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クラロワリーグ | CRL Asia | Thank you and farewell, "kota"

2020年3月16日、統合された新リーグ「クラロワリーグ イースト」(Clash Royale League East)8チームの開幕ロスターが発表された。昨季のプロ選手で今回CRLを去る日本選手の数は過去最多の10人。
3月が終わる前に、1ファンからの送別メッセージを1日1本書いていくことにした。今日はその2日目。


2020年1月21日、”kota”が「クラッシュ・ロワイヤル」のプロ選手生活からの引退を発表した。彼はこれまで「クラロワ」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ アジア」(Clash Royale League Asia, CRL Asia) において、日本のプロチーム PONOSの一員としてプロ選手活動をしてきた。

普段のふにゃっとした柔らかい話し口と、試合でヘッドセットを装着した際のキリッとした立ち姿とのギャップが実にチャーミングな選手だった。

急ですが報告
12月頃には決めてたことです!
去年ほどクラロワに時間はかけれなくても大会やイベントで勝ちたいのでもっと強くなります😕
YouTubeで近いうちに話します✌️
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プロ活動を引退します。
来年もやりたいという気持ちがないと言えば嘘になりますが、この1年で様々な人に出会えて今まで知らなかった世界を知ることができ勉強してみたい内容がたくさん増えました。
そのおかげで今年はクラロワ以外の面で成長できるよう頑張ろうと決心できました。
自己主張の弱い自分が周りの人に反対されても、それでもやりたいと思えたCRLに出会えたことを本当に嬉しく思います。
勝てなくてつらい時期も正直ありましたが応援してくれた方やPONOSの方、一緒に過ごしてくれた仲間のおかげで頑張ることができました。
クラロワプレイヤーとしてだけでなく人間としても成長することのでき、今までで一番楽しかった9ヶ月間だと思います。
あっという間でしたが応援ありがとうございました!クラロワをやめる予定はないです、これからもよろしくお願いします。


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一昨年の2018年、kotaはCRLのプロ選手になることを目標としてから、戦略的に動いた。

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国内外のトップ選手にアポを取り、胸を借りて実力の底上げを図るとともに、アマチュアの大会に積極的に参加した。その結果、2018年の日本クラロワ界最大のアマチュア個人戦トーナメント「Red Bull M.E.O.」での優勝という実績を残すことができた。2019年の開幕時、前年(※CRL発足年)よりも新人選手の門戸は狭くなっていたが、彼はなるべくしてプロになったのだ。


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kotaのCRLにおける公式戦プロ通算成績はこの通り。

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CRL Asiaで常に優勝争いに絡む強豪チームPONOSの5番目の選手として、1v1やKOHを担当した。先輩たちのぶ厚い壁を乗り越え、序列を覆すまでには至らなかったが、新人としては悪くない戦績だったと思う。

シーズン中にPONOS公式チャンネルで公開された動画を見るに、”盛り上げ役”のライキに対して”いじられ役”のkotaとしてムードメイカー的役割も果たしていたようだ。緊張や重圧の多い海外合宿生活でそういう存在は大事だ。

だが”Up or Out”で、圧倒的な成績を残さなければ肩を叩かれるのが厳しいプロの世界の理。彼は2020年、大学に復学することになった。


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kotaのプロ選手としての1年間でもっとも価値ある勝利は、2019年6月19日、CRL Asia 2019 S1の「アジア・ファイナル」で挙げた1勝だろう。

あの日をすこし振り返ってみる。

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「アジア・ファイナル」はBO5制(2v2 - 1v1 - 1v1 - 1v1 - KOH)で、1v1のセットが3回。1人の選手につきSet4までに2度までしか出れない、連続してSetには出れない、などのルールになっていた。対戦相手GameWithの1v1はWエース、KKRolaporonで鉄板と見られたが、PONOSの1v1はよく言えば選択肢が豊富で、よくなく言えば決め手に欠ける状況にあった。

そうだとしても、kotaがSet3に先発起用されたのはサプライズに映った。シーズン中の起用法やプロでの実績から見えるチーム内の序列を考えれば、別の選手が優先されるだろうと思われたからだ。この大一番で相手の意表を突くにしたって、監督やチームメンバーの納得する人選でなければチームにわだかまりが生じてしまう恐れがあった。

つまりは、kotaは僕らファンには見えないところで、”ファイナルに出てもおかしくない存在として自分をチームに認めさせる”という前哨戦を戦い、それに勝利していたということだ。

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ゲームカウント1-1。勝負のターニングポイントが訪れる。

「ロイジャイ・オーブン」デッキで幸先よくGame1を取ったkotaだったが、Rolaporonに対策を徹底されて成すすべなくGame2を落としてタイとなり、チームはタイムアウトを申請していた。議題は1つ、Game3をどのデッキで戦うべきか・・・

Game2の負けっぷりを思えばデッキは変えたい。しかし、相手はそれを読んで、対策の対策をしてくるかもしれない。ではこちらは連投すべきか。その場合相手も連投してきたらGame2の焼き直しになるぞ。どうすれば・・・・

みかん坊やがそこで背中を押した、「自信があるなら連投してもいいと思うぞ」。kotaの腹は決まった。

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そして、kotaはデッキ読みの賭けに勝ち、試合もきっちり勝ち切った。

仮にあの時Set3をkotaが落としていたら、セットカウント1-2で王手をかけられ、迎える相手は絶好調のKKだった。優勝はPONOSはでなくGameWithになっていた可能性は高い。


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引退発表後、kotaは新たな取り組みとしてBlogを開設した。

筆者の知る限り、クラロワのトッププレイヤーでクラロワのBlogをやっているのは彼だけである。彼の高いクラロワスキルと人柄がにじみ出た文章は読みやすく勉強になるし、面白い。


▼「8000最強決定戦」で優勝したぐりこ選手の試合レポート

▼クラロワ国際大会「No Tilt Worlds」の名勝負レポート、その1

▼クラロワ国際大会「No Tilt Worlds」の名勝負レポート、その2


”高いプレイスキル+動画(YouTube・Mirrativ)+文章(Blog)”というスキルセットを1人のトッププレイヤーがすべて兼ね備えているという事例は、ほかのゲームでもあまり聞かない。
大学生活を送りながらも、彼はクラロワプレイヤーとして新たな道を開拓していくことになるのかもしれない。

Thank you and farewell, "kota" ! ■


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Memories

▽2019/05/06

▽2019/06/29


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Information

kota(コタ)
・CRL: PNS(2019 S1 S2)
・Clan: トレジャーハンター
・Best Trophies: 7850
・Titles: 「Red Bull M.E.O. by ESL」日本予選 優勝 & 世界大会 出場, 「FAV Gaming Cup」優勝, 「CRL Asia 2019 S1」アジア優勝
・SNS: TwitterYouTubeBlog


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Good luck!


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