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2021年 個人的に印象に残った美術展示

休日はもっぱら美術館へ足を運んでおり、2021年もコンスタントに美術展を見に行きました。クラシカルなものから現代アート的なものまで、けっこう雑多に見るタイプで、様々なところに観に行ったので記録がてらに、印象にのこった展示を残しておこうかと思います。

SURVIVE - EIKO ISHIOKA /石岡瑛子 グラフィックデザインはサバイブできるか

gggにて前期・後期で入れ替わって開催。しっかりと前期後期どちらも行きました。
2020年後半から都立現代美術館でも石岡瑛子展が開催されるなど美術界が石岡瑛子フューチャーな時期だった気がします。

個人的に好みのデザインかと言われれば、あまり好みのほうではないが、それでも滲み出る生命のエネルギーには圧倒させられてしまう。

こだわり、エゴ、矜持…綺麗事だけでは済まないところも見つめ、対峙しつづけ、ここまで表現を追求したからこそ、創り上げられるものたち。

書き込まれたコメントのひとつひとつにこだわりが見えてくる。

日本の広告グラフィックの激動時代を生き抜き、デザイナーとしてある種の究極まで突き詰めた姿は尊敬の念を抱かざるを得ません。

会場では生前の肉声インタビューが流れており、作品を見る自分たちの背後に立たれて問われ続けているような感覚も、石岡瑛子だからこそできる展示でした。

1894 Visions ルドン、ロートレック展

兎にも角にもルドンの作品をこんなに見れたのが嬉しかったのと、ルドンがすごく好きになった展示。

ルドンといえば不可思議で気味の悪さのあるモノクロの初期作品が有名なイメージだったが、パステルに目覚めたあとの色鮮やかな作品に驚き、目が吸い込まれた。
展示作品のなかでもやはり「グラン・ブーケ」は鮮やかで迫力もあり、ルドンのなかで一番好きな作品になりました。

グラン・ブーケだけ撮影可だった。でかかった。

マーク・マンダース—マーク・マンダースの不在

作品を見た最初の印象は「これは彫刻なのか…?」という感覚。
むき出しの地表にあらわれる崩れ落ちる土のような、公園の砂場で積み上げられた砂の城が放置され崩れていくような、そんな彫刻たち。

人はたくさんいたのに静寂感があった。
断面が地表みたい。

どこまでも虚構でありつつ、絶対にそこにある。見落としてしまいそうなくらい日常に溶け込んでいるのに、絶対に脳裏から離れない。静かにそこにいるようないないような、それにも関わらず雄弁でもある…こんなものがあるのかと衝撃を受けました。

イサム・ノグチ 発見の道

恥ずかしながらこのときまでちゃんとイサム・ノグチのこともよく知らず作品もまともに見たこともなかった。

言葉はいらない、と言わんばかりに入り口には「あかり」のインスタレーション郡。
いきなり脳を右フックでぶん殴られた感覚。そこから、息を忘れるくらい彫刻たちにのめり込みました。

入口からこれよ。
とにもかくにもインスタレーションが素敵すぎた。

見終わった頃には、がっつりイサム・ノグチにハマってしまった私はすぐにエッセイを買って彼の頭の中を覗き見し、新居の寝室の照明は「あかり」にしました。

いつの日か香川のイサムノグチ庭園美術館にも行ってみたい。

文化庁メディア芸術祭 縛られたプロメテウス

文化庁メディア芸術祭のアート部門大賞を受賞した作品。本会場から離れた場所でしかも予約制だったが、旦那に「絶対に観に行ったほうがいい」と言われ駆け込みで観に行った。

とんでもないものを見てしまった、と思った。とんでもない60分であった。
否応なく突きつけられる感覚や感情。べっとりと纏わりつくように何かが残る。

ネタバレをしないほうがいいタイプの作品なので詳細な中身は記さないことにするが、公演へ足を運べる機会があったら是非観てほしいです。何も調べず聞かずに行くのがオススメです。

庵野秀明展

シン・エヴァンゲリオン劇場版は映画館へ4回ほど足を運んだ程度のファンである、という前置きはさておき。

所狭しと展示される大量の資料たち。ひとつひとつ興味深く読み込んでいるとあっという間に時間が過ぎてしまいました。

スマホ片手にアングルを探すよね?

エヴァンゲリオンの初期の企画提案書は食い入るように読み、第3村のミニチュアモデルを撮ってプロフェッショナル仕事の流儀ごっこをして遊び…と、エンジョイしまくりました。

セーラームーン世代としてはウラヌスとネプチューンの変身シーンの絵コンテが見れたのも地味に嬉しかった。

川瀬巴水 旅と郷愁の風景

大正から昭和にかけて“新版画”の分野で活躍した版画家、川瀬巴水。
旅先の写実的な風景は近代化の迫る日本の時代も相まって、どこかノスタルジーな雰囲気が漂う。

特に巴水の描く雪景色は雪にこんなにバリエーションがあるのか、と驚かされるともに、巴水の眼を通すと雪というのはこんなふうに映るのかと…その美しさにため息が出た。

川瀬巴水の絶筆「平泉金色堂」

かの有名なジョブスも川瀬巴水をコレクションし、初代Macintoshの宣伝写真のモニターには川瀬巴水の絵が写っている。というのもこの展示で知りました。

その他、観に行った展示リスト

上記以外にも記憶のある限り、観に行ったものリストアップ。
行った順番は覚えてないので開催時期など順不同。

おまけ

年末に京都のアートホテルに宿泊した際に、ロビーにあった作品がとても素敵だった。
不規則な鐘の音がホテルの廊下にも響き渡っており、部屋を出て歩いていると遠くから澄んだ鐘の音が聞こえてきて、京都という土地柄もあってか、心が透き通るような気持ちになりました。

2022年も素敵なアートライフを送りましょう〜!

読んでいただきありがとうございます。Twitterは @tajima_kaho でやってます。