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ザ・デス・レイと休む

 本作品は米国グラフィックノベル界の旗手ダニエル・クロウズの作品だ。

 本作品はわずか40ページ足らずしかないのだが、まるで2時間くらいの映画を見終わったような充実感が読後にあった。それだけストーリーがうまく組まれているのだろう。

 本作品は父親を亡くし祖父と家政婦と暮らす高校生アンディーの物語だ。アンディーは内気な何の変哲もない少年だが、ある日タバコを吸うことで超人的な力が発揮されることに気がつく。さらに、父親からの遺品の中にアンディーが使うと人や物をこの世から消し去ることができる銃があることに気がつく(銃が物語の重要な役割を占めるのは他のダニエル・クロウズの作品でもある)。そんなアンディーの思春期及びその後を追った物語。それが本作品だ。


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 メビウスの紫と同様にダニエル・クロウズの薄いマスタードカラーの黄色は彼の色だ。

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 ダニエル・クロウズお得意の三頭身描写もある(奇面組スタイル?)。

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本作品の物語は、まるで単館系映画のワンシーンのように始まる。

さらにダニエル・クロウズお得意のパンチラインも今回も炸裂している。最後にアンディーのパンチラインを紹介したい。

「僕が誰かって?お前にとって最悪の悪夢さ。」

 アンディーが裁きを下した奴にはそれ相応の理由がある。それでも後味がよくないのはなんでだろうか。

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