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星に願いが届くとき






〜 poem サイド 〜





不確かな過去と
不透明な未来を

繋いだ今

つぎはぎで
曖昧な思い出を
こよるとき

想い人を
胸に映しては

面影に触れ
記憶をなぞる

いまを話せなくても
いまを歩めなくても

瞼を隔てた先に
出逢えると信じて

願いをひとつ

流星群にのせた

新月の







end


by kabocya



〜 SS(ショートストーリー) 〜



首元をくすぐる夜風に、君の襟足が揺れて応えてる。
浮ついた相槌を誤魔化すように腕時計まで視点をずらした、夜明け前。


色とりどりの星はまたたたき、今にも滴り落ちそうに煌めいていた。



星に願いが届いて


星に想いが溢れた


その時に


流星群になる


願いが叶う合図だ。





望遠鏡から溢れた星々を追うように、僕達は流れ星を辿っては空を仰ぎ見る。
僅かな時間に反比例して空を駆ける星は、僕の気持ちもお構いなしに一瞬に過ぎ去っていくようだった。




出逢いは綺麗な映画の一コマには程遠く、スモーキーでモノクロの世界から始まった。


コンクリートを渡る僕と白線の横断歩道を渡る君が、生き違う時間の波に流れたJulie LondonのMistyの曲でぶつかるなんて。


JAZZ喫茶でリクエストの選曲が被ることがあるのかと動揺する2000年を過ぎた僕らの心音を補うようにJulie Londonが1960年から時を超えて、スモーキーでぎこちない時を紡いでくれるようだった。





オレンジリキュールの入った珈琲に馳せていた君と珈琲にブランデーを落とした僕は、どちらも背伸びして背比べをするようにマッチ棒を重ねるごとにJAZZに溺れて酔っていたんだ。


やわらぎ水だとマスターがチェイサー代わりに注いで熱を覚ましてくれるまで、互いに酔っていたんだろうね。


しだいに僕らは、他人から顔見知りになって顔見知りから友達になった。


だけどもう終わりなんだ


顔見知りに友達は


今夜まで。



繋いだ手を引き寄せて、友達という名の境界線を超えた。


もう


踏み出したんだ

後には


戻らない。


流れる星を背に淡い香りを抱きとめて、彼は誰時(かはたれどき)から木々が眼を覚ますまで、僕達は長いまばたきを重ねた。



星に願いが届いて


星に想いが溢れた


その時に


流星群になる


願いが叶う合図だ。





end


by kabocya



※それぞれのpoemは自身のX内にて投稿したものです



見つけてくださり、ありがとうございました。
失礼します。

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