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イギリス:カンタベリー大聖堂でのディスコに憤りと軽蔑の声

UK: outrage and scorn after disco at Canterbury Cathedral

2月8日と9日の両日、イギリスのキリスト教の聖地のひとつであるカンタベリー大聖堂(Canterbury Cathedral)で開催されたロックコンサートが、大きな騒動と怒りを引き起こした。『Rave in Nave(レイブ・イン・ネイブ、身廊での楽しみ)』と題されたこのイベントには、約3000人のロックやポップスのファンが集まり、エミネム、ブリトニー・スピアーズ、エルトン・ジョン、スパイス・ガールズなどを大画面で聴いたり見たりした。静かなディスコ(サイレント・ディスコ)を目指したが、まったくそんなことはなかった。

この『大聖堂ディスコ』の参加者の中には、歌を歌う者もいれば、踊ろうとする者もいた。また、1170年にヘンリー2世(Henry II)の命令で聖トーマス・ベケット(St. Thomas Becket)が殺害された場所のすぐ隣にあるバーで売られている飲み物を楽しむ者もいた。

このイベントは、イギリスとアメリカのメディアで多くの批判的なコメントを引き起こし、キリスト教徒だけでなく、多くの抗議を呼び起こした。「大聖堂をナイトクラブに変えるという新しい風潮には断固反対しなければならない」と、反対運動の主催者の一人であるカジェタン・スコヴロンスキ(Cajetan Skowronski)は語った。彼は大聖堂当局に宛てた抗議文に約1800人の署名を集めた。

デイビッド・モンテース師(Reverend Monteith David Monteith、大聖堂長)は、何の根拠もなく、ほとんどのキリスト教徒はこのような言説に納得するだろうと確信していた。しかし、私たちの嘆願書とそのなかで提示された主張は、彼にそのような判断を変えるよう影響を与えるかもしれない。(中略)「この催しは、若者たちをキリストに近づけるものではまったくなく、むしろその逆で、キリストとその教会、そしてこの教会が提供するすべての真理、美、善はまったく重要ではなく、娯楽は神よりも私たちの大きな関心を集めるに値するということを示している。また、クリスチャンが自分たちの信仰や聖地のことを真剣に考えていないことも示している」と抗議した。

メディアの取材に応じたモンテースは、このようなイベント(大聖堂でのディスコのチケットは25ポンド)の収益が、この大規模で歴史的な建物の維持に役立っていることを公言した。その発言を正当化するために、ダビデが契約の箱の前で踊ったという聖書の一節を引用した(サム下6)。

しかし、このイベントに反対する人々は、イエスが商人を神殿から追い出したという福音書の一節のほうが、この場にふさわしいと考えている。「大聖堂は静かに真剣な思索や内省をする場所であって、ディスコではない。他の方法で資金を集めることはできないのだろうか。何事にも場所と時間がある。そして、そのようなイベントは大聖堂で開催されるべきではない」と、自分たちは無神論者であると思っている20代のミアとボーイフレンドのアルフィーを含む、『Rave in Nave(レイブ・イン・ネイブ)』に反対する多くの人々は言う。

ヨーロッパでは、神聖な建物が宗教的な目的以外で使用されるという現象が、カトリック教会にも影響を及ぼしている。イタリアのカトリック新聞『La Nuova Bussola Quotidiana(ラ・ヌオヴァ・ブッソラ・クオティディアナ』は、最近、モデナ、シエナ、ナポリ(Modena, Siena, Naples)のカトリック大聖堂が、アメリカのベテランロック歌手パティ・スミスによる『平和コンサート』に開放されたことを批判する記事を掲載した。

同紙はさらに、2019年にもウィーンのシュテファン大聖堂(St. Stephen's Cathedral , Vienna)で、『同性愛者の役を演じることで知られる俳優が、大音量のロックや電子音楽に合わせて演技をし、悪魔の格好をした他の俳優と共演』したことを想起している。

「これらは、キリスト教世界全体とキリスト教文化に影響を及ぼす深刻な危機の兆候なのだろうか。まるで、キリスト教が世界に『神をもたらす力』を使い果たし、その代わりに、世界を追いかけ始めたかのように見える」と、イタリアのカトリック新聞の創刊者兼編集長であるリカルド・カシオリ(Riccardo Cascioli)は、これらの光景についてコメントしている。

Fr. jj/ London

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