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ネオノミコンと休む

 ラヴクラフトという作家の名前を聞いたことがあるか。私はうっすら知っているくらいでラヴクラフトという作家がどんな作家であるか全く知らなかった。ラヴクラフトについてWikipediaを調べてみると、1)米国人、2)怪奇小説を書いていた、3)生前は全然ヒットしなかった、4)彼が書いた小説と彼の友人によって書かれた小説群により、クトゥルフ神話と呼ばれる体系が構築された、5)これらのクトゥルフ神話は他の作家等により現在も新たなストリーが追加されている。こういったところだ。要は、「クトゥルフ神話」という共通の世界が他の創作のために解放されているということだろうか。例えるなら、システム開発の統合プラットフォームが「クトゥルフ神話」で、個別に開発されるシステムが各作品ということだろうか。

 本作品はそんな「クトゥルフ神話」に、あの、アラン・ムーアが挑んだ作品だ。アラン・ムーアについては、以前、WATCHMENを紹介する中で紹介した。

 つまり、「クトゥルフ神話」✖️「アラン・ムーア」の組み合わせは、マニアなら飛んで喜ぶ組み合わせなのだろう。

 本作品は、「中庭」という作品と、「ネオノミコン」という作品が収録されている。Wikipediaによると、2003年に「中庭」が発表されて、その後、「中庭」の続編として2010年から「ネオノミコン」が発売され、これらの前日談として2015年から「プロビデンス」が発売される、という経過を辿ったらしい。

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 まずは、作画。アメコミっぽい線で描かれており、可もなく不可もなくという印象(アメコミ好きの方にとっては親しみやすい感じなのだろうか)。他方で「中庭」の方は、発表されたメディアの影響なのか、上記のように細長い長方形のコマで割られている。これがなんとういか緊張感がある。見慣れないせいから生じる違和感なのか。1コマ、1コマ妙な緊張感があるのだ。ここは是非、本作品を手に取ってご確認いただきたい。

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 もう1つ。上記のコマはある場面でコンタクトレンズを外した視点を表現したものである。けっしてぴんぼけ写真ではない。このうすぼんやりとしか見えない、視界が奪われている表現も、このシーンにおける緊張感を高めるとても素晴らしい表現に感じた。

 最後に物語について。一応のストリーの筋は理解できたし、アラン・ムーア独特の難解のセリフ回しも今回はあまり感じなかった。そういう意味では、他のアラン・ムーア作品より読みやすい作品だと感じた。他方で、「クトゥルフ神話」に対する造詣が浅いせいか、途中、途中(例えば、変な言葉使いとか、地下に現れるモンスターとか)分からない、分かりきらないところがあった。こういうところは、今後このあたりに詳しい方に教えを乞いたい。#

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