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光の食卓と、私の妄想 【#創作大賞2024 #オールカテゴリ部門 参加作品】

Episode.1 「至宝の茶室」


「いらないよ。」

 食事介助を始めようとする際の、お客様の決まり文句。傍らに座るホームヘルパーの私
は、お客様の痩せた指先の爪に、まだまだ命の光を宿していらっしゃるのを見つける。

 やらなければ。

 お師匠様!では、私にお茶の味を教えて下さい!!

 かつて茶道の先生だったお客様に、ハイテンションで身振り手振りを交えて呼び掛ける。

 レシピは簡単。
粉末茶をまぶした柔らかなピーマンの肉詰めだ。


Episode.2 「魅惑の神器」


 お玉がない、お味噌がとげない。

 ど、ど、どうしよう…。
こんな事で時間を取られている場合ではない。ホームヘルパーは時間で動いている。
与えられた調理時間は、片付け、タッパーへ移す、ラベル貼りまで含め、一時間しかない。

 はっ!

 キョロキョロと台所を見渡す私の目に飛び込んだのは、スプーン。
これだよ!

 スプーンは神器の如く輝いた。


Episode.3  「冷蔵庫に秘められた光

 美味しいお料理の作り置きをすること。
お客様ご自身で温めて食べられるように。

 お腹がすいて、冷蔵庫を開けたら、照明で明るくなって、中には調理品が沢山入っている。喜んで頂きたい!ホームヘルパーである私の使命だ。

 ひとつ、光を放つ調理品を加えよう。

 レシピは簡単。
すりおろした大根に蜂蜜檸檬を和えるだけ。


Episode.4  「影差す夢を見た」

 お客様に愛される。
そんな事を夢見る。

 けれど、光と影は表裏一体。
それを、忘れるな、私。


Fin.

この作品はフィクションです。作品中に登場する人物・団体は架空であり、実在する人物や団体とは何ら関係ありません。

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