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アラスカとか、つくばとか、4月8日

春。桜が咲いたり散ったりしている中で新生活が始まった。

大学院の入学式。どろっと澱んだ雲の下、会場に向かった。
学部生の入学式も同じ日にある。広いキャンパスには右も左も、といった様子の親子が多い。なんにせよおめでたい瞬間である。どことなく、困ってはいても余裕のあるような表情だった。
雨に降られないように2時間前に会場入り。時間つぶしに選んだのは入学式会場の真下。先に行われている学部生の入学式から、拍手やら演奏やら歌やらが聞こえてくる。

なんとなく、「去年の今頃はどこにいたのかな」と思った。スマートフォンの画像フォルダを開く。2018年4月8日。アラスカにいたらしい。

アラスカの友人を訪ねたんだった。「もう1年?!?!?」とはならない。遠すぎる気も近すぎる気もせず、ちょうど1年なんだなあという感慨だけがある。

これまでの写真が詰まっている携帯である。そして自分は毎日何かしら写真を撮っている。

2017年4月8日、カリフォルニアにいた。アメリカに来て半年以上経って、なんだか慣れてきたかな、という頃だった。スクールバスの写真を撮っていた。この”STOP”が光っている間は周囲の車は一切動いてはならぬ、という法律がある。

調子に乗って遡る。2016年4月8日、柳川。大学を卒業して福岡に戻ってすぐに、就活の準備のために西鉄柳川駅が見たい!と言っていた友人に引っ張られて行ったんだった。しゃれた喫茶店の写真があった。

2015年、モスクワ。留学も佳境に入りかけ、という頃だった。街にもだいぶ慣れ、あちこちぶらぶらしていたようだ。4月8日は赤の広場付近を散策していたらしい。

2014年は、つくばにいた。このころの写真はない。スマートフォンを買ったのがこの数か月後だった。ここから前は、のんびり大学生をしていた頃の自分、という感じだ。これ以前に出てくる土地と言えばつくばと福岡しかない。とはいえ最近の5年間は、なかなかあちこちにいたようだ。もちろんアラスカや柳川は短期滞在だったから今日というタイミングの問題ではあったのだろうが。それでも、色々なところで色々なことをしていた自分の足跡が垣間見えたようでいい。

落ち着いているからいいとか、あちこちに行っているからいいとか、一概に言い切ることはできないと思う。ひとところに落ち着いている状態をうらやましく思う気持ちもほんのりあれば、なんだか落ち着いているのは落ち着かない、という気持ちもある。

来年の今頃はどこにいるんだろうか。願わくばおとなしく大学院で精を出していて、さっさと修了するように努めていてくれればいいのだけれど。

本とか買います。