見出し画像

【企業分析】三菱電機

6503 (東証プライム)
時価総額:4.6兆円
株価:2,100円
売上高:4兆4,800億円
経常利益:1,730億円

事業内容: 総合電機メーカー
設立年:1921年
本社:🇯🇵 東京都千代田区丸の内二丁目7番3号
(東京ビルディング)
代表者: 漆間啓(代表執行役・執行役社長)
従業員数: 連結:14万5696名、単独:3万6700名

概要

三菱電機株式会社は、東京都千代田区丸の内に本社を置く三菱グループの大手総合電機メーカーである。

本社ビル外観
(東京ビルディング)

三菱電機グループの中核企業。1921年に兵庫県神戸市にある三菱造船電機製作所(現在の三菱重工業の神戸造船所)から分離独立する形で設立された。

日本の大手総合電機メーカーとして、売上高において日立製作所に次ぐ業界2位である。一般消費者向けの家電から重電、人工衛星まで幅広い製品を販売している。FA機器、昇降機(エレベーターなど)、タービン発電機、鉄道車両用電機品、パワー半導体、人工衛星など多くの産業用電気機器で日本国内トップシェアである。

また、三菱重工と同様に宇宙・防衛エレクトロニクス分野に強みを持っている。MISTY1やKASUMIなどの開発や実装の実績による暗号化技術は世界トップレベルである。2021年において日本一の特許数を維持している。

LED電球においては三菱ケミカルグループ、エアコンにおいては同じく三菱グループの三菱重工業との間で事業が重複しており、「三菱パッケージエアコン」「三菱ルームエアコン」の呼称が三菱電機のエアコンのことを指す。ITS事業についてETC車載器製造販売が重複していたが、2017年重工は古野電気に事業譲渡した。ただ、地上部門では引き続き事業重複している。

既に撤退したパソコン用ディスプレイにおいては、ブラウン管時代から一定の評価があり、液晶ディスプレイにおいても高いシェアを占めていた。

プロダクト・ビジネスモデル

三菱電機の主軸事業は重電システム、産業メカトロニクス、家庭電器です。この3つの事業合計が三菱電機の売上げの80%以上を占めています。家庭電器は実は三菱電機の中では3番手ですが、ここ数年伸びが大きくなっています。一般の人から見ると、三菱電機=家電といったイメージが強いですが、実際はもっとスケールの大きな事業を多数手がけているのが特徴です。

部門別売上高

地域別売上高

インフラ部門

インフラ部門の強み・シナジー戦略

三菱電機の強みとしては、長年の事業経験で築いてきた顧客基盤と、様々な社会インフラシステムをはじめ、ビルシステムやFAシステム等の高い頼性をもって稼働している設備や機器が挙げられます。これらの機器が運用されている現場において、エネルギーの面ではカーボンニュートラル・省エネ・電化、ファシリティーの面では設備まるごと異常兆候検知・保守・運用など、お客様の課題に対して応えていくことが求められています。

そのためには、大規模プロジェクトの遂行で培ってきた強いエンジニアリング力で三菱電機の強いコンポーネントや技術をまとめたトータル提案が重要となります。

さらに、デジタルツインやAIの活用等、デジタル技術を適用することで新たな価値を提供することが可能になりますので、この総合力によって「E&Fソリューション事業」を展開し、事業間シナジーを生む統合ソリューションを伸ばしていきます。

また、成長領域への重点的リソース投入によって、次世代の脱炭素コンポーネントの開発の加速化、先鋭的な技術の開発が求められる防衛・宇宙事業の強化を通じて民生領域にも提供できる技術・ノウハウを生み出していきます。これらのコンポーネントや技術を、インフラ領域の次世代システムに適用することで、世界トップレベルの競争力を常に磨いていくことにつながります。

こうした有機的な循環を機能させることで、インフラBAは事業を通じた社会課題の解決を実現するとともに、次の成長に向けたキャッシュの創出も果たしていきます。

2025年度財務目標

インフラBA全体の財務目標は、脱炭素コンポーネントや防衛・宇宙事業への重点的なりソース投入とE&Fソリューションの推進などにより、2025年度営業利益率7.0%以上を目指します。

そして、2030年度に向けては、ソリューション事業の拡大とグローバルコンポーネントの強化を図りもう一段の収益性向上を目指します。

インダストリー・モビリティ部門

インダストリー・モビリティ部門の強み・シナジー戦略

インダストリー・モビリティ共通の強みとしては、制御駆動系のコア技術と、その技術を支えるキーパーツの内製化技術です。FAシステム事業の強みは、3点あります。

1点目は、最先端のお客様ニーズにこたえるシーケンサ、サーボ、CNC等のコアコンポーネントです。これらは、製造装置の高速高精度制や、高品位の加工などを実現する付加価値の高いコンポーネントです。

2点目は世界90カ国以上をカバーする販売サービスネットワークです。三菱電機グループの販売拠点や、アフターサービスを担うFAセンターに加えて、代理店や販売店とともにグローバルに拡大するFA市場をカバーし、世界中のものづくりに貢献しています。

3点目は、パートナーとのエコシステムです。お客様の様々なニーズに対応するために、スマート工場の実現に向けたe-F@ctory Allianceやエッジコンピューティング領域のEdgecrossコンソーシアム、産業用ネットワークのCC-Link協会等、各領域でパートナーとともに価値提供を行います。
自動車機器事業についても強みが3点あります。1点目は長く培ってきましたモーター技術やインバーター技術です。

2点目が自動車の生産を支える高速自動化の量産技術や小型化生産設計技術と、グローバルに広がる生産拠点、販売拠点、技術開発拠点です。3点目は様々な用途に対応したソフトウエアの開発技術です。これらの強みを活かしてこれからもグローバルでの価値提供を行います。

BA内のシナジー戦略は大きく2つあります。1つ目は自動車機器事業で培った高速自動化量産技術のFAシステム事業への展開です。自動車機器事業ではお客様とのお取引を通じて磨かれた高い生産技術力を保有しています。この生産技術力や製造開発拠点をFAシステム事業にも活用することで、FAシステム事業が持つコアコンポーネントのグローバル供給力を強化します。もう1つが豊富な設計生産現場での経験とソフトウエア技術の相互活用です。

三菱電機グループのFA機器システムを活用して自動車機器事業のものづくり力を強化し、さらにそこで得られたものづくりのノウハウをFAシステム事業において、今度はお客様への提案力強化に活かしていきます。また、カーマルチメディア事業を通じて培ったソフトウエア技術をFAシステム事業にも活用してデジタルツインの加速やソフトウエアアドオン開発などを強化し、多様化するお客様のニーズに対応します。

2025年度財務目標

インダストリー・モビリティBA全体の財務目標は、モビリティ領域の構造改革の実行、インダストリー領域の成長戦略の推進やシナジー戦略の推進により、2025年度売上高1.7兆円、営業利益率14%以上を目指します。

ライフ部門

ライフ部門は人々の生活を支える豊富な設備の提供に加えて、保守や運用管理等のサービス事業も行っています。これらの事業を通じてあらゆる生活空間における人や物の快適空間・環境を創造するソリューションプロバイダとなることを目指します。これらのライフラインとも言える設備群をつくり、みまもり、そしてさらに進化をさせていきます。

三菱電機ではライフ部門の持つ昇降機や空調照明、あるいは換気送風機器等の設備事業だけではなく、インフラBAの持つ電力供給設備等、住宅やビル、工場等、私たちの生活にかかわる多くの設備事業を幅広く担当しています。

また、これらの機能を維持して安心・安全にご利用いただくための保守・サービス、リニューアル事業も行っています。加えて、クラウド基盤を活用したZEB (net Zero Energy
Building)等を含むエネルギーマネジメント、入退室管理等のセキュリティシステム、遠隔監視
建物管理の省力化に資するロボットシステム等の事業も展開しています。このように三菱電機では設備・システム群の開発・製造技術とその保守運用管理で培われたフィールドナレッジ、さらに販売から保守、リニューアルまで行う事業体制や人材などの事業基盤を保有していますが、これらに加えて設備の運用データをデジタル技術により活用し、以下3つの統合ソリューションへの取組みを推進することで、顧客価値の創出を目指します。

1つ目は「グリーンエナジーソリューション」です。これまでの需要家側設備での省エネの取組みだけでなく、エネルギー供給データによる需要予測と需要家側での省エネ運用を連動して再生エネルギーの有効活用、カーボンニュートラルの課題に貢献します。

2つ目は「安心・安全&快適ソリューション」です。安心・安全面ではライフラインである設備が故障してから発報・復旧をするのではなく、エネルギー供給データや設備運用データに基づく異常兆候監視技術によって故障の未然防止や保守の合理化を進めます。快適環境の創造についても人の感覚や人流データによって、さらにパーソナルな快適性を追求します。

3つ目は「ビルマネジメントソリューション」です。労働力が不足する中、多くの建物管理に費やす膨大な労力とコストを、設備運用データによる自動管理やロボットの活用による省人化で、長いライフサイクルにわたるコストの抑制に貢献します。このようなソリューションの創出のためにお客様との対話を重ねながら、保守運用から得られるデータをデジタル技術により活用していく、いわゆる「循環型デジタル・エンジニアリング企業」を目指します。

ライフ部門の強み・シナジー戦略
空調・家電事業では、快適で安心・安全な生活環境創造に欠かせないHVAC&R事業(暖房/給湯・換気送風・空調・冷凍冷蔵の機器及び設備)に資源投入を集中し、グローバル各地の地域戦略に基づき成長する市場に対応した地産地消体制の強化等の施策を進めます。

ビルシステム事業では、保守・運用管理サービス事業の強化を志向し、保守事業者との提携やM&A等グローバルな投資を行っていくとともに、その資産を全社の保守・運用管理ソリューションに活用します。

空調・家電事業の持つ強いコンポーネント技術とビルシステム事業で培われた保守・運用管理・リニューアル事業のナレッジや事業基盤、これらの資源の融合によってシナジーを追求します。
また、ライフ部門内だけではなく、インフラ部門のE&F (Energy & Facility)ソリューション事業に参画・連携しながら全社的に貢献していきます。

2025年度財務目標
ビルシステム事業の財務目標は、グローバルに展開する保守・運用管理基盤・技術・フィールドナレッジ、顧客資産を活かし、ストックビジネスモデル強化への注力とビルシステムソリューションの拡大により、2025年度売上高0.7兆円、営業利益率10%を目指します。

空調・家電事業の財務目標は、主力である空調市場の世界的なカーボンニュートラル・ウェルビーイングの流れの中でグローバルでの拡大が続き、2025年度売上高1.7兆円、営業利益率11%を目指します。

ビジネスプラットフォーム部門

情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業の増加により受注・売上高ともに前年度を上回りました。

この結果、ビジネス・プラットフォームビジネスエリア部門全体では、売上高は前年度比105%の1,347億円となりました。営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前年度比9億円増加の87億円となりました。

ビジネス・プラットフォーム部門の強み・シナジー戦略

ビジネス・プラットフォームBAでは、社長直組織として、2023年4月に設立した「DXイノベーションセンター」とともに、事業DX及び業務DXの推進を支える「循環型デジタル・エンジニアリング経営基盤」を構築・提供することで、各BAと連携した統合ソリューションの創出・拡大を強力に推進します。また、ビジネス・プラットフォームBA自体も、この経営基盤構築のスキルやノウハウをもとに、既存の情報システム・サービス事業を拡大します。

事業DXとしては、Web API連携基盤やデータ分析基盤を撃備し、各事業のソリューションの機能やデータをコンポーザブルな形で相互に連携、統合可能なアーキテクチャを構築します。
また、DXイノベーションハブにより、知識やノウハウを蓄積し、複数事業を保有するコングロマリットとしての強みを拡大します。

社内の業務DXとしては、各事業で個別最適化されていた業務プロセス及びコード・マスタを標準化し、データを一元管理することにより、事業DXと業務DXのシナジーを高めたデータドリブン経営を実現します。

社会課題の解決に向け、顧客・パートナーとの共創が一層必要となる中、ビジネス・プラットフォームBAは「循環型デジタル・エンジニアリング経営基盤」の拡大・進化・高度化を継続することで、統合ソリューションの創出を支え続けます。

その他部門

市場動向

冷暖房空調機とエアコン業界

空調機・エアコン業界は、HVACシステム(暖房、換気、冷房)に関連する機器の製造販売とソリューション事業に分類されます。最近では、機器販売だけでなく、エネルギーマネジメントや保守運営の観点からHVACシステムを組み合わせるソリューション事業が重要視されています。

暖房、換気、冷房の機器には、ヒートポンプ、ボイラー、清浄機、換気扇、除湿器・加湿器、ユニットエアコン、VRFシステム、チラー、ポータブルエアコンなどが含まれ、さらに細分化されています。

2022年の空調機・エアコン業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はダイキン、2位は美的集団、3位は珠海格力電器となります。

エアコン・空調業界の市場シェア(2022年)
(ディールラボ)

2018年以降、業界の順位は大きく変動しており、格力(グリー)と美的集団(マイディア)が家庭用空調機分野で躍進し、中国市場を席巻しています。ダイキンは中国市場を拠点にグローバル展開を模索し、米国のトレイン、キャリア、ジョンソンコントロールズなどかつての御三家は再編により事業を強化しています。

トレインテクノロジーズはインガソールランドから分社化し、キャリアはビスマン・クライメイト・ソリューションズを買収、ジョンソンコントロールズは日立空調と合弁会社を設立するなど、M&Aが活発です。市場シェア5位には、産業用ニーズに焦点を当てた三菱電機、9位には日本の家庭向けに強いパナソニックがランクインしています。欧州企業は緯度的に夏場の空調が不要であるため、ボッシュ、ダンフォス、ヴァイヨンなどが群雄割拠の時代が続いています。

市場規模

調査会社リサーチアンドマーケッツによると、HVAC業界(空調及びエアコン)業界の2022年の市場規模は2176億ドルです。2023年から2028年にかけて年平均5.03%の成長を見込みます。

台数ベースでは、2015年の住宅向けエアコンは約8,000~9,000万台、産業用冷暖房空調機は1,200~1,400万台でした。

冷暖房空調機の市場規模分析では、用途や種類で区分することが重要です。例えば、暖房装置か冷房装置か、暖房装置の場合はヒートポンプか温風暖房機か、冷房装置の場合は単一式エアコンか分離型のルームエアコンか冷却器なのかなどの要素により市場規模が変動する点に留意する必要があります。

オートメーション業界

オートメーション業界はビルや建物内の空調、照明、防災などのシステム全体を管理し、監視し、運用するビルオートメーション(BEMSや中央管理システム)、工場内の受注から生産・出荷までの作業を自動化するファクトリーオートメーション、産業機器のPLCや分散制御を行うインダストリアルオートメーション、そして液体や気体を扱うプラントの工業機器やプロセス制御を行うプロセスオートメーションが含まれます。

市場シェア

2022年四半期売上高をベースとしたオートメーション会社のランキングでは、1位シーメンス、2位はジョンソンコントロールズ、3位はルグランとなっています。

オートメーション業界の市場シェア(ディールラボ)

市場規模

調査会社のグランドビューリサーチによると、2022年のインダストリアルオートメーション業界の市場規模は1722.6億ドルです。2023年〜2030年にかけて、年平均10.5%で成長する見込みです。

自動車部品業界

2021年の自動車部品業界の世界市場シェアを簡易に算出すると、1位はBOSCH(ボッシュ)、2位はデンソー、3位はZFとなります

自動車部品業界の市場シェア(2021年)ディールラボ

1位はドイツのボッシュ社となっています。ドイツを代表する産業機器メーカーで、自動車部品の分野ではエンジンから電子機器まで幅広く製造しています。ドイツの自動車大手であるダイムラーやVWとは資本関係を持たず、独立系の部品会社であることが特徴です。

2位はデンソーです。ボッシュやコンチネンタルとは異なり、トヨタとの関係性を非常に強く持っています。トヨタ自動車との擦り合わせ型の部品開発を得意とします。

3位はドイツのZFです。トランスミッションやシャシーなどのパワートレイン強く、米国のTRWの買収によりグローバル展開を加速しています。

市場規模

調査会社エクスパートマーケットリサーチによると、2020年の同業界の市場規模は3800億ドルです。2027年にかけて、年平均3%で成長し、同年には4530億ドルに拡大することが見込まれます。

エレベーター業界

2021年のエレベーター業界の市場シェア1位はオーチス、2位はスイスのシンドラー、3位はフィンランドのコネです。

エレベーター業界の市場シェア(2021年)

調査会社のグローバルマーケットインサイツによると、2020年の同業界の市場規模は823億ドルです。2027年にかけて2.5%での成長を見込みます。

世界の稼働エレベーターは16百万台、年間約1百台が新規需要程度です。またフジテックの2020年12月付プレゼンテーションによると、発表時点での世界の年間エレベーター新設台数は100万台と推計しています。台数ベースでは中国が60%の新規需要を担っています。

業績

部門売上高

インフラ
(2023年3月31日に終了した事業年度)

売上高 9,731億円  (前年度比 103%)
営業利益 275億円  (前年度比 140億円減)

社会システム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた国内鉄道各社における設備投資計画見直しの動きが継続しましたが、国内外の公共分野における投資が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内外の公共分野の増加などにより前年度を上回り、売上高は円安の影響や海外の公共分野の増加などにより前年度を上回りました。

電力システム事業の事業環境は、国内電力会社の設備投資の動きが継続し、再生可能エネルギーの拡大に伴う電力安定化の需要などが国内外で堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は国内の電力流通事業や海外の発電事業の増加などにより前年度を上回り、売上高は前年度並みとなりました。

防衛・宇宙システム事業は、受注高は宇宙システム事業の大口案件の増加により前年度を上回り、売上高は防衛システム事業の大口案件の増加により前年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年度比103%の9,731億円となりました。

営業利益は、売上案件の変動や防衛・宇宙システム事業の採算悪化などにより、前年度比140億円減少の275億円となりました。

インダストリー・モビリティ

売上高 16,602億円 (前年度比 112%)
営業利益 959億円 (前年度比 5億円減)

FAシステム事業の事業環境は、スマートフォンや半導体などのデジタル関連分野の需要は減少しましたが、リチウムイオンバッテリーなどの脱炭素関連分野の設備投資を中心に、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高はデジタル関連分野の需要が一服したことから前年度を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、脱炭素関連分野の需要の増加などにより前年度を上回りました。

自動車機器事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響などはありましたが、新車販売台数は前年度を上回り、電動車を中心とした市場の拡大に伴う電動化関連製品などの需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響に加え、モーター・インバーターなどの電動化関連製品や自動車用電装品の増加などにより、受注高・売上高ともに前年度を上回りました。
この結果、部門全体では、売上高は前年度比112%の1兆6,602億円となりました。

営業利益は、FAシステム事業は売上高の増加や円安の影響などにより増加しましたが、自動車機器事業は素材・物流費の上昇や固定資産減損損失の計上などにより減少しました。部門全体では、前年度比5億円減少の959億円となりました。

ライフ

売上高 19,471億円 (前年度比 116%)
営業利益 1,012億円 (前年度比 86億円増)

ビルシステム事業の事業環境は、新型コロナウイルス感染症の影響による市況低迷からの回復の動きが継続しました。このような状況の中、同事業は、円安の影響やアジア・国内の増加などにより受注高・売上高ともに前年度を上回りました。

空調・家電事業の事業環境は、第2四半期以降、電子部品の需給状況に改善の動きが見られました。このような状況の中、同事業は、円安の影響や欧州・国内・北米向け空調機器の増加などにより、売上高は前年度を上回りました。

この結果、部門全体では、売上高は前年度比116%の1兆9,471億円となりました。
営業利益は、素材価格・物流費の上昇や第1四半期での操業度低下などはありましたが、売上高の増加や円安の影響などにより、前年度比86億円増加の1,012億円となりました。

ビジネスプラットフォーム

売上高 4,293億円 (前年度比 112%)
営業利益 399億円 (前年度比 134億円増)

情報システム・サービス事業の事業環境は、半導体部品の需給逼迫の影響はありましたが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されていた案件が再開するなど、需要が堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、システムインテグレーション事業・ITインフラサービス事業の増加により受注高・売上高ともに前年度を上回りました。

電子デバイス事業の事業環境は、民生・産業向けのパワー半導体の需要などが堅調に推移しました。このような状況の中、同事業は、受注高は客先の先行手配が一巡した影響などによるパワー半導体の減少や、液晶事業の終息などにより前年度を下回りましたが、売上高は円安の影響に加え、民生・産業向けのパワー半導体の増加などにより前年度を上回りました。

この結果、部門全体では、売上高は前年度比112%の4,293億円となりました。
営業利益は、売上高の増加や円安の影響などにより、前年度比134億円増加の399億円となりました。

その他

売上高 8,360億円 (前年度比 113%)
営業利益 314億円 (前年度比 47億円増)

売上高は、資材調達・物流の関係会社の増加などにより、前年度比113%の8,360億円となりました。
営業利益は、売上高の増加などにより、前年度比47億円増加の314億円となりました。

経営者

創業の歴史

三菱電機前身となる創業当時は、岩崎弥太郎氏が九十九商会から三菱商会に改称し、海運業を営んでいました。三菱電機が三菱財閥としてその後の日本に大きな力を持つようになった地盤はもうこのときすでに出来上がっていたと言っても過言ではありません。なぜなら、三菱電機の前身である三菱商会は、1877年の西南戦争時軍事輸送で莫大な富を手にすることになったからです。

その後三菱造船から分社する形で設立された三菱電機ですが、やはり仕事のスケールの大きさがすごいですね。三菱電機はグローバルをこえて宇宙レベルでの事業を展開しています。

1921年1月15日、三菱電機株式会社創立。
当社は、三菱造船・電機製作所を母体に、三菱の9番目の直轄会社として誕生しました。
当時の日本は、近代的工業化のうねりの中で電気機械の需要が増大しつつある頃。三菱はその将来性に着目し、重工業化を狙う事業戦略に電機事業を大きく位置づけたのです。「これからは電気の時代。」三菱電機初代会長の武田秀雄は高らかに宣言しました。事実、「電気の時代」はほどなく到来したのです。

社長

三菱電機社長 漆間啓(うるま・けい)

1959年生まれ。大分県立大分上野丘高校卒業、82年早稲田大学商学部卒業。同年三菱電機入社。2015年常務執行役、18年専務執行役を経て21年7月から現職。大分県出身。64歳。

鉄道車両用空調装置などの不適切検査をはじめとする品質問題や、労務問題、不正アクセスによる情報流出問題を受けて前任の杉山武史氏が辞職となり、漆間氏はその後任である。

漆間氏は、2006年4月にFAシステム業務部長、2010年4月に国際部次長を歴任し、2011年4月に欧州法人であるMitsubishi Electric Europeの取締役副社長に就任。2012年4月には、同社取締役社長に就任するとともに、国際本部欧州代表も兼任している。

漆間氏は、新社長就任と同日に開いた会見で「1921年の創立以来、危急存亡の危機に直面している。私自身、さまざまな形で経営の一翼を担ってきた立場から深刻に受け止めており、そして社長として負う責任の重さも痛切に感じている」と語る。

そして、この難局において課せられた漆間氏の使命は「変革」であり、そのためにやるべきことは「企業風土の抜本的な改革を推し進め新しい三菱電機グループをつくること」「一連の問題で失われた社会からの信頼を再び取り戻すこと」、これら2つに尽きるとした。

株価推移

記事をお読みいただきありがとうございます!^ ^もしよろしければご支援いただけると幸いです✨いただいたサポートはクリエイターの活動費に使わせていただきます!🙇‍♂️