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賃貸派40代DINKSが住宅購入した話 - (1)キッカケ編

賃貸派40代DINKSの自宅購入記。
購入にあたり、自分と似たような属性の人の話があんまり見当たらなかったので。
似たような境遇の方の参考になれば嬉しいです。

属性
・40代DINKS、2010年結婚、子供はなし
・世帯年収1500万程度、ともに上場企業勤務
・無リスク資産2,000万円、リスク資産5,000万円程度(ほぼ株式)を保有
・南関東住まい(実家はそれぞれ関西と関東)
・これまで築40年の賃貸に居住。最寄り駅から徒歩3分
・お互い遅くても60歳までにはリタイア希望


もともとは賃貸派

結婚してからずっと「定年まで賃貸住まい、その後は現金一括で住居購入でいいや」という賃貸派でした。
友人にも同じようなことを話してまして、「この夫婦はずっと家を買わないんだろうな」と思われていたはず。

さらにそれを助長したのが、今住んでいる賃貸物件。
築古ではあるが、建物は分譲仕様で防音もしっかりしている。
駅チカ(走ったら1分くらいで駅につく)で、それなのに落ち着いた環境で、日当たり良好&眺望もまあまあという好立地。
周りにはスーパーや飲食店、ドラッグストアや100均など必要なものは一通り揃っている。
家賃は沿線相場を見てもかなり抑えめ。大家さんのケアも手厚い。

居住者の質もかなり良好。年末年始にはドアにしめ飾りをみんなして飾り(特に示し合わせていない)、騒音や困った隣人にも遭遇しない。ごみ捨てもきちんとしてるし、玄関やベランダも整理されてるし、自転車置き場もルールが守られている。そのせいか年に1部屋くらいしか退去しない。むしろうちより居住歴長い人が半分くらいいるような・・・。

しいて言えば各駅停車しか止まらないので、「もう少し利便性の高い駅に引っ越してもいいかな」と不動産サイトで物件探しをしてみたが、現況を変えてまで住みたいと思う物件は(当然)見つけることはできなかった。
気づいたら引っ越して早10年、更新も5回を終えた。
同じ住居にこんなに住んでるの長くない?

賃貸と購入に関する2つのデータ

平均的な居住期間※1ってどのくらい?と調べてみたら、だいたい49.2ヶ月、つまり4年くらいらしい。
ファミリー層に絞ると、62か月→つまり5年2か月くらい。
うちは10年。倍じゃん。周りの居住者のことも考えると、えっこの物件、流動性低すぎ・・・? むしろ沼?
※1公益財団法人日本賃貸住宅管理協会による第27回賃貸住宅市場景況感調査「日管協短観」調べ。2022年度(2022/4-2023/3)・全国対象

ちなみに世の平均的な住宅購入の理由は※2はこうらしい。

1位:資産として家を持ちたかった
2位:もっと広い家に住みたかった
3位:老後のことを考えて家を持ちたかった
4位:もっと性能や品質の良い家に住みたかった
5位:賃料が高くてもったいなかった

※2不動産流通経営協会の2023年度「第28回不動産流通業に関する消費者動向調査」https://www.frk.or.jp/information/2023shouhisha_doukou.pdf

我々のスタンスは
・家は資産ではなく負債という認識(自分たちに利益をもたらさない)
・現在の賃貸の広さに不満は特にない
・老後に一括払いで家を購入すれば良い
・新耐震基準(1983年)で建築されていればOK
・運良く相場より安い家賃のためもったいないとは感じていない
といった感じなので、もう真っ向から平均と外れているね・・・。
「現居を取り壊すので立ち退いてください」と言われるまで居かねないレベルでした。

そんな我々がなぜ住宅を購入することになったのか。

というと「おっ、とうとう賃貸派から購入派への転向か!?」という感じになると思うのですが、実は自分たち的には理屈に破綻がなくて、

このままだともしかしたら

人生の選択肢が狭まってしまうのでは?

と思ったからなのです。
どうしてそんなことを思ったのかはもう少し後で。

我々の思う住宅のメリット・デメリット

住宅購入のことを調べると、すぐ「賃貸 vs 持ち家」「〇〇なら購入するな!」「△△はおやめなさい」みたいな、メリットとデメリット、リスクを比較するといったコンテンツが出てきます。
ほとんどが「得か損か」みたいなところに終始しているように見えるけど、もうちょっと視野を広げたい。
ということで、我が家的にざっくりまとめた、各々のメリット・デメリットはこんな感じ。

賃貸に住むメリット・デメリット

メリット

  • 居住場所の流動性が高い
    身軽。すぐに引っ越せる。何かあったときに住まいに縛られないで済む。

  • 家のメンテナンスが不要
    持ち主はオーナー(大家さん)なので、設備の費用もオーナー負担。不具合があったらオーナーが修理費用を出してくれる。

  • 家計支払の計画が立てやすい
    入居時の敷金礼金、毎月の賃料、更新時の更新費用以外の費用発生はないので、家計の見積がしやすい。住まいに関して予期せぬ出費がない。

デメリット

  • 内装や設備を変えられない
    自己負担であっても好きな設備をつけられない。あちこち古びてきても自分では根本的な解決ができない。釘がいるような固定器具を使った安全対策もNG。何をするにしても退去時に原状回復できることが前提。

  • 家賃を消費し続ける
    家賃は「家の使用料」に過ぎず、お金を消費するだけになる。

  • 高齢の場合、契約拒否のリスクがある
    「孤独死」をはじめとするリスクを恐れて、賃貸契約・更新を断られることがある。一般的には60歳から顕在化するリスク。高齢で独り身の場合、連帯保証人という手も使えず詰む可能性がある。

持ち家のメリット・デメリット

メリット

  • 家が自分の資産になる
    資産なので売却したり相続したりすることができる。団信があるのでもし自分に何かあっても家族が安心して生活できる環境が残せる。

  • 住宅ローン完済後は住宅費用が低くなる
    住宅ローン返済中は賃貸と同様に毎月の支払いがあるが、完済後は固定資産税や管理費の支払いだけで済むようになる。ライフプランシミュレーションで出てくる「老後の住居費」は住宅ローン完済後の費用となっていることがほとんど。

  • 住宅性能、安全性の高い物件に住める
    持ち家のほうが住宅性能が高い事が多い。光熱費が浮いたり、快適な暮らしが期待できる。賃貸と違い、しっかりした安全対策もできる。

デメリット

  • メンテナンスは自分でやる必要がある
    持ち家の維持や設備メンテナンスは自分でやらなければならない。一戸建てならメンテナンス時期を自分で決めることができるが、マンションは修繕計画があり、そのための修繕積立金を毎月支払う必要がある。さらに10-15年に1回は大規模修繕があり、都度まとまったお金が必要になる。

  • 流動性が低い&好みに走りすぎた物件は選べない
    売却できると言っても現金化までは年単位を覚悟する必要がある。また万人受けしない物件は売却時に苦労するので、好みだけで物件を選ぶのはリスキー。絶対売却しない人は好きな物件を選べる。

  • 災害リスク
    持ち家は家が倒壊してもローン残高を払い続けることになる。国の制度で支払い猶予もあるが条件は厳しい(半壊以上)。修繕で済むレベルだとしても費用はすべて自前になる。賃貸は引っ越せば環境をリセットできる。

賃貸派でいたのは「引っ越せば環境をリセットできる」という点が大きかった。例えば双方の実家に何かあったとか、転職・転勤だとか、収入が減って家賃の安いところに引っ越すとか、そういう住所を変更することで回避できる手段を保持しておきたかったのだ。
実際に転職でやむなく引っ越しをした経験もある。

いつまで賃貸に住み続けられるのか

しかし10年住んでいるうちに変わったもの、それは我々の年齢。人間は等しく年を重ねるもので・・・。
気づけば住宅ローンが組める年齢もギリギリ、そうなってくると賃貸のデメリット「高齢者お断りイベントの発生」が怖いな・・・と思い始めたのですね。
「原状回復の義務」と「家賃を支払い続ける」はお金で解決できる。
でも「高齢者お断りイベント」の回避は年を経るごとに難しくなる。
もしかしたら将来そんなことはなくなるかもしれないけど(それが望ましいとは思う)。

困ったときのUR・・・でも今じゃない

ちょっと待とう。
高齢者で住宅取得していない人はみんな路頭に迷うのか?

答えはNo。高齢者でも住むことができる賃貸住宅はあります。
代表的な例はUR賃貸。

https://www.ur-net.go.jp/chintai/whats/system/eldery/

60歳以上に向けて非常に幅広いサービスを展開しており、自立している方から介護が必要な方まで、それぞれの状況に応じて最適な住宅を提供してくれる素晴らしいサービス。しかもなんと、

礼金・更新料・保証人が不要

という大盤振る舞い。
ただし家賃額に応じた収入要件があり、どうしても収入が基準額に満たなくても「貯蓄額が家賃の100倍以上あればOK」、つまりお金があれば住めるのだ。

住宅取得じゃなくて、今からURに住むという選択肢もなくはない・・・。
そのまま高齢者まで居座ってしまうのもアリでは?
なんて甘い妄想をしていたところに現実は厳しかった。

URで手ごろな物件はだいたい

築50年!
1DK!!
バス便!!!

といった条件がほとんどであり、一等地で通勤至便みたいなところは満室だし家賃はちょっとした住宅ローンの返済レベルで高いのだ。そりゃそうだよね、更新料とか全部コミコミだから家賃自体がそれなりの金額に設定されているのだ。
うーんこれはダメだ。今のライフスタイルには合わない。
老後とか所得が厳しくなったらアリかもしれないけど、今の生活環境とはマッチしないよUR・・・さよならUR・・・。

選択肢の多さは人生にゆとりを生む


じゃあ定年間際で現金一括の住宅購入に戻るか?
今よりも体力・気力が低下している中で老後に希望が叶う家を探す体力はあるのだろうか?
今ですらめんどくさいなーとか思っているのに。
そうなると結局「住む場所がない」ルートに突入しそう。さすがにそれはちょっとイヤだな・・・。
このあたりで、自分たちが「いざというときの自由度を残すために賃貸でいる」としていたことが、選択肢を狭めることになっているのでは?という思いに変わってきました。

人生を豊かに過ごすには、選択肢を多く持てる環境が必要。
一番わかりやすいのは「お金」ですよね。
同じ消費行動でも、お金でグレードをあげて、満足度を向上させることができたりする。お金があれば拾えるチャンスも多い。

この考え方の根本は、かぶたくの実家があんまり裕福ではなかったことが大きいです。
かぶたくは実家から通える範囲の大学にすべて落ちて、一人暮らしをしないといけなくなり、奨学金申請のために親の源泉徴収票が必要で、そこで見た年収の数字が悪い意味であまりにインパクトがありすぎて(笑)。
在学中はバイトで生計を、奨学金で学費を賄って・・・。お金があったら色々なことができるんだろうなって思っていました。まあ実家から通える範囲の大学に通えていたら良かったんでしょうけど(笑)。

これが「選択肢を狭めたくない」という思いを作った原体験です。
だから卒業後は「将来お金に困らない生活をするぞ」と強く思いながら働いてました。資産運用とかも勉強して、今に至るわけです。

そんな今だからこそ、「住宅購入」という選択肢を取っても良いんじゃないかな?

そう思い始めてから自宅購入までそう時間はかからなかったという。。。

さいごに

今回は第1話として賃貸派DINKSが住宅を購入するにいたる背景を書いてみました。
人生何があるかわからないので、選択肢を多く持っておくことは非常に重要です。
賃貸暮らしが選択肢を狭めているかもしれない、と思えたのは良いきっかけだったのかもしれません。
特に、20代や30代などの35年ローンが問題なく組める人たちにとっては賃貸暮らしが選択肢を狭める要因にはならないけど、40代になると途端にそう思えるの不思議。

次回は実際にどういった物件に狙いをつけるかについて書いていこうと思うので、良ければ次も見てくれると嬉しいです。

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