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恋しくなる味には人の温かさが詰まっている 〈cafe + studio flat 〉

習い事で大阪から奈良に通っている。その習い事が長引いて空腹が限界を越えた。ひと息つきたい、ご飯も食べたいけど甘いものも食べたい。欲求のパラメーターがぐーんと上がった。
google MAPで調べるとおしゃれで雰囲気が良さそうなカフェがヒット。
ラストオーダーは17時まで。あと10分。迷いはなかった。
お店まであと少しというところで、2階から店主らしい男性が降りてきて、何やら看板をひっくり返したような仕草をした。それでも走った。  
 

CLOSED…


祈るような気持ちで扉を開いた。
「まだ ダメですか…?」
「今日はお客さんが少なかったので早めに閉めちゃってごめんなさいね。もしよかったらどうぞ〜!」
予想外の快諾だった。店主の奥様だろうか。人柄を垣間見た瞬間だ。
メニューはどれも心惹かれるものばかりだった。キーマカレーや、サンドイッチのプレートなどのご飯系、パウンドケーキやかき氷などのスイーツ系も豊富。
私はサンドイッチとかき氷を注文した。
運ばれてきたサンドイッチの断面がなんとも美しく、レタスや紫キャベツ、ニンジン、ハムがきれいな層を織りなしていた。
その横にサラダ、キッシュ、ヨーグルト、ミニジュースが添えられ、メインの引立て役を担っていた。バラエティにも彩りにも富んだ贅沢な一皿だ。

すかさずチェックしたInstagramで見つけ、私の中で絶対に頼むと決めていたかき氷。
季節は夏。旬のフルーツといえば桃。
上にはスライスされた桃が敷き詰められていて、その下には、桃のシャーベットや桃の果肉があらわれ、まるごと桃。そしてバニラアイスの優しいミルク感でまろやかな味わいに。
またここの氷は、和歌山の荒川の桃を使用し、それをジュースにして凍らせたもので、桃の果肉がしっかりと感じられる。スプーンですくう手が止まらない。
こんなにも桃を感じられるかき氷は私史上初めてだ。
私が時間を気にして急いで食べていると
「ゆっくりしていってくださいね〜」
と声をかけてくださった。
最後にお礼と美味しかったことを伝えた。
すべてがおいしく、かき氷は予想をはるかに超えた。サンドイッチのプレートについていたミニレモンジュースの美味しさも私の中で衝撃的で、それについても触れると、年中みかんの取れる町、三重県美浜町のマイヤーレモンだと教えてくださった。温かく素敵な人のもとには、良い食材も集まるのだと感じた。
 
店内には夕方の優しい光が差し込んでいた。
ここのお店の味を思い出す時、きっとあなたもお2人の顔を思い浮かべることだろう。


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