見出し画像

【イベントレポ】大切な人を守りたいなら、向き合え!【ATTACK FES DAY2「Attack 音 体感 Final」】

※2024年1月28日(日)開催のATTACK FES DAY2「Attack 音 体感 Final」のイベントレポです。
「とにかくイベントの内容を知りたい!」という方は、先に後半の内容をお読みください。

私はずっと後悔していた

こんなにおもしろいコンテンツがあったのに、どうして今まで目を向けてこなかったのか?
知るのが遅すぎた、と。

それもそのはず。
アニメを観始めたのは2022年2月。
Final Season Part2の地上波の放送をやっている頃だった。

しかも、Season1を数話観ただけの当時は

「これの何がおもしろいんや?
どうせ、圧倒的な差があるのに、結局主人公側が力をつけて勝つっていうアレか。
なんか最近はこの差を埋めるまでのプロセスに納得感の乏しい作品が多いんよなぁ……」

誰目線なのか、そんな偉そうなことを思っていた。
当然観るペースはのろまなもので、他のアニメを優先し、よっぽど他に観るものがないときに観るような状態だった。
結局、その魅力に気づき引き返せないほどハマっていたのは、1話を見始めてから2ヶ後……。

これまでの時間を取り戻すかのように、遡れるだけ遡ってコンテンツをチェックした。
アニメだけでなく、原作コミックスもすべて揃えた。
スピンオフ作品、ドラマCD、ラジオにイベント……。

中でも朗読&ライブイベントの「Attack 音 体感」は衝撃だった。
家のテレビで観ているだけでも、その迫力と熱力に魅了される。

このイベントの存在が、私の後悔を頂へと登らせた。

参加している人が心底羨ましい。
流行っていることは知っていたのに、どうしてリアルタイムで追いかけなかったんだろう。
私にはもう、参加する機会がないじゃないか……。

だから、このイベントの開催が決まったときは、家族に相談もせずに申し込んでいた。
もしチケットが当たったら、なにがなんでも説得するつもりで。

そして、応募したDAY2のプレミアムチケット当選メールを観て、一人でガッツポーズした。


幕が下りるのを「見届ける」時間

ATTACK FESのDAY2のタイトルは『Attack 音 体感 Final』
待ち焦がれたイベントの ”Final” である。

実際に放送されたアニメーションを背景に、朗読劇・生アフレコ・オーケストラによる劇伴の生演奏ライブが行われた。
会場は2023年9月に開業したばかりの『Kアリーナ横浜』だった。

感想として、特に記録しておきたいことは、大きく2つ。


1.車酔いしそうな音の振動が、作品を享受する感覚とリンクする

Kアリーナの特徴なのだろうか。
オーケストラの大迫力の演奏中、ずっと頭蓋骨が振動しているような感覚があった。
おまけに、響く低音が地面を揺らしているようで「Footsteps of Doom」なんかは本当に巨人が歩いているのかと疑った。

いや、正確に書こう。

始めはその「振動」がなんなのか理解できなくて、後ろの席の人が曲に合わせて私の席を蹴っているのかと驚いた。
しかし、冷静に考えたら私の後ろには座席がない。

見渡すと、全員着席して演奏を聞き入っている。
ロックバンドのライブのように、ジャンプしている人は1人もいない。

ならば、この「振動」は?
「これは、音で会場が揺れているのか!」
分かるまで、何曲分もの時間がかかった。

そのころ、隣に座っている人がウトウトしていることに気づいた。
普通なら「イベント中に居眠りするなんて、失礼な!」と考えただろう。

ただ、その場は普通ではなかった。
私には、お隣さんの気持ちがよくわかった。
私もなんだか眠かったのだ。

それもそのはず。
Kアリーナに響き渡る音の「振動」が、まるで車酔いする手前のような、ぼんやりした感覚へと導いていたのだ。
それはまさに「進撃の巨人」という作品を全身全霊で受け止めて、自分の中で消化している状況に近かった。
本イベントのタイトルどおり、作品の偉大さを「体感」させられた、そんなライブだった。


2.キャスト陣の演技が、作品の咀嚼から呑みこむまでを一貫する

「この作品とは距離を置くようにしていた。でないと、全部持っていかれてしまうから」
そんなことをおっしゃるキャストもいる。

それなのに、この短時間で重要なシーンの数々を生アフレコで魅せるなんて。
収録当時と同じ気持ちを思い出したり、改めてキャラクターと向き合ったり。
演者それぞれやり方は異なるだろうが、いずれも並大抵のことではないはず。

ご本人にとっては、実際に収録したときの「完全再現」ではないかもしれない。
でも、私みたいな素人にとっては「完全再現」以上に伝わるものがあり、改めてそのシーンを噛み締めることができた。

「進撃の巨人」という作品を一挙に回顧し、新たに受け止め直す。
キャスト陣の迫真の演技には、その機会を与えてもらい、またその演技からは「進撃の巨人」への愛、そしてこの作品を見届ける気概を強く感じさせられた。

まるで上流から下流に一気に水が流れるように、キャスト陣の迫真の演技が自然と最高の幕引きへと連れて行ってくれたのだった。


「進撃の巨人」は巨人と戦う話ではない

万が一「進撃の巨人」と出会った頃の私と同じ勘違いをしている人がいたなら、声を大にして否定したい。
エレン役の梶さんがおっしゃっていたように「進撃の巨人」は愛の物語だと、私も思う。

勝てば生きる
負ければ死ぬ
戦わなければ勝てない
戦え 戦え

これは作中に繰り返し出てくることばである。
この作品が伝えたいことの1つだとすれば、進撃の巨人の継承時に呪文のごとく伝えられたように「大切な人を守りたいなら、戦え!」ということだと、私は解釈する。

一方で、こうも思う。

まだ…ちゃんと…話し合ってないじゃないかぁあああ

マルコ・ボットの最期のことば

話し合い、時間をかけ、互いを理解できたなら、戦わずに済むのではないか。
作中でも何度も議論されていたことだ。
「この作品を反面教師にして、やはり話し合うことの可能性を追及してほしい」
そんなメッセージもあるように読み取れる。


「Attack 音 体感 Final」で「進撃の巨人」という作品を再び享受して。
戦うにしても話し合うにしても「相手と向き合う」ことの重要性について考えさせられた。

そして、生のライブだからこそ「進撃の巨人」を愛する同志たちと「向き合い」ながら、その最期を見届けることが出来た。
そんな『Attack 音 体感 Final』だった。

アニメ「進撃の巨人」の幕は下りるが、これからも「継承」されるべき作品として愛され続けるだろう。


<イベント内容・構成>

以下に、ライブ中にメモした内容を記憶を頼りに補完して記載する。
間違っているところがあるかもしれないので、ご了承を。


【朗読劇①】(オリジナル)

●前半:訓練兵になる前のエレン・ミカサ・アルミンがそれぞれの気持ちを表明するような内容だったはず………
●後半:エルヴィン・リヴァイ・ハンジによる Season1 第9話冒頭の壁外調査の前日譚のような内容


【劇伴ライブパート 前半】

  1. ətˈæk 0N tάɪtn <WMId>

  2. Before Lights Out

  3. K2-

  4. T:T

  5. cóunter・attàck-mˈænkάɪnd

  6. Apple Seed

  7. Bauklötze

  8. Call of Silence

  9. The Reluctant Heroes

  10. theDOGS

  11. Zero Eclipse


【生アフレコ①】

●Season1 第3話 キース教官による通過儀礼
●Season1 第16話 所属兵団を決めるシーン
●Season1 第23話 アニを追いつめるシーン
●Season3 第15話「光臨」 ベルトルトとの最後の交渉
●Season3 第18話「白夜」 言わずもがな、まさかこのシーンをやってくださるとは……
●Season3 第22話 海に着いたとき


【朗読劇②】「スラバ要塞出発前日」(オリジナル)

ガビ・ファルコの過剰なほどの尊敬の念から、いろいろ勘違いされてしまうライナーだったが、訂正できずに2人の前で格好つけてしまう。そこへ通りかかったピークに話を聞かれてしまい、ピークがそのままライナーをいじり続けるような内容。

ライナーファンにはたまらない内容のはず。
(細谷さん欠席のためライナーの声は録音)


【劇伴ライブパート 後半】

  1. Ashes on The Fire

  2. The Other Side of the Sea

  3. Memory Lane

  4. The Warriors

  5. Footsteps of Doom

  6. An Ordinary Day

  7. Splinter Wolf

  8. ət’aek till we are Ashes

  9. Guilty Hero

  10. TRAITOR


【生アフレコ②】

Final Season 完結編
エレンがアルミンに会いに来たときにミカサの話をするところ~思い出してミカサ(withエレン)がアルミンと別れるところまで

このシーンを生で聞けたのは美味しすぎる……。


【朗読劇③】「パラディ島に向かう船内にて」(オリジナル)

パラディ島に着く直前にライナーが行方不明になり、みんなで探す話。アルミン・アニ班が船外を、ジャン・コニー・ピーク班が船内を捜索するが、見つからず。アルミン・アニはベルトルトに、ジャン・コニーはサシャに思いを馳せるシーンも。結局ライナーはピークの冗談が当たって、ヒストリアの手紙を貨物室で1人で読んでいた……。
ライナーが気持ち悪くて、これまたライナーファンには最高だったはず。
(細谷さん欠席のためライナーの声は録音)


【生アフレコ③】

Final Season 完結編
パラディ島に着くアルミンたちを待つミカサがそこにいないエレンに話しかけるシーン

ここをやらずには終われない、エンディング。
感無量。

ちなみに、ここまでできっちり3時間。


【出演キャスト・アーティストのコメント】

全キャスト・アーティストが壇上にそろい、1人ずつコメント。
ここでは個別には触れず、特に印象的だった内容に関しては<その他の感想まとめ>へ。

これだけで約1時間。
卒業式というより、学生時代の部活やサークルの引退式の雰囲気だった。

感極まるキャストさん多数。


<その他の感想まとめ>

  • アニメのイベントだから調査兵団の服装やキャラのコスプレしている人ばかりかと思っていたが、むしろそういう人の方が少数派だった。

  • グッズの列はトイレの列の20倍くらい並んでいた。事後通販あると聞いていたので、当日の購入は諦めた。

  • キャラクターパネルの写真撮影もすごい列だったので、これまた諦めた。

  • トイレ近めで映画中も必ず1回はトイレに立ってしまうので、初めてオムツを履いて参加。安心感からか入場してから終了間際までの5時間ほど我慢できた。次回からもそうする。

  • イベントが3時間でも割とバタバタで終電になるかな……というスケジュールだったため、4時間超えそうで大慌て。キャストさんの挨拶もメモしたかったが、乗り継ぎの電車の時間を調べるのに必死でできず。最後の会場全員での「心臓を捧げよ!」の頃には会場を後にしており、1人で走りながらやった。

  • ジャン役の谷山さんのコメントに、救われたファンは多いのではなかろうか。原作ではっきり言及されていないことについて、1キャストが自分の解釈を発信するのは勇気がいる。それでもあの場で仰ったのは、谷山さんがジャンをとても愛されているからこそだと思う。

  • ミカサ役の石川さんの職権濫用も、おそらくすべてのファンが歓喜しただろう。原作とは違う世界線かもしれないけど、キャラのことを思うとあって欲しかったシーンでもある。

  • 多くのキャストさんが口にされていたように「進撃の巨人」は作品としては終わりだが、きっと世代を超えて愛されていく作品になるし、これからも「好きな漫画・アニメは?」と聞かれたら、私はその1つに「進撃の巨人」を挙げるだろう。


最後に
「進撃の巨人」に関わってくださった
すべてのみなさまへ

そして、素晴らしい作品を生み出してくださった
原作の諫山創先生に
最大級の感謝と敬意を。

この記事が参加している募集

イベントレポ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?