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INSIDE MOEBIUS(インサイドメビウス) Part3と休む

 ようやくインサイドメビウスの紹介も最終巻であるPart3までやってきた。これまでのPart1とPart2は以下で概要を確認いただきたい。

 復習となるが本作品はメビウスの精神世界であるB砂漠において自分が創作したキャラクターと会話したり、哲学的な問いをしたり、空を飛んだり、時に夢を見たりしながら進んでいく。面白いプロットも、起承転結のようなものも一切ない。

しかし、第3巻は少し面白い会話がされる場面がある。

1つ目は、下記のコマだ。

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 このコマは、青年時代のメビウスからどの漫画家が面白いと思うと聞かれて、回答をするコマだ。Marcel Gottliebとニキータ・マンドリカのことだろうか。いずれも読んだことない漫画家だ。クラッシックと呼ぶべき漫画家なのだろうか。

 さらに”Narrative Figuration"に関する議論(漫画における物語表現的な意味なのだろうか)があったりと興味深い。これらを昔の自分と議論するというのは一種のメタ認知的な要素もあるのだろうか。


2つめはしたのコマだ。悩んだメビウスが手に取った本は・・・・

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 上記コマにまさに記載通り。カルロス・カスタネダの”The Art Of Dreaming"を取り出して、カスタネダの本の中に答えを見つけようとしている。本の中に答えを見つけるのは田我流だけにして頂きたいものだ。

3つめは以下のコマ。

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なんともとぼけたB級エロ漫画のような変身をする青年メビウス。線だけでなく、背景の空の色もなんだかとぼけた青色に感じる。60を目前にして伸びた鼻の先から白い液体を放出してみたり、頭から生えたツノから白い液体を放出してみたりやりたい放題だ。

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 そして、このページ以降に繰り広げられる変身・変態の連続。メビウス師匠!それが見たかったんです。よ!真打登場と言わんばかりに繰り広げられる線の遊びと彩色のマジック。これが10ページ以上続くのだから本当に見ものだ。このページ以降のコマだけで1画集できるんじゃないかというくらいのサービスっぷり。ここまでメビウスの戯言に散々付き合ってきたご褒美なのだろうか。

 以上のように前の2作品を読んでインサイドメビウスの世界観にようやく慣れたからか、3作品目は素晴らしい見どころのたくさんの、少し哲学的な作品で、9番目の芸術と呼ぶべきアートワーク見られる作品だ。残念ながら英語版しか出ていないのだが、英語版でも十分楽しめる平易な英語だし、文字が大きいいし、筆記体での記載もない(ジミー・コーリガンは筆記体が読めず英語版挫折した)ので是非Amazonで購入して読んで感想をコメント欄に書き残して欲しい。

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