見出し画像

SAND CASTLEと休む

 本作品は、フレデリック・ペーターズ原作の作品だ。フレデリック・ペーターズといえば、日本でも「KOMA」や「青い薬」という作品が邦訳されており、人気のバンドデシネ作家だ。日本語のWikipediaもある。

 また、本作品は、書肆喫茶moriさんの先行研究業績があるので紹介させていただく。


まず、本作品は英語に翻訳された作品だ。そのため原典のセリフがどうなっているかは確認していない。その上で、とても読みやすい作品だった。使用されている単語も平易で、ほとんど辞書を引かず読むことができた。同じく過去に読んだボルジアの英語版は、教会系の英単語が分からずとても苦労して読んだ記憶だ。

 そして、日本の漫画を読んで育った我々日本人が海外漫画(アメコミヒーローものを除く)を読み始めて、一番よく聞くセリフが「絵はうまいが、ストーリーはそれほど面白くない(=難解)」というものだ。本作品は、端的に言って、日本の漫画に負けず劣らず明快なストリー展開(読後に謎は残るが)で、引き込まれるように読み終えた。久しぶりに本を閉じたくない、次のページが早く読みたい、どういう形で終わるのか、と最後の1ページまで気になり続けた。

 テーマは、老いとか、死とか、一生とかであろうか。最初の異変について、子供の水着の大きさで気がつき始める。その異変とは、、、、

画像1

絵柄はこんな感じ。白黒の作品でタッチは独特だけど読みづらさはない。背景の書き込みが大量ではなく、日本の漫画と同じようなレベルだからだろうか。

画像2

このおばちゃんの海に入るシーンが好き。このウキウキした感じがすごいうまいと思う。ギリギリ地面から足が浮いているのだ。みんながバカンスでウキウキした雰囲気からの、絶望に向かう落差が本作品の魅力の1つなのではないだろうか。

 本作品は、わずか100ページ弱の作品ながら、テンポよく話が進む感じや、多くの謎が残る感じ、また、圧倒的な救いの無さがすごく良い。オチとか、伏線回収とかいらないっす。そう思わせてくれる作品だ。

 なお、本作品は昨年映画化をされているようだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?