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催眠は寝て起きたら解ける?

最近、X(旧Twitter)上で少し話題になっていた「催眠は寝て起きたら解けるのか?」という話題について、少し自分なりの考えなどを書いてみようという気になりました。
これはあくまでもKaiのこれまでの経験に基づく考え、ということで読んで頂ければと思います。

実は催眠術師(催眠掛け手)の中でも、解けるという人と解けないという人がいます。
ただ、この辺は人による認識の違いであったり、捉え方の違い、あるいは意図の違いなどにもよるのかなぁと感じています。

例えば、9割方解けていたとして、それと「解けてる」という人もいれば「解けていない」という人もいます。
9割解けていれば、それはもう解除状態とほぼ変わらないと考える人と、1割でも残っていれば解除できてないだろうと考える人がいるわけです。

また、別の視点でも考えてみます。
催眠の解除は、それ自体が一つの暗示だという考え方があります。
「解除されたのだからもう催眠は掛かってない」と思うことで、正常の状態と本人が感じている=解除だと捉えるわけです。
その場合、実際にはまだ催眠が残っている場合もあるということになります。
ただ、これについては個人的には少し議論の余地があると思っていて、これは次の項目で説明します。

もう一つの視点ですが、個人的には割とこれが重要というか、混同されている感があるなと思うのですが「催眠状態」と「暗示」というのは別物であるということです。
「催眠状態」というのは正常とは少し違う意識の状態をいい、暗示に掛かりやすい特定の状態を指します。
この状態は、催眠術師(催眠掛け手)によって誘導される場合もありますし、他の要因でその状態になることもあります。
ただ、個人的にこの「催眠状態」というのはあまり長くは続かないと思っています。(せいぜい数時間程度?)
一方で、「暗示」というのは、他者から(あるいは自分で)「あなたはこうだ」とか「こういう時はこうなる」のような言葉の影響力みたいなものです。
一般的に、手が固まるとか、味が変わるとか、そういう催眠術の現象は暗示によって引き起こされています。
この暗示を催眠状態に誘導して行うのが催眠術と言えるでしょう。
そして「暗示」については、その効果がどれくらい続くか、というのは人や環境、影響力など様々な要因で変わります。

また、術師の視点や意図という部分でも意見が分かれるところがあります。
例えば、催眠や暗示があまり長く残ってしまうと不安だとか、怖いと感じる人は多いでしょう。
そういう人に対しては「寝て起きたら解除されるから心配ないよ」という言葉は安心材料になります。
一方で、例えば苦手克服やトラウマ解除などの催眠療法であったり、その暗示効果をなるべく長く維持できた方が良い場合もあります。
そういう人にとっては寝て起きたら元に戻ってしまうのは不安材料になるわけです。
そういう人に対しては「自分が望めばその暗示はずっと続くよ」という言葉が安心材料になるわけです。
これは掛け手サイドでもどちらが良いか変わりますし、掛かり手サイドも変わる場合があるでしょう。

他にも「他者暗示」と「自己暗示」があって、最初は他人から掛けられた暗示でもいつの間にか自己暗示になっている、なんてこともあります。
これは過去のnoteにも書きましたが、本人の思い込み次第で暗示は解除もできるし、継続することもできるのです。
暗示は他人に強制されると思い込めばそうなってしまうし、自分でコントロールできると思えばそうなるようなものです。
例えば、幼い頃に両親などに「あなたはこういう人間」と言われたことが、ずっと自分の意識に残って、そういう性格になったり行動をしてしまうなんてことがあります。
こういうのも他者暗示からいつの間にか自己暗示に変わっていて、自分でコントロールできるものだと捉えたり、その暗示に縛られないと思うことで、だんだんと暗示を弱めていくことができます。
大事なのは、暗示を自分でどう捉えてコントロールするか、ということなのです。

とまあ、ちょっとどっちとも捉えられるようなメンタル的な話になりましたが、最後にもう少し現実的な話もしておこうと思います。
人間の脳というのは、睡眠時に脳内の情報を整理していると言われていて、基本的には睡眠によって一定のリセットが行われています。
催眠状態もこの効果でリセットされやすいとKaiは考えています。
催眠状態が解ければ暗示効果も消えたり薄れるというのが一般的です。

そして、Kaiは過去に何人かにこんな実験を行ったことがあります。
催眠で本人承諾のもと、条件付きの後暗示(こういう時にはこういう状態になるという暗示)を掛けて、その効果がどれくらい続くのか、を教えてもらいました。
結果として、大体の方が「暗示の効果は当日だけで次の日には消えていた」ということでした。
この結果を聞いて、Kaiも催眠というのは基本的には寝て起きたら解除されている、と説明しています。
もちろん個人差もありますし、本人にとって強烈な体験であったり、繰り返し行われたりなどすれば、暗示が長く続くことはあるかもしれません。
被暗示性が高いかどうかや、他人の言葉に影響されやすいタイプかなどでも当然変わってくるでしょう。
でも、暗示は自分でコントロールできるものでもある、ということを理解し、良くない暗示は消して、良い暗示は残すことも可能だということ知っておくことは催眠に限らずとても大事なことだと思います。

最後に、催眠を行った後は解除は必ず行うべきものです。
寝たら勝手に解除されるから解除しなくても良いというのは良くありません。(安眠催眠などは除く)
催眠で遊んだら解除までセット、という流れを決めておくことで、メリハリのある催眠遊びができます。
催眠のことをちゃんと知っておくことで、リスクを避けることもできますので、掛かり手の方も一定の知識は持って楽しく遊べると良いですね。


Kai@催眠

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