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4月

2022/04/01
新卒が入社した。
春のはずなのに死ぬほど夜が寒くてキレそうだった。始発のあの暖かい電車の揺れがとても心地よい。愛されたい。

2022/04/02
もつ鍋を食べた。家飲みでもつを食らうのは初めてだったし美味しかった。嬉しかったも楽しかったも寂しかったも全部詰まった1日になった。そういう日はどうしても切ない。

2022/04/03
渋谷のオープンハウスの前に、雨なのに新人が立って呼び込みをしている。オープンハウスの呼び込みは年中無休な気がする。宮益坂のここを通るたびに、がんばれ、と思いながら会釈をする。今日はたまたま入ったカフェからその姿がずっと見えていた。雨脚は弱まっているが新人は声をかけ続けている。これから新卒がここに代わって入っていくんだろう。一年お疲れ様、という気持ちでいた。ずいぶん長い間見ていたけれど、一度もチラシを受け取ってもらえることはなかったみたいだった。

2022/04/04
胃の機能が死んでいる。知覚過敏だ。食べても食べても消化されない感覚は自分が機能していないようでとても気持ちが悪い。

2022/04/05
新しい年度になって、通勤バッグが壊れた。
寿命1年。新しいバッグが欲しいけど、何も欲しいものがない。

2022/04/06
えーわたしも恋人欲しいな、周りの人がたくさん同棲しはじめている。今日はわたしも1人で寝るよ。ふん!

2022/04/07
酸っぱいものと辛いもの、この2つが大好きだが、女性の方がこの2つを好む傾向にあるという謎はきちんと解明されているのでしょうか。

2022/04/08
少しずつ持てる言葉は多くなるのに、使う言葉は少なくなる気がしている。生活に刺激が欲しい、毎日新しいことがしたいと、本気で思っていた。
だんだん平穏が好きになる、雄弁すぎる人間と関わるのが嫌になる。渦巻いている言葉は自分の中だけで精一杯になる。

2022/04/09
映画2時間の間にキャラメルポップコーンはしけてしまった。

2022/04/10
雰囲気もセンスもすごく素敵だなという人がいる。ただ、その人が何を良いと思っているのか全然理解できない。確かにかっこいい、でもそれの何が刺さっているのか、言語化させても響かない。外から見てそれに対する熱を感じられるほど情熱的ではなく、とにかく何を好きなのか分かりにくい。それをセンスと呼ぶのかな。

2022/04/11
願わなければ叶わない、はじめなければ終わらない。
2年越しの夢が叶った。
余韻で3日は生きていけそうだ。

2022/04/12
朝から体調が最悪だった。
寝不足が続いたからか、通勤中も気を抜けばフッと倒れてしまいそうだった。体の中の熱をうまく発散できていない感じがあった。物理的にも気持ち的にも、圧倒的にデトックス不足だった。

2022/04/13
頑張ることに理由がないとやっていけない。
これが終われば休みだから、あの人に会えるから、などと自分を騙して歯を食いしばっている。今は、年度はじめだから頑張っておいた方があとで楽、という考え方のもと頑張るをやっている。努力することが才能なら、わたしにその才能はほとんど無いだろう。騙し騙しだ。みんなそんなものだろう、と濁しながら今日も出社しました。

2022/04/14
あまりに恋人ができないので自分のセクシュアリティを疑い始めた。年下の女の子とデートの約束をした。

2022/04/15
僕に私に〇〇して欲しいこと募集!
みたいなインフルエンサーや発信者が苦手です。
あーそういうスタンスなんだ、ふーん
という気持ちになってしまう。
作り手・表現者なら自分のアイディアで勝負して欲しい。まあこんなのは何かを猛烈にオタクしたり追いかけたことのない悲しい意見ですね、お察しします。

2022/04/17
猪苗代湖に、キャンプカーでやってきた。車の中で寝たり、ご飯を食べたり、小さい頃の夢が一つ叶った。こうやって人生の旨みをひとつひとつ吸い尽くしていく。
星が綺麗だとか夕陽が綺麗だとか、田舎すぎる山々の中で深く深く眠りについた。キャンピングカーの運転席の上の寝床の寝心地は最高で、朝日を観たかったのに気がついたらもう明るかった。
今日みたいな日を肥やしに生きている。
明日からも生きていく。
帰り道、高速から見える東京の光の粒をみてすごいすごいと騒いでいた旧友を、これからも大切にしていきたい。

2022/04/18
雨の日の、つかれた甘い匂いのする電車。お疲れ様月曜。

2022/04/19
小学校から仲良くしてくれている友達のお姉ちゃんが仕事を辞めたらしい。いろいろ重なってタイミングだと思って勢いでやめた、と言ってた。
すごく感受性の豊かなひとで、穏やかに燃えている感じの人だった。彼女をこらしめた環境やひとを、私がこらしめてやりたい。

2022/04/20
あんまり好き好き言ったらいけない人には、瞬きひとつにも全力でスキを込める。あなたの周りのもの全部お揃いにしちゃいたいくらい好きだよ(スキ)。

2022/04/21
写真が撮りたい。好きな人たちをどんどん撮りたい。作品撮りがしたいわけじゃなく好きな人間のいい顔をバシバシ撮りたい。
きっとまだ私にしか撮れない顔なんてのは存在しないけど、私にしか切り取れない瞬間をどんどん残したい。社会人2年目、なんか急に焦ってきた。

2022/04/22
仕事をしている時の顔と酒を飲んでいる時の顔が全然違うよと笑われた。ずっとそのままでいてよ、とも。仕事をしている時お前は酒を飲んでないとつまらねえと言われて落ち込んだことがあったけど伝え方ひとつで全然違うように聞こえた。

2022/04/23
黒髪にした。
薬剤の香りと二日酔いで何度も吐きそうになった。

2022/04/24
暑かった、半袖でもいいなと思った。

2022/04/25
この間は、酒を飲んでいる時が可愛いねに聞こえたけど、今日はまた同じことを言われて、仕事やめた方がいいよ!が大きく聞こえてものすごく鬱になった。仕事してない方がいいのかな、人の言葉なんて受け手のコンディションでいくらでも調理されてしまうものだ。きっとそうだ。

2022/04/26
「あー疲れた、癒やして。」
と言われることがある。これは本当に、どんな場所場面で言われようがセックスして、の隠語にしか聞こえない。わたしがおかしいことは重々承知である。その上で、返しにいつも戸惑う。
お疲れ様、なのか、よちよち頑張りまちたネ!なのか。
そもそも男性が癒される場面ってどこなの。好みの女の子といる時かサウナじゃないの?
全く本当に、受け取り手のコンディションで言葉はいくらでも調理されてしまう。

2022/04/28
意味わからないほど忙しい日が終わった。明日からゴールデンウィークだ。ありがとう。一年前が鮮明に思い出される。もう一年、まだ一年。
オール明けのような疲労感ですがこれから部屋の掃除をして家を出なければ。
一年前の新入社員合宿で30キロ走った時、未知の道のりのなかで、
5キロ地点では「ああもうここまで走ったんだ30キロは、これの6倍か」
10キロ地点では「これをあと3回」
25キロ地点では足を動かすことがギリギリできるくらいの満身創痍で「最初の5キロと同じやつがあと1回だけど、今はもう同じじゃない、違う5キロになっている。一体何故?今わたしは不思議と戦っている」と思いながらゴールに辿り着いた。
ずるずるとこの会社で1年やってきてしまった。1社目をどこまで走り切るかのゴールはわからない。
まああと1年くらいは、もう1度これをやるくらいは頑張ろうかな。と思っている。騙し騙しだ。

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