、プロジェクトにすぐに応用できる即効性の高いことでもあります。この講座を受ければ直線階段、螺旋階段、任意のパスの階段、とあらゆる階段の作成が可能になります。

GHの基本

 GHに限らず全てのアルゴリズムは以下の4つの要素により構成されます。
 ①デザインのルール
 ②インプット(入力形式)
 ③パラメータ(変数/固定値)
 ④アウトプット(出力形式)

 その上で把握しなければならないのは、デザインの目的を明確化する必要があると言うことです。GHはアルゴリズムそのものです(アルゴリズムとはある目的を達成するためのプロセスのまとまり)。つまり目的がなければGHを使用したデザインはできません。
 一度作成したアルゴリズムは他のプロジェクトにも流用可能ですし、RHで作成したモデルはほぼ全てGH化することが可能です。

 Rhinoceros - スタディツール「SubD」

SubDの基本

 SubDはRHのオブジェクトタイプの一つであり、連続性や自由な曲面作成に適しています。基本的なスタディはSubDで行うことが最も自由度が高くモデリング速度も速いです。その検討の後にNurbsやGHによる高度で詳細なモデリングに切り替えていきます。SubDの欠点は寸法に基づくデザインがしにくいことにあります。

Subsによるモデリング例

 画像のような直線や曲線/平面と曲面が入り乱れ、複数のパーツで構成されている車のようなモデルは、SubDで簡単に素早く作成することが可能です。このモデルはヨコヤマが実際に1時間ほどで作成したモデルです。ボディは1枚のSubDのみで構成されています。ボンネットやフロントガラス、ドアなど複数の複雑な形状のパーツが連続性を持った一つのSubDでモデリングすることができます。

「ツール」に関して

ツールに関して

 ツールに関しての考え方は画像に示す通りです。手段としてツールを用いること、ツールの本質を把握することが求められます。

「基礎理論」に関して

基礎理論に関して

 ツールと等価な手段ではありますが、設計をはじめとする全てのクリエイションに必ず必要となる要素です。これがなければ上質なクリエイションをすることは極めて難しいでしょう。

「フロー」に関して

フローに関して

 これはヨコヤマが提唱する「建築基本設計フロー概論」にもとづきます。これも基礎理論同様、全てのクリエイションに必ず必要になる要素である。プロセスデザインなしでは上質なクリエイションをすることは極めて難しいでしょう。
 最終アウトプットと同様、プロセスデザインもできるようになりましょう。

全体の振り返り

 全体として理解するにはある程度のリテラシーが必要な内容になってしまったかもしれません。しかしこの講習会に時間とお金を費やしてでも参加したみなさんはその心づもりができてる人が多かったと思います。それはとてもすばらしいことです。
 けんちく学園の最終スコープは「けんちく」を一般教養にすることですが、それはステップバイステップで行う必要があります。今回はその1ステップ目です。少しずつ地道に理解できる人間を増やしていくしかありません。
 次回は11/27に予定しています。早稲田外の皆さんでもウェルカムですので奮ってご参加ください。ヨコヤマが提供する情報は大学に縛られない、これからの時代のスタンダードになるものです。必ずこれから必要になることばかりですのでお見逃しありませんように。

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