第37回 「ゆでガエルの法則」と投資

短期投資では、損切り値を事前に決めることが必須になっていると言って良いでしょう。
なぜなら、事前に決めていないと、「ゆでガエルの法則」を食らう可能性が高いからです。

例えば、100万円でスイングトレードをします。
利益目標5万円、損切り値3万円、期間は5営業日と決めます。
1,000円の銘柄を1,000株買います。

1,000円の銘柄なら、普通の日の値動きでも、990円~1,010円の間は動くと思います。
これを投資家は、売買による誤差と理解します。
その日の上下の動きの中で、結局995円で引けました。

その翌日は、985円~1,005円の間で動きます。
当然、買値を超えている時もありますが、985円で引けてしまいました。
この時点で含み損は、15,000円となっています。

更に翌日、975円~995円の間で動きます。
結果、その日は990円で引けてホッとします。
含み損が10,000円に減ったからです。

ところがその次の日、同じように980円~1,000円の間で動きます。
一瞬、買値に戻った時もあったのですが、最終的には安値引けの980円で終わってしまいました。
つまり含み損は20,000円までなったのです。

そして最後の5日目、970円~990円の間で動きます。
970円の損切り値にかかったため、30,000万円の損失で撤退することになりました。
しかし、引けでは戻して、前日同値の980円となっていました。

こんな値動きの時に、事前に損切り値を設定すると、ついつい損失が大きくなると考えてしまいます。
しかし、損切り値に達しなくても、5日間の期限に引っ掛かり、20,000円の損失の980円で損切りしなければなりません。

ところが翌6日目に、990円まで戻したとしたら、投資期間の設定が損失に繋がったと感じるでしょう。
こうして、損切り値や投資期間を設定しないことや、設定しても無視する方が良いという考えに変化していきます。
が、そもそもです。
そもそも、騰がると予想して買ったはずなのに、結果として騰がってないのにです。
それだけでも、実際は損切りしても良いはずなのですが、ついつい選んだ銘柄に期待し過ぎて、持ち続けるという落とし穴に引っかかるのです。

引っかかると、損切り値と投資期間を無視するようになります。
ジリジリと動く株価を見つつ、そのうち何とかなるだろうと希望的観測になってしまいます。
そして気づいたときは、損失額が大きくなり過ぎていて、損切り出来ないなんて思いに支配されてしまう訳です。
これは、明確に「ゆでガエルの法則」によるトラップですね。

一方、長期投資で考えたらどうでしょうか!?
長期投資で選ぶ銘柄の大前提には、業績が安定的に拡大するという事実が必要です。
業績が安定的に拡大しているのに、株価がじり安になっていても、気にする必要はありません。
最終的に、株価は業績と連動しているからです。
じり安となっても、買い増しのチャンスが来たと考える程度で良いでしょう。

が、逆に業績が悪化したらどうでしょう。
俗にいうところの、下方修正です。
この原因が、景気の減速などの外部環境の変化であれば、再び戻ることも期待できるでしょう。
ところが、その企業の根本的な問題となれば話は別です。
業績の拡大が期待でき無くなれば、利確するべきでしょう。
次なる成長を期待し、ダラダラと持ち続けることは、「ゆでガエルの法則」と同じですね。

実は、社会にはそこら中に「ゆでガエル」が存在します。
当然、簡単に認識できるようなものなら、それは「ゆでガエル」ではありません。
何度も言うようですが、簡単に認識できないからこそ「ゆでガエル」なのです。
投資家としては、これを少しでも早く見抜く目を持ちたいものです。

ただ、実社会では、「ゆでガエル」対策をしようにも、多くの場合は邪魔が入ります。
それは気づかない人が圧倒的に多いからです。
そんな時は、無理をせず、自分だけ助かるように対策しましょう。
ムリして恨まれる必要はどこにもありませんから・・・・。

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