第34回 コンビニのカップラーメンが節約!?

前回の最後は、私の個人的な知識をひけらかすような内容になってしまいました。
- 何これ!! -
そう思って、途中で読むことを止めた方も多かったと思います。
真意が正しく伝わらないのは私としても不本意なので、今回は逆に知識の広がりが無い人のことを書きたいと考えます。
- そんな人は居ないだろう!! -
読んでいてそう感じる人は多いだろうと思いますが、決して大げさには書いていません。
本当に、私が出会った複数の人の話です。

それは、コンビニでカップラーメンを買って食べることが節約だと、本気で思っている人がいるということです。

みなさんは、コンビニは定価販売の店舗だと知っているでしょう。
だから、コンビニのカップラーメンは、スーパーなどで買うよりも、非常に高価だということも分かっています。
そこで多くの人は、節約するならコンビニで買い物することはないでしょう。
まずは、スーパーで買うことを考えるでしょう。
更に、カップラーメンを買うのではなく、自炊を考えるはずです。
自分で調理する方が安上がりだと知っているからです。

ところが、コンビニでカップラーメンを買うことが節約だと考えている人は、独身の高齢男性の中に一定数存在しているんです。
もしかしたら、今の時代なら高齢女性の中にもいるかもしれません。
そして私の知っている彼らは、みんな生活保護の受給者なのです。

どうして彼らは、そんな偏った考えになっているのでしょうか!?
それは、原因として2つの知識の広がりの無さがあるのです。
一つは、コンビニよりスーパーの方が安いという知識。
もう一つは、カップラーメンより自炊の方が安いという知識です。

多分、彼らは若いころ、普通に働いて、それほど不自由のない生活をしていました。
だから、コンビニ弁当を買って生活するのが当たり前で、それでやっていけたのです。
ところが、ケガや病気で働けなくなってしまい、結果的に生活保護を受けなければならなくなった。
支給される保護費は、彼らが働いて手にしていた所得の半分以下でしょう。
だから、彼らも節約が必要だと考える。

ところが、彼らが食料を調達する先は、コンビニしか思いつかない。
- スーパーを知らないなんてオカシイ!! -
そう思うかもしれませんが、スーパーの存在を知っていても、最寄りのスーパーの場所を知らない、スーパーがコンビニより安いことを知らない、スーパーでの買い方が分からない、等々の理由で、コンビニでの買い物を続ける訳です。

また、こういう人は、自分で料理した経験がない。
だから、完成品を買って食べることしか知らない。
米の炊き方も、野菜炒めの作り方も知らないのだから、自炊という考え自体が浮かばないんです。
結果、コンビニで一番安い完成品であるカップラーメンを食べることを節約だと考えるわけです。

コンビニという便利な存在が、安く購入するという人の欲求を上回り、そういう考えを育てる機会を奪う。
完成品が手軽に買えるということが、自炊するという機会を奪う。
このように、便利で満足させることが、不便という知識の拡大を阻害して、自分自身を育てる機会が奪われていると言える訳です。

彼らも、若いころからコンビニではなく、スーパーで買う生活を送っていたら、所得が減ってもそれなりに対応できたでしょう。
弁当を買うのではなく、材料を買って自炊していれば、カップラーメンを買うことが節約だと考えなかったことでしょう。
つまり、今の時代の貧困は、知識の貧困から発していると考えてよいのです。

社会全体が便利になり、本来生きていく為に必要な知識を、必要としなくなったのは事実です。
魚が海で獲れることを知らない小学生がいることが、ニュースになるくらいです。
今は非常に生活しやすくなった社会と言えるのですが、逆に言えば、その生活しやすさを活用できなくなれば、途端に生活し難くなるというのも事実です。
我々が、無人島に流されたときに、食料を確保する方法を知らないというのと同じようなものです。
今までそんな知識は必要なかったのに、急に必要だと言われても、対応できずに落ちこぼれることしかできないでしょう。

今のあなたは、若いころの彼らと同じかもしれません。
特に、不自由なく生活している。
だから、これ以上、深い知識は必要ないと考えている。
ところが、自分の置かれている状況がちょっと変わったら、途端に困窮に陥るかもしれません。
そうならないためには、常日頃から幅広い知識を吸収し、知見を広げるという努力が必要となるのです。
これを怠ると、知識の複利効果は発動せず、気づいたときは手遅れとなっているのです。
「risk management」的にも、不要とも思われるような幅広い知識が必要なのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?