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クラロワ | Bernard "Bren" Chong氏の報道に関する時系列まとめと解説(※2023年5月15日更新)

非常に気が重くなるニュースが入って来ました。

クラロワ界隈の世界的VIPの1人であるBernard "Bren" Chong氏に、麻薬密輸の疑いでフィリピン当局から逮捕状が出ているとの報道が出たのです。正直な話、ビッグネームの重すぎるスキャンダルに界隈の1人として動揺が隠し切れません。

今回のnoteではつとめて冷静に本件の関連情報をまとめるとともに、3つの視点から解説をしてみます。

更新履歴
2022/08/04 Bren Esportsの声明を追記
2023/05/15 容疑が晴れたとのニュースを追記


Bernard "Bren" Chong氏とは?

"Bren Chong"として知られるBernard Lu Chong氏(TwitterFB)の本業は、フィリピンの実業家です。ゲーム界隈では、eスポーツチームのオーナーや大会スポンサーとしての活動の方が通りがいいでしょう。

彼がオーナーをつとめるeスポーツチーム「Bren Esports」(WebTwitter)は、複数のゲームタイトルでプロチームをかかえる東南アジアの強豪チームです。そして、かつてチーム戦だった時代の公式リーグ(「クラロワリーグ・アジア」)に参加していた歴史もあります(2018-2019年)。

彼の『クラッシュ・ロワイヤル』コミュニティとの関わりは、長く、そして濃いものです。

アメリカの人気クラロワYouTuber、”CWA”ことAsh氏のスポンサーとなったのは2017年2月のことですし、近年はスペインの大会系YouTuber、Revol Aimar氏が企画する大会のスポンサーとしていくつもの大型企画を成功させてきました。

2022年のクラロワリーグでは、コミュニティ大会(「ゴールドチケット大会」)が予選の一部に組み込まれましたが、全6大会のうち2大会が彼の名を冠するものでした。

要するに、彼はeスポーツの世界やクラロワのコミュニティで世界的なVIPの1人と言って差し支えのない大物でした。それだけに、本件が与えたインパクトがとても大きいのです。


時系列まとめ

以下、今回の報道や関係者の反応を時系列でまとめます。

◯麻薬密輸の疑いでBernard Chong氏に逮捕状が出たとの報道(Bilyonaryo紙、8月2日)

マニラの裁判所は、マニラ国際コンテナ港(MICP)で18億7000万ペソ(=約44.7億円)相当のシャブの密輸に失敗したことへの関与の疑いで、物議を醸したアプリ「Lyka」と「Bren Esports」を起業した人物の逮捕を命じました。

国家捜査局(NBI)国際業務課のJoey Moran課長は、Bernard Lu Chong氏の捜索活動は現在進行中であると述べました。彼は、実業家が当局に自首し、彼に対する告訴に直面するよう訴えた。

(以下略。DeepL翻訳を使用)

※「Bilyonaryo」(WebTwitterIG
フィリピンのネットメディア。Bilyonaryoとはタガログ語で、「億万長者」を意味する。『私たちは、金持ちの億万長者や有名人に関するすべての最新ニュースを収集することに専念するオンラインマガジンです!』(公式Twitterのプロフィールより)

記事によれば、フィリピン当局は、2019年5月に阻止された大規模な麻薬取引に、Bernard Lu Chong氏が関与したとの疑いを持っている。彼は起訴され、2021年6月には逮捕状が発行された。


◯実の兄弟Barnaby Chong氏は、彼が無関係であると主張(Bilyonaryo紙、8月2日)

Barnaby Chong氏は、兄弟のBrenはWorld Balance社と何の関係もないと主張している。CHG Global(旧World Balance International)は、麻薬密輸の疑いで逮捕状が出ているオーナーの息子との関連性を一切否定しています。

CHGの社長兼CEOであるBarnaby L. Chongは、逮捕状の対象であるBrenは自分の兄弟であるが、「彼はCHG Global、World Balance、または会社の他の事業の運営に関与していない」と述べた。

(以下略。DeepL翻訳を使用)

記事によれば、Bernard Chong氏の実の兄弟は、彼の麻薬密売への関与を否定した。


◯Bernard Chong氏、自身のTwitterで潔白を主張(8月3日)

Twitterの皆さん、こんにちは。ご存知の方もいらっしゃると思いますが、ここ数時間、私の母国であるフィリピンの事件に私が関与しているとされるニュースがいくつか報道されました。
私はこのTwitterスレッドで、私が長年大切にしてきた名声を失墜させかねないこれらの主張を断固として否定するために書いています。
皆さんの中には、私をEsportsコミュニティの一員としてしか知らない方もいるかもしれませんが、実際はそれ以上に幅広い人間であり、エンジェル投資家であり起業家でもあるのです。私は、大きな可能性を秘めた企業やスタートアップに投資したり、自分で起業したりしています。
素晴らしいアイデアを持っている人、さらに言えば、善良で優れた才能を持っていると思える人に投資しています。
私は、無実の人々を保護する司法制度と、常に真実が勝つことを信じています。この文章で皆さんの疑問が晴れることを祈るとともに、この困難な時期にご支援をいただいたことに感謝いたします。

Bernard Lu Chong(バーナード・ルー・チョン)

(DeepL翻訳を使用)

Bernard Chong氏自身もTwitterの投稿で事件への関与を否定。自分はあくまで投資家・起業家であること、自分が無実であり、真実が勝つと信じていることを表明した。


◯Bren Esportsが公式Twitterで声明を発表(8月4日)

この度、弊社のCEOであるBernard Chongに関する疑惑の問題を認識いたしました。この状況についてより多くの情報を収集する中で、私たちは、Bren Esportsが私たちのコアバリューを守り続け、アスリートや従業員の成長のために最高の労働環境を提供することをコミュニティや業界のパートナーに保証したいと思いました。私たちは、真実は常に勝つと信じています。
私たちは、esportsアスリートにふさわしい最高のサポートと体制を提供するために、ビジョンと目標に全力を尽くします。私たちは、業界のパートナーとともに、フィリピンをesportsのホットスポットにすることに貢献し、グローバルブランドや組織がフィリピンのesports業界に投資し成長するための指標であり続けています。
私たちは、フィリピンのesports業界を盛り上げていくために、コミュニティや業界のパートナーの方々のサポートに感謝しています。

BREN ESPORTS

(DeepL翻訳を使用)



解説 - 3つの視点

本件と冷静に向き合う上で、筆者が大事だと思う3つの視点を解説します。

1. 推定無罪の原則とコンプライアンス

無罪の推定
「無罪の推定」とは、犯罪を行ったと疑われて捜査の対象となった人(被疑者)や刑事裁判を受ける人(被告人)について、「刑事裁判で有罪が確定するまでは『罪を犯していない人』として扱わなければならない」とする原則です。
「無罪の推定」は、世界人権宣言や国際人権規約に定められている刑事裁判の原則であり、憲法によっても保障されています。

日本弁護士連合会

まず大前提として、「被疑者」と「犯人」は同じではありません。

日本ではマスコミ含め「容疑者(被疑者)=犯罪者」と扱ってしまいがちですが、現時点では彼は疑いをかけられただけです。今後の裁判を通して「無罪」か「有罪」かが争われ、判決が出て初めて決まるのです。

つまり、現時点で彼を犯罪者扱いするのは誤りです。

しかし、現代社会ではコンプライアンスも厳しく問われます。

■コンプライアンス
コンプライアンス【compliance】とは英語で「命令・要求に従うこと」という意味。
日本では「法令遵守」、最近だと「企業が法律や企業倫理を遵守すること」という意味で使われることが多いですね。
「ビジネスコンプライアンス」とも言います。

デジセン商事.com

もし彼が「黒」となった時のリスクを考えると、「白」でも「黒」でもない期間にこれまでどおりの付き合いをすることはコンプライアンス上のリスクとなります。判決が出るまで、彼や彼の関係者の活動は、制限もしくは中断されるケースが増えるでしょう。

彼のことを「白」か「黒」か決めつけたくなる気持ちはは分かりますが、それは僕らが決めることではなく、法が判断することです。一方で、結果が出るまでの期間の関係性はこれまでと変わらざるをえないでしょう。


2. フィリピンと麻薬問題

フィリピンの麻薬問題は、一説に”国民の50人に1人が薬物を使っている”と言われるほど深刻なものです。2016年に就任したロドリゴ・ドゥテルテ前大統領のもとで「麻薬戦争」とも呼ばれる徹底した反麻薬政策がとられ、その苛烈さには世界が注目するほどでしたが、問題の根本的な解決には至っていないのが現状です。

彼にかけられた容疑は非常に重いものです。もし「黒」という結果になった場合、彼の名声や築き上げてきたものに深刻なダメージが出るでしょう。それはゲーム界隈やeスポーツ界隈にも暗い影を落とすことになります。


3. クラロワ界へのインパクト

本件がクラロワ界に具体的にどんな影響を与えるのか、今後どんな影響が出るのか、考えてみました。

  1. 最近終わった大会(賞金支払い等)

  2. いま動いているイベント(CRL2022)

  3. 今後の公式リーグ

  4. 今後のコミュニティ大会

①最近終わった大会(賞金支払い等)
一般的にこういう場合、組織が混乱することによって大会の運営や賞金などに影響が出る場合があります。今回該当しそうな大会は「Masters Challenge by Bernard Chong」ですが、6月12日に大会が終了し、賞金が入金されたかされつつある段階だと思われます。今のところ問題は発生していないようですが、該当選手は一応気を付けておくべきでしょう。

②いま動いているイベント(CRL2022)
ゴールドチケット大会の6大会中2つの大会が彼の名前を冠している訳ですが、今後のプロモーションや露出のさせ方に影響が出ることが想定されます。コンプラ上彼の名前をあまり前面には出したくはないはず。さすがに、彼の大会そのものの否定や、大会結果の取り消し、といった事態にはならないと思うのですが……

③今後の公式リーグ
コミュニティの活性化を、という狙いもあって2022年は、公式大会予選にコミュニティ大会を組み込んだ「ゴールドチケット大会」という仕組みが導入された訳ですが、ここにきて想定外の事態が起こってしまいました。2023年の公式大会のフォーマットに”負”の影響を与えそうな予感がします。

④今後のコミュニティ大会
定期的に大型大会を提供してくれたスポンサーが1人不在となることで、来年以降は大きな賞金大会が減る可能性が高いです。(願わくば「白」という結果を手に、彼の大会が再び開催される日が早く来てほしいと思います)

世界中からトッププレイヤーが全員集まるような大型大会を企画する際、賞金という要素は大きなフックになります。それを提供してくれるスポンサーは、界隈にとって喉から手が出るほど欲しい、ありがたい存在です。しかし、今回の件が示唆するのは”eスポーツでもスポンサーをコンプラチェックしなくてはいけない時代が来たかもしれない”ということです。

しかしチェックすると言っても、例えば”クラウドファンディングで募った出資者の中に実は反社な方がいて…”というようなリスクをはたして排除しきれるものでしょうか。現実問題、難しいと思います。”発生確率は低く、排除することはほぼ不可能だけど、起動したら大ダメージな爆弾”の存在が見つかったイメージでしょうか。こんなのどうしたらいいんだ……。

クラロワ界にも大小さまざまな影響が予想されますが、今のところは推測の域を出ません。事件の続報にしろ、彼のチームや彼が関わって来たeスポーツ活動にしろ、しかるべき筋から正確な情報が出るのを待ちましょう。
こういう時こそ、デマやフェイクニュースに惑わされないように!


以上、Bernard "Bren" Chong氏の報道に関する時系列まとめと解説でした。気乗りはしませんが、本件は今後もウォッチしていきます。■


+ 関連News

▽Daily Tribune

▽kotaku

▽ESI

https://esportsinsider.com/2022/08/philippine-authorities-bren-esports-ceo-drug-charges

▽Dot Esports


+ 関連SNS

▽Jake Lucky

▽Ash

▽CRL Intel


【続報 2023/05/15】Bren Chong氏の麻薬密輸容疑が晴れたとの報道

2023年5月8日、フィリピンのメディアABS-CBNが報じたところによると、Bren Chong氏の麻薬密輸の容疑が晴れた模様です。記事に書かれている以上のことはわかりませんが、要するに彼は無罪となりました。

クラロワ界では、Ash氏がいち早くこのニュースに反応しています。私もずっと気になっていたので良いニュースを聞けてほっとしました!


+ 関連News (2)

▽ABS-CBN

https://news.abs-cbn.com/sports/05/08/23/ca-clears-bren-esports-owner-of-drug-smuggling-charges

▽CNN

https://www.cnnphilippines.com/news/2023/5/10/ca-bernard-chong-drug-smuggling.html

▽Dexerto

https://www.dexerto.com/esports/bren-esports-owner-cleared-of-33m-drug-smuggling-charges-2139821/



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最後までお読みいただきありがとうございました。
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それでは、また次の記事でお会いしましょう! (kabutom)

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