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テクノプリースト(前編)と休む

 テクノプリーストは、メビウスとホドロフスキーがタッグを組んだアンカルのいわゆるスピンオフ作品だ。アンカルに出てきたテクノプリーストに焦点を当てた作品だが、アンカル本編との接点はほぼない。このあたりは、以前紹介した同じくアンカルのスピンオフ作品である、メタバロンの一族と同様だ。メタバロンの一族については、以下をご参照ください。

 本作品は総ページ数400ページを超える大作で、なおかつ、ハードカバーでの製本であることから、さながら百科事典の様相を呈している。内容もそれに比して重厚なので、本作品は、1冊の作品だが、紹介は前編・後編と2回にわけてしていきたい。

 本作品は、ゾラン・ジャニエトフという漫画家が作画を行なっている(なお、原作はアンカルと同様ホドロフスキー)。このジャニエトフだが、本作品巻末の情報によると、アンカルの最終2巻分の彩色を行なっていたり、同じくアンカルのスピンオフ作品であるビフォア・アンカルを製作していたり、本家メビウスも認めるメビウスチルドレンだったようだ。そしてさらに、本作品の大きなな特徴はコンピューターによる彩色だろう。このコンピューターによる彩色がスペースオペラの雰囲気を増幅しており本作品を稀有な作品にしているように感じる。

 本作品は、下記のコマの通りテクノプリーストであるアルビノが自身(及び家族)の人生を口述するスタイルで話が進んでいく。作品ないオーラルヒーストリーともいえようか。

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 アルビノは、母バネファの子である。母バネファの子は、アルビノ以外にも2人いて、いずれの子供も母バネファが(宇宙)海賊によって犯されたことにより生まれた。そして、バネファの3人の子供は、いずれも父が異なる(そのため肌の色も異なる)異父兄弟姉妹だ。そんな母バネファと3人の子供の壮大なストーリーで構成されるのが本作品だ。

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 上記のコマを見て欲しい。綿密に描き込まれたコマであることはもちろんのこと、彩色もコンピューターで行っているせいか、独特の陰影があり作品の雰囲気にマッチしている。手彩色も悪くはないが、作品によってはコンピューター彩色もすごく良い。

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 上記のコマは物語のキーとなる仮想と現実をつなぐ存在であるスーパーアルビノだ。設定は色々詳細あり、本作品を読みながら確認して頂きたいのだが、とにかくアルビノはこのスーパーアルビノを現実世界で具現化できるためとても強いのだ。

こんな感じで、アルビノがテクノプリーストを目指すストーリーと(アルビノはゲームクリエイターを志すため家族と離れて修行の日々を送っている)その家族の物語は進んでいく。このあとの話は後編で。

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