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アメリカ:クリスチャン・ジャーナリズムのパイオニア、ジョエル・ベルツが死去

USA: Joel Belz, a pioneer in Christian journalism, has died

2月4日に亡くなったジョエル・ベルツ(Joel Belz)は、ニューヨーク・タイムズ紙を含むアメリカのキリスト教メディアから、口をそろえて、『キリスト教ジャーナリズムの先駆者』と呼ばれていた。同紙は14日付の記事で、1986年にベルツとキリスト教に熱心な人々のグループによって設立された『ワールド・ニュース・グループ(World News Group)』と雑誌のことを紹介している。『ワールド・ニュース・グループ』と雑誌『ワールド(World)』は、時事問題(政治、芸術、科学、その他)について魅力的に書くと同時に、『聖書の観点(聖書的客観性)』から、そして、聖イグナチオ・ロヨラが説いたように『神のより大きな栄光のために』書くことを自分たちに課した。‐複数の視点を追求する伝統的な客観的ジャーナリズムとは対照的に、ワールドの『聖書的客観性』は聖書の内容で始まり、聖書の内容で終わる。

この目的のために、彼は1999年に『ワールド・ジャーナリズム・インスティテュート(World Journalism Institute)』を設立し、『聖書的客観性』の精神で執筆するジャーナリズムの技術を学生に教育し始めた。現在までに約700人の学生がこの教育機関を卒業している。
 記事の著者マイケル・S.ローゼンワルド(Michael S. Rosenwald)は、2020年に週刊誌タイムズ(The Times)が西アフリカのプロテスタント学校での性スキャンダルを報じた際、一部の福音派プロテスタントから「キリスト教に反する記事だ」と批判されたことを回顧した。当時、ミンディ・ベルツ(Mindy Belzワールド編集長で創刊者の姪)は『タイムズ』を大胆にも支持した。「世俗化する社会は、事実と聖書の真理に基づいた健全なジャーナリズムを切実に必要としていることを常に信じている」と彼女は述べた。

同様に、伝道者ビリー・グラハム(Billy Graham)によって1956年に創刊されたクリスチャン・トゥデイ(Christian Today)誌は、2000年にジョエル・ベルツの言葉を引用している。「私たちは、人々が抱えるすべての問題について手がかりを与えることを目的としているわけではない。しかし、公に語られるべき事実もある。その意味で、聖書は私たちに真理をのべ伝えるよう求めているのだと、私はいつも信じている」。さらに、『クリスチャン・トゥデイ』誌は、西アフリカの教会学校やアメリカの巨大教会における小児性愛の犯罪に注目が集まったのは、『精神的虐待』や『弱者への虐待』、『聖職者の性的罪』が時折あったという『ワールド』の報道のおかげだったと回想した。

ジョエル・ベルツは1941年8月10日、アイオワ州マーシャルタウン生まれ(Marshalltown, Iowa)。父は穀物エレベーターの技術者で、後に長老派教会の牧師となる。母親のジーン(Jean Belz旧姓フランゼンバーグ/Franzenburg)は教師だった。一家は一緒に祈り、教会の賛美歌を歌う習慣があった。幼少の頃から技術的な才能を発揮し、11歳の時にはすでに家の印刷機を操作できるようになっていた。1962年にセントルイスのコベナント・カレッジ(Covenant College, St. Louis)を含むキリスト教系の学校を卒業。その後、自らも学校で教鞭をとりながら、アイオワ大学(the University of Iowa)で社会コミュニケーション(マスコミュニケーション/Mass Communication)を学んだ。アメリカの長老派教会の会員および長老だった。1977年、ジャーナリズムと出版の世界に入り、最初の仕事は『長老派ジャーナル(The Presbyterian Journal)』の編集者だった。ジョエル・ベルツの葬儀は2月10日、ノースカロライナ州アッシュビル(Asheville, North Carolina)の長老派教会で執り行われた。妻と5人の娘が遺された。

Fr. jj/ New York

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