大阪万博のゴリ押し開催に向けた過酷な建築現場の現状

大阪万博が様々な批判の下で開催に向けて進められている。
先日も大阪万博の工事現場で爆発事故が起きた。
そもそも大阪万博の会場は「夢洲」と呼ばれるなのだが、これは単なる「ゴミ捨て場」だ。
つまり、廃棄処分する冷蔵庫などの家電製品など、ありとあらゆるゴミをそのまま海に埋め立てた場所である。
「夢洲」という名前が付けられているが、夢など何もなく、そもそもゴミの山であり、ゴミの山の上で人々が活動をすべきではない場所である。
今回の爆発事故は様々なゴミから出た可燃性ガスが爆発したのであり、起こるべくして起きた事故なのだ。


そもそも建築現場では工事計画が間に合わない状況が明らかであるにも関わらず、その事実を無理やり揉み消そうとするかのように、国や行政は大阪万博の工事をゴリ押しで進めているというのが現状だ。

そもそも大阪万博で建設される建物のデザインは日本の法律を一切知らない外国人建築デザイナーが感性の赴くままに設計された。
感性の赴くままに設計されたデザインはそのままでは建てることができず、その理由は倒壊しない設計にはなっていないからである。
外国人が構造を無視したデザインの建築物を建てようとするようなことはこれまで行われてきたのだが、それは日本の構造設計家たちが外国人建築デザイナーが描いた構想を現実的な建物へとデザインを変更して来たから実現出来てきたのだ。

それは実現が困難に近いようなデザインの建物が描かれたとしても、十分な時間をかけて実現可能な設計内容に変更する時間が与えられた上で、日本の高い構造設計技術力をもってして、初めて実現するのである。
しかし、大阪万博は当初から十分な時間などない状況で計画が進められた。
その結果、大阪万博は工事の3分の1は間に合わず、かつ、工事費は約2倍に跳ね上がることが当初からわかっていたのだが、それを政府は無理やり押し切ったのだ。
しかも日本政府は、その責任を全て大手ゼネコン企業、建築業界に押し付けたのだ。
しかも、肥大化した建築費用のしわ寄せを政府は建築業界に押し付けている。

想像してみてほしい。
国から半強制的に「工事は続けろ!」という圧力をかけられる一方で、工事に必要な建築費は出されない。
こうなると必然的に、建設会社は巨額の赤字を自己が負担した上で工事を続けなければならない。
つまり、大阪万博の工事現場で働く建築業界では、①絶対に間に合わない工事を無理にでも間に合わせろと長時間労働を強いられ、②赤字になることが確定している仕事を絶対に完了させろ、というのが現状なのだ。
日本政府のこの所業は、建築業界への虐待を超えて、反社組織そのものだと言えるのではないだろうか。

現在、日本政府は働き方改革という旗振りのもと、月45時間を上限とし、年間360時間の残業時間を超えないように指導している。
年間360時間というのは、1年が12か月であることから、月平均30時間を上限としているということだ。
しかし、この大阪万博の工事を何が何でも間に合わせるために、「やむを得ない場合」という条件付きで、月90時間を上限に、年間720時間の残業時間を上限としてよいというように法律を変えてきている。

工事現場というのは一歩間違えれば事故によって作業員が死に至りやすい職場である。
そのような職場で重度の残業を恒常的に強いた状況で、遅れた工事を大急ぎで仕上げろという圧力がかかれば、当然に死者を含む事故の危険性が急速に高まる上に、長時間労働が長期間継続することによる身体的、精神的なダメージが蓄積するようになる。

建設業界では10人に1人が過労死するほど職場環境が悪くなっており、さらに職場環境が悪化の一途をたどっている状況だ。
建築作業現場での死者は年間300人にも上り、その原因は建築作業現場を十分に安全な状況に出来ていないことが背景であり、その原因はコスト削減を現場に強いたしわ寄せによる安全対策の欠如による。
日本政府の様々な横暴は様々な業界にしわ寄せがきており、建設業界も大きな被害にあっているのが現状なのである。



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