カブトナリ

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最近の記事

【読書メモ】ぎんなみ商店街の事件簿 SISTER編

皆さんこんにちは。今回は井上真偽の「ぎんなみ商店街の事件簿 SISTER編」についてご紹介します。このシリーズは、古き良き商店街で起こる事件を解決する物語で、「BROTHER編」と「SISTER編」という2つの視点から展開されます。今回は、三姉妹が主人公の「SISTER編」を読みました。 もちろん「SISTER編」の舞台も銀波商店街。物語は、三姉妹が探偵役となり、商店街で起こる様々な事件を解決していく姿を描いています。時系列は「BROTHER編」と同じなので、同じ事件に出く

    • 【読書メモ】ぎんなみ商店街の事件簿 BROTHER編

      皆さんこんにちは。井上真偽による「ぎんなみ商店街の事件簿」シリーズは、古き良き商店街で起こる事件を解決する物語で、読者を温かな気持ちにさせると同時に、スリリングな推理の楽しさも提供します。シリーズは「BROTHER編」と「SISTER編」の2冊があり、それぞれが異なるキャラクターを中心に展開されます。今回は「BROTHER編」を読みました。 舞台は銀波商店街。物語は、元太(24歳)、福太(高校生)、学太(中学生)、良太(小学生)の四兄弟が探偵役となり、商店街で起こる様々な事

      • 【読書メモ】土偶を読む

        皆さんこんにちは。土偶についてはご存知ですか?これらが何を象徴しているか?一般的には豊穣の象徴であり、妊娠した女性を表しているとされています。これが長らくの通説であり、私もそう考えていました。しかし、これは土偶に関する数ある説の一つに過ぎず、そのモチーフについて客観的な根拠は乏しく、研究者の間でも統一された見解はないようです。 この本では、考古学者ではなく人類学者である竹倉史人さんが、土偶についての独自の考察を展開します(表紙にはネタバレが含まれています)。ハート形土偶や「

        • 【読書メモ】魚で始まる世界史

          皆さんこんにちは。今日紹介するのは、歴史の教科書ではあまり触れられない、魚が西洋史に果たした役割にスポットを当てた越智敏之の著書『魚で始まる世界史』です。この本は、ニシンやタラなどの魚がヨーロッパの経済や文化の発展にどのように寄与したかを詳述しています。これらの魚がいかにして大航海時代の推進力となり、新大陸への影響を与えたかが興味深く語られています。 この本では、魚が単なる食料以上のものとして位置づけられている点が特徴的です。キリスト教をはじめとした宗教との密接な関わりや、

        【読書メモ】ぎんなみ商店街の事件簿 SISTER編

          【読書メモ】『硫黄と銀の室町・戦国』

          皆さんこんにちは。 『硫黄と銀の室町・戦国』は、日本が14~17世紀に採掘し、東アジアへ大量輸出した硫黄と銀の歴史に注目した著作です。この本は、鹿毛敏夫によって編集され、多岐にわたる専門家が共同で寄稿しています。硫黄と銀の採掘がいかにして東アジア全体の貿易構造に重要な影響を及ぼしたかを、生産から消費に至るまで幅広く探求しています。なぜ『硫黄と銀』という組み合わせなのかも、冒頭で語られています。 本書は三部構成となっており、第一部では硫黄と銀の世界史を扱い、第二部では硫黄山・

          【読書メモ】『硫黄と銀の室町・戦国』

          【読書メモ】国宝(下) 花道篇

          皆さんこんにちは。下巻『花道篇』では、喜久雄が三代目花井半二郎として名を馳せてから晩年までの道のりを追います。彼は先代の実子である俊介との関係を再構築し、後進の育成にも尽力する中で、芸の完成度を極めていきます。しかし、彼の周囲で起こる悲しい出来事や彼自身が経験する精神的な孤独は、彼の芸をさらに磨き上げる要因となります。 シリーズを通じて、喜久雄の芸術的な成長と人間としての深い孤独が巧みに描かれています。彼が何を得て何を失ったのか、読者に想像の余地を与えています。物語の地の文

          【読書メモ】国宝(下) 花道篇

          【読書メモ】国宝(上) 青春篇

          皆さんこんにちは。吉田修一の『国宝(上) 青春篇』は、歌舞伎という伝統芸能の世界を背景に繰り広げられる、若き歌舞伎役者・喜久雄の成長物語です。物語は長崎でのヤクザたちの新年会で組長が亡くなる事件から始まります。この事件で父を失った主人公・喜久雄は、その場に居合わせた人気歌舞伎役者・花井半二郎の元で面倒を見てもらうことになり、彼のもとで歌舞伎役者としての厳しい修行を積むことになります。 喜久雄は才能を開花させ、半二郎が怪我で舞台に立てなくなった際、彼の代役として選ばれます。し

          【読書メモ】国宝(上) 青春篇

          【読書メモ】十戒

          皆さんこんにちは。今日は夕木春央の『十戒』を紹介します。 あるきっかけで個人所有の小さな無人島に集まった9人のうち、1人が殺されます。犯人からのメッセージにより、残された人々に課された戒律は「決して殺人犯を見つけてはいけない」でした。 物語の主人公は、美大浪人生の里英です。彼女は父と共に、伯父が遺した無人島へ渡ります。この無人島でリゾート開発の話が持ち上がり、その関係者とともに視察を兼ねた息抜きに参加したのでした。 しかし、すぐに里英は事件に巻き込まれていきます。通常、こ

          【読書メモ】十戒

          【読書メモ】サイゴンから来た妻と娘

          皆さんこんにちは。「サイゴン」とは、現在のホーチミン市であり、かつての南ベトナムの首都です。サンケイ新聞のサイゴン支局長だった著者は、その地で家庭を持ちます。彼の妻はベトナム出身で、連れ子がいました。 本書は、ベトナムの庶民の生活をリアルに描き出しています。昭和50年頃の話ではありますが、現代日本からは想像もできないような混沌としたエネルギッシュな街の風景が描かれます。特に、ベトナム人女性が「世界で最も気が強い」と評される点に触れ、その強さが如何にして表れるかのエピソードが

          【読書メモ】サイゴンから来た妻と娘

          【読書メモ】少年と犬

          皆さん、こんにちは。今日は私の好きな作家の一人、馳星周の『少年と犬』について紹介したいと思います。これは彼の有名な不夜城シリーズのようなノワールとは異なり、一匹の犬とその犬が出会う人々、そして彼らの周りで展開するさまざまなストーリーを描いた作品です。 物語は東日本大震災後の東北のある町から始まります。主人公の男性は、コンビニの駐車場で賢そうだが少し汚れた犬と出会います。「男と犬」という章では、この男性が家族を助けるために渋々不正な行為に手を染めますが、犬との奇妙な縁が幸運を

          【読書メモ】少年と犬

          【書評】リーチ先生

          皆さんこんにちは。『リーチ先生』は、バーナード・リーチというイギリス出身の陶芸家と、日本人青年沖亀乃介の交流を中心に展開します。この物語は、一人の外国人芸術家が日本文化に魅了されたという話ではなく、異文化間の深い理解と絆の形成を描いたものです。 横浜の洋食店で給仕として働いていた亀乃介少年。彼は偶然にも高村光太郎と出会い、その縁で光太郎の父である彫刻家・高村光雲の書生となります。この新たな生活が彼の運命を大きく変えることになります。光雲のもとで働いている時にリーチが訪れ、亀

          【書評】リーチ先生

          DANKETSU(団結集会in金沢)

          フードアナリストでありインフルエンサーのあすかりんさんが主催するチャリティーイベントに参加しました。能登の復興のために集まってくれた有名シェフが腕を振るいます。ちなみにみなさん、日中は能登の被災地での炊き出しを行い、その後で金沢でイベントの開催です。 立食形式というと、動線が悪かったり料理の取り合いになったりで、空腹のまま帰ることもあったのですが、この会に関しては大満足、お腹いっぱいです。あすかりんさんが自らマイクを取り、仕上がった料理をアナウンスし、希望者は順番に取りに行き

          DANKETSU(団結集会in金沢)

          【読書メモ】僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

          皆さんこんにちは。永田和宏氏の対談集「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」は、各界のレジェンドたちの軌跡を追う一冊です。山中伸弥氏(iPS細胞研究所所長)、羽生善治氏(棋士)、是枝裕和氏(映画監督)、山極壽一氏(京都大学総長)という、今やその分野の象徴とも言える人物たちとの深い対話を通じて、彼らが経験した失敗や挫折、そしてそれらを乗り越えた過程を綴っています。 この対談集は、ただ単に成功者の光り輝くエピソードを集めたわけではなく、彼らが「何者でもなかった頃」に直面した挑

          【読書メモ】僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう

          【読書メモ】ウソはバレる

          皆さんこんにちは。イタマール・サイモンソンとエマニュエル・ローゼンによる著作「ウソはバレる」は、現代向きにソーシャルメディアマーケティングの指針を示しています。インターネットの普及による情報の透明性が高まり、消費者の製品やサービスに対する見方が根本的に変わった現代社会において、企業がいかにして消費者と向き合うべきかを説いています。 従来のマーケティング理論では、ブランドの構築や顧客との絆が成功の鍵とされてきました。しかし、この本ではそうした考え方が現代社会では通用しなくな

          【読書メモ】ウソはバレる

          【読書メモ】絶滅生物の折り紙

          皆さんこんにちは。図書館の棚でひっそりとその存在を主張していた『絶滅生物の折り紙』は、一見するとただの趣味の手引き書のように見えます。しかしページをめくるごとに、この本がただものではないことがわかります。マンモスやドードー鳥、モアなど、この世から姿を消してしまった生物たちが、折り紙という形で蘇ります。もしかするとこの本は、絶滅した生物たちへのオマージュであり、生物多様性の喪失に対する静かながらも強い警鐘を鳴らしているのかもしれません。 折り紙は日本の伝統的な芸術の一つであり

          【読書メモ】絶滅生物の折り紙

          【読書メモ】スラムダンク勝利学

          皆さんこんにちは。辻秀一氏の「スラムダンク勝利学」は、スポーツ心理学と自己成長について学べる一冊です。スポーツドクターとしての深い見識を背景に、自己実現のための具体的な手法を示しています。本書は、マンガ「スラムダンク」の魅力的なエピソードとセリフを用いて、目標達成のための心理学的概念を解き明かします。 意識、下意識、セルフイメージの探求 「スラムダンク勝利学」は、主人公、桜木花道が序盤で学んだレイアップシュート「置いてくる」を例に、意識、下意識、そしてセルフイメージの三つ

          【読書メモ】スラムダンク勝利学