青い萌芽

「花を見に行きませんか」

そう誘ってくれたのは、娘のクラスメイトのお母さん。
「私、季節の花を見に行くのが好きなの。良かったらご一緒しませんか」

小さな旅の予約をして、朝早くに待ち合わせました。
介護や育児に追われていて、自分のために出かけるなんてどれくらいぶりだったでしょうか。

茨城県のひたち海浜公園。
待っていてくれたのは、空と同じ色をした、一面のネモフィラ！
優しく澄んだ青が、スーッと心に染みました。
地上と空が繋がったような、不思議な空間でした。

父を亡くして数ヶ月。
「やっぱり、まだ淋しくて」と話すと、
「いいじゃない。淋しさってね、いつか薄れちゃうのよ。それも淋しいものなんだ。だから一緒にいられる間は、いたらいいわよ」
若い頃にご両親を亡くされた方でした。

そうか。今は淋しいまんまでいいのか。
淋しさの青から、ほっと小さな花が咲いたようでした。
顔を少しあげさせてくれた、青い萌芽でした。