見出し画像

アメリカ:人工知能AIのジャスティン神父──宣教開始2日で解雇

USA: Artificial intelligence creature "Father Justin" - Deposed after two days of his ministry

カリフォルニア州エルカホン( El Cajon, California)で運営され、『弁証と福音化』を使命とする組織、The Catholic Answers(カトリック・アンサーズCA)は、信仰と神学に関するさまざまな質問に回答を提供する人工知能(AI)の象徴的な人物像である『ジャスティン神父』を登場から2日後に終了させることを決定した。この決定の理由には、とりわけ彼の回答にさまざまな神学的誤りが含まれており、また、一部のネットユーザーは、この人物の奇妙な特徴、顔、ひげ、声、さらには祭服を好まなかった。

「私たちがこの人物を選んだのは、実質的な神学的知識と、CAの私たちが、聖職者に抱いている尊敬の念の表れだった。一方で、多くの人々がこのような人選に難色を示している。私たちはこのアプリの重要な目的である、カトリック信仰に関する質問に対する信頼できる回答を利用できるようにすることから『ジャスティン神父』が人々の関心をそらさせないようにしたい」と CA会長のクリストファー・チェック(Christopher Check)は、今年4月24日、カトリック系メディアのインタビューで説明した。

聖十字架修道会(the Congregation of Holy Cross)のメンバーであるマイク・パーマー神父(Mike Palmer)は、「私は、あなたたちとその仕事に敬意を抱いているが、これはただの検索エンジンであるべきだった。魂のないAIの人物を聖職者に扮することは、混乱を招き、あなたたちの素晴らしい仕事を嘲笑する以外の何物でもない」とツイッター(正式にはX)として広く知られているソーシャルメディアで述べた。

しかし、人工知能に関連する新しいアイデアによって、今月は信仰と神学に関する質問数が大幅に増加した。2023年4月のデータと比較して、信仰と神学に関する質問の数が77%も増加した。質問は非常に多く、回答が得られるまでに数分かかることもあるほどで、なかには簡潔かつ包括的な回答もあった。たとえば、「なぜカトリック信者は日曜日のミサに出席しなければならないのか」という質問に『ジャスティン神父』は、詩篇122篇、1コリント12:27、ヨハネ6:54などの聖句を引用した。「ミサに集うとき、私たち一人一人はキリストと、お互いに深く結ばれる。私たちは神の言葉に耳を傾け、聖体においてキリストご自身をいただく。教会に行くことは義務であるだけでなく、特権であり喜びでもある」。

残念ながら、『ジャスティン神父』は物議を醸すような、間違った回答もした。例えば、水の代わりに 『ゲータレード(エナジードリンク)』を使って洗礼を施すことは可能だと言った。

その結果、AI司祭のミニストリー開始後わずか2日で、彼の『信徒化』はすでに行われ、以後、彼は『ジャスティン神父』ではなく、単に『ジャスティン』として登場することになった。これは、CAがまだこのような活動をすることに意義を見出しているからだ。同団体のテクニカル・ディレクターであるクリス・コステロ(Chris Costello)は、「この赤ん坊を風呂の水と一緒に捨ててしまうのはもったいない」と考えている。彼の見解では、「カトリックの信仰を説明し擁護するという使命において、我々はAIが役に立つと信じている。特に若い人たちは、素早い質問と回答のような、いわゆるゲーム化したものを通して、さまざまなことを学ぶことが好きだ」。彼の発言を『究極の神託』と受け取ることはできないが、同時にコステロは、「AIには限界があり、実際の生身の人間との接触に取って代わることはないことは誰もが知っている」と認めている。

 El Cajon/Fr. jj

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?