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クラロワリーグ | CRL Asia | Thank you and farewell, "みかん坊や(MIKAN-BOYA)"

2020年3月16日、統合された新リーグ「クラロワリーグ イースト」(Clash Royale League East)8チームの開幕ロスターが発表された。昨季のプロ選手で今回CRLを去る日本選手の数は過去最多の10人。
3月が終わる前に、1ファンからの送別メッセージを1日1本書いていくことにした。今日はその最終日。

2020年1月2日、”みかん坊や(MIKAN-BOYA)”が「クラッシュ・ロワイヤル」のプロ選手生活からの引退を発表した。彼はこれまで「クラロワ」の公式eスポーツリーグ「クラロワリーグ アジア」(Clash Royale League Asia, CRL Asia) において、日本のプロチーム PONOSの一員としてプロ選手活動をしてきた。

一言で言えば、彼はアジアの一番星だった。その光は日本の枠を大きく超え、世界にまで届いていた。”みかん坊やロス”を感じているのは日本のファンに限った話ではないのだ。

新年の挨拶とかなりの重大発表があります
自分は今年クラロワリーグから一旦離れようと思っています。プロ選手としての活動を一旦休止するってことですね。

1.一番に自分が辞めたいと思った理由は、海外での生活ですね。好きなものも食べれないですし。
あとは集団生活ですね。自分の生活に合わなさ過ぎて疲れちゃったのと、迷惑かけちゃったってのがあって。

2.二つ目は、自分自身が成長できてないなって思ったことですね。
PONOSは世界的に見ても3本の指に入るくらい活躍したチームだって思ってます。でも個人として自分を見るとそこまで変わってないなっていう。2年間で得られたものは色々あるんですけど、クラロワの方で見るとそこまで変わってないんじゃないかなって。

3.もう1つ。みなさんクラロワリーグ毎週見てますか? 2019年は、1年目の2018年に比べて盛り上がりがないなと思っていて。自分にできることをやってリーグを盛り上げていければいいかなって何個か考えています。

4.一人でできることではないんですけど、自分として今年やりたいことの1つは、日本一決定戦を復活させることです。
プロリーグに関係ないところでクラロワが盛り上がれば自然とプロリーグに目が行くと自分は思ってるんですよ。

今年一年はクラロワリーグを別のベクトルから盛り上げていければいいかなって思ってます。
(動画より抜粋・要約)


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みかん坊やのCRLにおける公式戦プロ通算成績はつぎの通り。

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通算セット勝利:47、通算ゲーム勝利:106、通算ゲーム勝率:62.4%
比類なき数字が並んでいる。積み上げ型の数字でも、勝率でも、クラロワの日本プロ選手でトップの数字である。そんな大エースでありながら、ワンマンチームにしようとはしなかったのも彼の特徴であり魅力だった。

みかん坊やのプロ引退宣言の何が衝撃的だったかと言えば、積み上げた実績でも現時点の実力でもトップであり、存在感や人気の面でもリーグを引っ張り続けてきた”替えの利かない”存在が自分の意志で舞台を去った、ということに尽きる。衝撃は大きかったが、正直なところ未だにピンと来てはいない。彼不在の新シーズンが始まってみて初めて、僕らファンは喪失を本当の意味で理解することになるのだろう。


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語りはじめたらいくらでも長くなってしまいそうだが、努めて簡潔に彼のCRLでの2年間をふりかえってみたい。

実はプロ入り前のみかん坊やには、”うまいけど大舞台に弱い選手”という評価がつきまとっていた。華麗なプレイスキルは誰もが認めるものだったが、前年2017年の「クラロワ日本一決定戦」などのオフ大会で勝ち切れなかった印象ゆえだろう。

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2018年S1、CRL Asiaのファーストシーズン。みかん坊やはレギュラーシーズンでセットとゲームで最多勝利を挙げる活躍をした上、ポストシーズン(ワイルドカード&プレイオフ)ではあろうことかゲーム勝率94.4%という神がかり的な数字を残した。所属チームPONOSがアジアで初優勝した原動力は、紛れもなく彼だった。

彼のことを勝負弱いと言う声は聞こえなくなった。

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2018年S2もみかん坊やは好調を高いレベルでキープし、所属チームPONOSをレギュラーシーズンのアジア最多勝に導いた。プレイオフで敗れアジア連覇は成らなかったが、開催国枠の日本代表として「CRL世界一決定戦2018」へ出場する権利を手にした。

世界中から集まった6つの強豪プロチームの中で、PONOSの評価はあまり高くはなかった。”esports後進国”日本というイメージと、前年2017年の「クラロワ世界一決定戦」で日本選手が勝てなかった印象ゆえだろう。

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世界大会の初戦にして開幕戦、対北米代表Immortals。セットカウント1-1で試合は第3セットのKING OF THE HILL(勝ち抜き戦)を迎える。勝利を決定づける3つ目の勝利をもたらしたのはみかん坊やのバルーンだった。

PONOSは次戦で敗れベスト4で世界大会を終えたが、”日本は世界で勝てっこない”とまことしやかに語る声は小さくなっていた。

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2019年S1、みかん坊やにスランプが訪れる。2v2やKOHでは健在ながら、なぜか1v1でだけ勝てない。不調は続き、なんと1v1セットで0-5という信じがたい数字でシーズンを終えることになる。やれ限界説だ、やれ引退だ、やれオワコンだと鬼の首を取ったように騒ぐ雑音のボリュームが上がり始めた。

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そして、記憶に新しい昨季2019年S2の完全復活劇。
もちろん雑音は跡形もなく掻き消えた。

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批判も非難も軽口も罵声も、口で言い返すのではなく行動と結果でだまらせて歓声に変えてしまう。それが”アジアの一番星”みかん坊やのCRLプロ選手としてのあり方だった。

”誰もがやりたいけれどやれないことを誰よりも鮮やかにやりきってしまう”。彼をヒーローと呼ぶずして、誰をヒーローと呼べばいいのだろう。


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引退発表後の2月20日、みかん坊やが日本クラロワ界3人目の「Supercellクリエイター」に公認されたことが発表された。

”CRLプロ選手”としてのみかん坊やの引退には100%さびしさしかないが、”Supercellクリエイター”としてのみかん坊やの活動が本格化することには100%期待しかない。なぜなら、彼はただ強いだけのマシーンではなく、本質的には誰よりクラロワのことが大好きな”クラロワ小僧”だからだ。

大きな大会で勝つことも、プロ選手として注目されることも、2v2も1v1もKOHも、家で1人グラチャレを周回することも、新カードの誰も見つけていない活用法を探すことも、”高回転”のような新戦術を見つけることも、クラロワの動画を出すことも、すべて彼にとってはクラロワにまつわる遊びなのだ。

彼より強い選手は世界にいるかもしれないが、世界一このゲームを楽しんでいるプレイヤーが彼であることだけは疑いようがない。


Thank you and farewell, "みかん坊や" ! ■


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Memories

▽2018/06/06

▽2018/06/28

▽2018/07/13

▽2018/09/14

▽2018/10/23

▽2018/11/29

▽2018/12/03

▽2019/06/14

▽2019/07/29


みかん坊やが公式戦以外のリーグ公式動画にどれだけ出演してきたか


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Information

みかん坊や(MIKAN-BOYA)orange_boy
・CRL: PNS(2018 S1 S2[Coach&Player], 2019 S1 S2[Player])
・Clan: トレジャーハンター
・Best Trophies: 8001
・Titles: 「クラロワ日本一決定戦」ベスト8, 「クラロワリーグ20勝チャレンジ 2018」世界最多突破, 「CRL Asia」2018 S1 最多勝利プレーヤー, Best Season 38th (2017/6)
・SNS: TwitterYouTube


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