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コーヒーを飲むほど視野のかける病気(緑内障)になりやすいって本当?


2022年、眼科領域において世界的権威のある医学雑誌(American Academy of Ophthalmology)に、コーヒーの常飲と緑内障の関係を報告した1本の論文が投稿されました。


緑内障とは、目の奥の視神経という神経が痩せ細り、それに伴って視野がかける病気です。視野が欠けるとは、視界の一部が見え難くなることを意味します。


視界の中心から遠く離れた部分に視野の欠けが少し起きたとしても、日常生活で自覚できることはなく、自覚できる頃には、相当に視野の欠けが広がった頃や、視界の中心にも視野の欠けが起きて視力の低下を自覚した頃になります。


緑内障によって視野の欠けが起こると、現在の医療技術では、二度と失われた視野が復活することはなく、進行を遅らせる治療を行うことになります。


日本国内で行われた研究によれば、40代の20人に1人は緑内障であったと報告されており、決して珍しい病気ではありません。現在の日本国内における失明原因の第1位でもある怖い病気です。


このような「緑内障」になる可能性が、習慣的にコーヒーを飲むことによって上がってしまうという研究報告ですから、珈琲の好きな方には衝撃的な一報かもしれません。


ではコーヒーを何杯以上飲めば緑内障になりやすいのか?と疑問になるところですが、何杯以上でなりやすいといったものではなく、摂取量が多ければ多いほど、そのリスクが上昇するという結果ですので、飲み過ぎに注意するということが大切と思われます。


以前はコーヒーの摂取によって目の中の硬さ(眼圧)が上昇することで、緑内障につながるのではないかと考えられていましたが、否定的な意見もあります。この論文では、カフェインが、視神経の血流を低下させ、それによって視神経を障害し緑内障になる可能性が上がるのではないかという点も注記しています。


もちろん過去の論文によっては、カフェイン摂取と緑内障に何らの関連も見られなかったと結論づけるものもあります。また京都大学の研究では、コーヒーを飲んでいた人の方がそうでない人に比べて眼圧が低かったという報告さえありますので、まだまだ確定的なことは言えないのが現状です。

眼圧が高くて緑内障になるかもしれないと医師から警告されている方や、既に緑内障の診断を受けておられる方で、不安な方は、コーヒーの量を控えめにするか、あるいはデカフェのコーヒーに変えてみるなど、対策されるとより安心かもしれません。


コーヒーの摂取と緑内障との関連を報告する最近の論文は少なく、今後のさらなる研究が待たれます。コーヒーの摂取が緑内障と関連していないという研究結果が出されることを祈ります。

先日カフェイン量を気にする方に向けて、デカフェでおすすめのコーヒー豆一覧を載せた記事を書いたので、コーヒー豆を選ぶときの参考になれば幸いです。



【最後に】KaffalogというWEB版コーヒーノートのサイトを友人と運営しています。飲んだコーヒーの焙煎豆情報やレシピに関する記録を投稿ができ、他の人の投稿も見られるサイトです。
色んな焙煎豆、その焙煎豆の特徴を生かす美味しい飲み方に出会える機会に繋がればなと思っています。
皆さまの投稿お待ちしております。(焙煎店オーナー様も是非!)


参考文献
1 Li, Xi et al. “Habitual Coffee Consumption Increases Risk of Primary Open-Angle Glaucoma: A Mendelian Randomization Study.” Ophthalmology vol. 129,9 (2022): 1014-1021. doi:10.1016/j.ophtha.2022.04.027
2 「日本緑内障学会多治見緑内障疫学調査(通称:多治見スタディ)」報告
3 緑内障といわれた方へ―日常生活と心構え―
4 Vera, Jesús et al. “Effects of caffeine on intraocular pressure are subject to tolerance: a comparative study between low and high caffeine consumers.” Psychopharmacology vol. 236,2 (2019): 811-819. doi:10.1007/s00213-018-5114-2
5 Chandrasekaran, Sujatha et al. “Effects of caffeine on intraocular pressure: the Blue Mountains Eye Study.” Journal of glaucoma vol. 14,6 (2005): 504-7. doi:10.1097/01.ijg.0000184832.08783.be
6 Ozkan, Berna et al. “The effect of caffeine on retrobulbar hemodynamics.” Current eye research vol. 33,9 (2008): 804-9. doi:10.1080/02713680802344708
Nakano, Eri et al. “Relationship between Intraocular Pressure and Coffee Consumption in a Japanese Population without Glaucoma: The Nagahama Study.” Ophthalmology. Glaucoma vol. 4,3 (2021): 268-276. doi:10.1016/j.ogla.2020.09.019


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