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【企業分析】Affirm Holdings

AFRM(Nasdaq)
時価総額:102億ドル
株価:36ドル
売上高:8.7億ドル
営業利益:▲3.9億ドル
事業内容:BNPL(後払い決済)の提供
設立年:2012年
本社: 米国 カリフォルニア州 サンフランシスコ
代表者: Max Levchin
従業員数:1,342人
主要株主: Traditional investment manager(伝統的な投資運用会社) – 20%
VE/PE firm(ベンチャー・キャピタル/プライベート・エクイティ・ファンド)-16%
Individual/Insider(個人投資家)-7%

概要

AffirmはPayPal創業者であるマックス・レブチンが2012年に創業したフィンテック企業。2021年1月に米国NASDAQに上場。

BNPLを提供し、加盟店から徴収する決済関連手数料と貸付に伴う金利収入を収益源としている。

事業拡大の先行投資を優先しているため赤字が続いているが、急成長で市場の期待を集めている。
AffirmはEC市場の30%以上を占めると言われるAmazonとの提携を発表し、ユーザの急拡大が期待されて株価も跳ね上がった。

BNPL事業者としてはアメリカのAffirm、スウェーデンのKlarna、オーストラリアのAfterPayが世界最大手。

事業内容・業界動向 

BNPLとは

BNPL(Buy Now Pay Later)はクレジットカードを利用しない後払い(分割払い)のサービス。
アメリカではクレジットカードのリボ払い(分割払い)が主流となっているが、リボ払いには高い利率がある。また、クレジットカードを持たない人は利用できない。

クレジットカードを使わない分割後払い新しい分割後払いサービスとして、BNPLは生み出され、普及していった。

また、銀行やクレジットカード会社などの金融機関が提供している既存の分割払いやローンとは異なり、手軽に導入・利用できる利点がある。
分割払いサービス利用者の裾野拡大と、AIによる与信の算出で貸し倒れ率を低く抑えていることも成長の理由と言われている。

BNPLの仕組みとメリット

Affirmなどが手掛けるBNPLサービスの特徴は、後払い(分割払い)を利用する利用者の与信情報をAIで算出していることである。
ネット通販での買い物履歴や支払い履歴などをビッグデータとして収集し、AIで分析して貸倒リスクなどを勘案して個人個人の与信を算出し、利率を設定している。

従来のローンやクレジットカードの分割払いのような審査が必要ないため、手間と時間がかからず気軽に利用できるとしてユーザ数を拡大している。
また、事業者側から見ても、システム手数料が安く、貸し倒れリスクも低いなど、導入しやすいメリットがある。
例えば、AmazonはAffirmと提携してBNPLを提供すると発表した。クレジットカードを持たない人でも、Amazonの買い物にボタン一つでBNPLを利用できるようになる。

BNPLはAffirmなどのBNPL事業者が小売店への支払いを立て替えることで、ユーザは商品を買ったあとに分割払いを行う仕組み。
小売店は決済手数料をBNPL事業者へ支払い、これがBNPL事業者の収益になる。

日米のBNPL提供企業

日米のBNPL事業者を紹介する。

ここまで BNPL 市場の拡大を支えてきたのが、スウェーデンの Klarna、米国の Affirm、オー ストラリアの After Pay といった FinTech 企業である。
いずれも加盟店から徴収する決済関連手数料と貸付に伴う金利収入を収益源としており、母国市場だけでなく海外展開も進めている。業績をみれば、2010 年代後半から決済取扱高が急増 するなか、トップライン収益も増加している

大手 BNPL 事業者の業況

わが国における BNPL 事業者

わが国においても、欧米や豪州に比べれば小規模ながら、Paidy とネットプロテクションズ といった BNPL 事業者が存在する。
Paidy は、BNPL 決済サービス「Paidy 翌月払い3」を 2014 年 10 月に開始し、現在の利用者は 450 万人、加盟店は 70 万店となっている。また、2016 年には大手商社伊藤忠商事と資本・業務 提携を締結し、2020 年4月には、追加の株式取得により、同社に対する伊藤忠の持株比率は 25% にまで上昇した。また 2021 年3月には海外の投資家から総額で 1.2 億ドルの出資を受けるなど、 業容の拡大を図っている。
ネットプロテクションズは、2002 年から EC 向け後払い決済サービスを展開しており、同社 の主力商品である「NP 後払い」の 2019 年度の年間決済取扱高は 2,900 億円、ユーザーは 1,450 万人となっている。2021 年2月には、大手クレジットカード事業者の JCB と資本提携した。

BNPLの市場規模

グローバルでのBNPL市場は2020年に10.6兆円を突破し、2025年には72兆円を超えると予測されている。

この大きな市場拡大は、若い世代でのクレジットカード離れ、新型コロナウイルスの影響によるオンラインショッピングの拡大が要因と言えるであろう。

例えばアメリカでは、EC市場が2019年の約6,000億ドルから2020年には約8,600億ドルへと、1年で急拡大している。

競争力

Affirm社の第一の強みは、大規模小売店をパートナーとしていることだ。企業が一旦BYPL企業と提携すると、複数の企業と提携することにあまり意味がないため、競争上の優位性となる。複数のBYPL企業がウェブサイトに統合されている場合の運用コストを考えてみよう。Affirm社は、Walmart社以外にも、Peloton社(PTON)、Purple社(PRPL)、Expedia社(EXPE)などの大手Eコマース企業と、すでに複数のパートナーシップを結んでいる。

KlarnaやAfterpayのような企業の加盟店は、ほとんどが衣料品やアクセサリー、あるいは小規模な企業である。Klarnaの主なパートナーは、Etsy (ETSY)、Macy's (M)、H&M (OTCPK:HNNMY)、Sephora (OTCPK:LVMHF)など。
一方、Afterpayの主なパートナーは、Ulta Beauty (ULTA)、adidas (OTCQX:ADDYY)、American Eagle (AEO)、Reebokです。これらはいずれも良い会社ですが、Affirm社の方がより印象的なリストを持っている。

2つ目は、同社の決済システムが大手小売企業のe-Commerceプラットフォームに統合されていること。これにより、よりシームレスなショッピング体験が可能となる。例えば、Affirm社のパートナーの1つにWalmart(WMT)がある。Walmartのウェブサイトで商品を購入する際には、クレジットカードやPayPal(PYPL)と並んで、Affirmが支払い方法として表示される。同社は、さまざまな業界の6,500の加盟店と提携している。

affirmのサービス

・3、6、12カ月の分割後払いが基本で、金利手数料は年率(APR)0-30%
・返済期間、APRはマーチャント(商品)ごとに変化
・仮に手数料が発生する場合でも、決済前に手数料相当額、毎月の返済金額を明示
・顧客から明確に同意を得たうえで、後払いを処理。

・消費者金融のように複利で借金がふくれあがる心配がないところがユーザーを引きつける魅力

・膨大なデータから機械学習を用いて、顧客の返済能力を判断
(従来のFICOスコアよりも精度が高いとされる)

・アファーム(AFRM)はマルケタ(MQ)との提携で発行するバーチャルカードで自社加盟店以外のECや、実店舗での分割後払いに対応している。

BNPL事業者の基本モデルは「分割払いで購入→分割金額をデビットカード払い or 銀行口座引き落としで清算」となる。

・世界で主流なのは4分割6週間払い
・アファーム(AFRM)の場合は3、6、12カ月の後払いが主流
・支払期間の長さで金利手数料率が設定されるが、4分割6週間は手数料無料であることが多く、手軽に使える後払い手段として浸透している。

アファーム(AFRM)は全体の取扱高の43%は手数料無料の取引だと報告している。

BNPL事業者はリボ払いのように消費者に不当な手数料を課さず、透明で健全な後払い環境を育てようとしている。

現在の主戦場はECですが、今後実店舗での存在感も増していくと考えられる。

業績推移

売上高

売上高(Total revenues)、および売上高を構成する各サービス売上高の推移は以下の通り。

Gross Merchandise Volume(GMV)

Gross Merchandise Volume(GMV)、およびContribution profitの推移は以下の通り。

Contribution profit(貢献利益)は下図の通り、売上高から変動費と直接固定費を引いて算出される。

経営者 

アファーム(AFRM)は、ペイパルの共同設立者かつ元CTOマックス・レヴチン氏が2012年に設立した会社。

マクシミリアン・レヴチン、1975年7月11日 - )はウクライナ共和国生まれの計算機科学者、起業家。PayPalの共同設立者で元CTO。

ペイパルの設立に携わった幹部は経営のプロ集団であり、ペイパル・マフィアと呼ばれている。

ウクライナ共和国キエフに生まれ、1991年にイリノイ州シカゴへ移住。1997年にイリノイ大学アーバナ・シャンペーン校で計算機科学の学士号を取得した。同級生にYouTube共同設立者の陳士駿がおり、後にPayPalの従業員として採用している。

株価推移

株価の推移は以下のようになっている。上場後上がった後はかなり悲惨なチャートとなっている。

顧客の増加に伴い、規制当局からの監視の目が厳しくなっているため、その点を市場が懸念しているようである。消費者に対する遅延損害金の請求は「無免許の貸付事業」だと規制当局から指摘され、各社がライセンスを取得している。

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