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こんなご時世に万引きを捕まえた話

私はしがないコンビニの店長をしているのだが、ここ最近はウイルスの影響もあり、売上も下降気味で心底困り果てている。

その影響で心身共に疲れ果ててる中で事件は起こった。

2020年3月25日07:13
早朝の従業員から電話がかかってきた。

「お客様から万引きしてる人がいる」との連絡だ。

僕が行く頃には既にその万引き犯はことを済ました後で、従業員にも負担をかけてしまった。

過去にも従業員からは報告が上がっていたが、女性だけだったり、学生だけだった為、指摘して逆上されたら危ないことも分かっていたので対処が遅れてしまった。

何より万引きは現行犯で捕まえないと警察には取り合ってもらえないことも分かっていたので今までどうすることもできなかった。

そして、今日。
2020年3月27日16:05
その万引き犯を捕まえた。

入店した段階でレジの中にいた従業員から呼び出しボタンが押され店内に呼ばれた。

万引き犯は新聞を手に取り、デザートコーナーへ。
次に洋菓子を手に取り、パンコーナーへ。
その曲がり角の隙に服の中に新聞を入れた。
そして洋菓子を買うためにレジへ向かうが、「お金忘れた」を言い店外へ足を運ぶ。

店を出た瞬間、その万引き犯に声をかけた。
「すいません。新聞の会計終わってないですよね?ちょっと事務所来てもらっていいですか?」
舐められる訳にもいかないので低音で威圧をかけるように話かけたが、逆上してナイフで刺されるなど最悪のケースも考えていたので、正直足は震えていた。

16:10
事務所の椅子に座ってもらい、警察に電話を掛けた。
警察が来るまでの数分の時間も内心恐怖でしかなかった。生きた心地がしなかった。
特に話しかけることなく時は過ぎていった。

16:17
数名の警察が到着して、状況を説明する。
すると、他の店舗でも余罪があることが発覚したのだ。

詳しく話を聞くとその万引き犯は「認知症」であり、取締るのが難しいということ。

実際そのパターンも予想はしていたので
・店舗への出禁
・親族の連絡先を共有してもらう
・万引きした物の支払い
を警察の方から親族の方に要求してもらうことで話は収束を迎えた。

16:40
その万引き犯は本署へ連行された。

後日、親族の方から連絡が行くと思うのでそこで話をしてほしいと言われたので、話が完結するのはもう少し先の事だろう。


今回のことで改めて身に染みたのは「認知症」の怖さだ。

なぜ、自分がその行動をしたのかわからない。
親族である自分の息子の情報がわからない。
自分の犯した罪の重さをわからない。

そして、わからないから大した罪にはも問われず、許されてしまう。

親族はその訳がわからない行動で精神をすり減らし、心身ともに弱っていってしまう。

以前、介護業界にいた頃から感じていたことだが、「認知症」の介護をしてる親族の人たちは、思い通りにいかないことから罵声を浴びせることも多く、その表情から笑顔が伺えることはなかった。

そんな黒い世界の中で人は人を助け合い生きていることも実感している。

現在、「認知症」は遅らせることしか出来ない。
それ即ち、今回の件の様なことが全国各地で無くならないということだ。

こんな不快で疲れる思いを無くす為にも明るい未来を願って、ここで筆を置かせていただきます。

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