新宿末広亭11月上席〜雷門小助六師匠の主任の興行

 11月2日、新宿末廣亭、雷門助六師匠主任の興行。
実力のある方々がさり気なく芸を魅せていくような、そんな興行だった。コント青年団さん、柳亭小痴楽師匠、三笑亭夢丸師匠、桂小すみさん、桂伸治師匠、ボンボンブラザースさんと繋ぎ、主任の小助六師匠へという寄席らしいゆったりとした雰囲気だった。

 特に、伸治師匠の「粗忽の釘」が印象的だった。
肩肘張らない語り口で、リアルにおかみさんや近所の人たちと話しているのを見ているかのようで、こんな等身大の「粗忽の釘」はなかなか見たことない。型破りで自由奔放のようでいて意外と決めの細かい部分もあるので、全ての情景が無理なく頭に入ってくる。あんなお茶目なおじさんも、近所にいる昔なじみの人に見えてくる

 主任の小助六師匠は、「御神酒徳利」。
あんなに、展開が早くて場面転換も多い噺を全く仰々しくせず、さらっと語っていた。それが小助六師匠の魅力だろう。「御神酒徳利」は、そこそこの大ネタだろうけど、若干のあっさり感すら感じる。その代わり、噺の内容が自然と入ってきてわかり易い。登場人物のほのぼのとした人物像もはっきりと見えてきた。その人物像が滑稽さを増していた。腹八分目感で、これだけの満足感を残してくれる演者さんも少ないだろう。しかも、その若干のあっさり感を埋めるように「片足かっぽれ」を披露。もう大満足である。

 小助六師匠のさりげない芸に感動した夜。
珍しい噺をいっぱい持ってそうだし、必ずまた聴きたい噺家さんだ!!

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