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リーマン 本音の行く先 @リストラーズ

たいへんお世話になった上司がいる。

どん底から這い上がろうと もがいていたときに拾われて 自力でなんとか
できるまでの間 ある意味 精神的に支えていただいた。

恋愛感情は全くなく 先生と生徒のような感覚だった。
迷ったときには質問し 指針になるような考え方を何度もいただいた。
 

やがて ふたたび独り立ちできた頃 そのかたの異動があって 会うことも
関わることもなくなった。
が、方向に迷ったとき 当時の言葉を思い出すことはよくあった。
影響を受けたと思う。
 
 
近年 また異動があって 微小だが関わりを持つことになった。
鍛えた身体は相変わらずで 年齢よりも 軽く15歳以上 お若く見える。
どこか異彩を放つ存在感も変わらなかった。

 
 
ここで
昭和サラリーマンの応援歌をひとつ。
こういう宴会って まだあるのだろうか。なさそうな気はするが。
手慣れた様子で 場を盛り上げるメンバーたち。
もう簡単には 呼べないかもしれないから 貴重な動画とも言える。 

宴会部長としての切り盛りが出来るかどうかが 新入社員の実力の最初の試しという伝説は本当なのだろうか?
宴会がないのなら その試しは こないだろうが 接待の席を準備することなら まだありそう。社内の宴会のように 身内だけではないわけで ひとつ間違えれば失敗は 大失点につながる。試しにしては 責任重大な仕事になる。
 


つい宴会の話に入りそうになった。
閑話休題。

そのかたが新しく担当された役職は 筆者との接点も多少あり なつかしさも
手伝って 個人的に話す時間を持った。
 
興味関心のある分野だったので 求められる以上に話しすぎたのかもしれない。
ひととおり聞いてから 一言 言われた。
 
「意見は要らん。黙って聞いてくれるヤツがいい」
 
正直 聞き間違えたのかと思ったほど 驚く発言だった。
企業の中にいるより ワンマン社長のほうが似合う風貌のかただが 男性の
本音はこういうものなのだろうか。


もがいていた間、面倒見よく 困ったときに手を貸したり、ご自分で出来ないときは適格な指示をだしてくださるかただった。
 
ある程度 大きな組織を動かす位置にいれば
あちらこちらからの 根拠の少ない意見は 不要に感じるのは理解できる。
かまびすしい!とさえ思うのも分かる。

 
しかし
着任前から 停滞気味のその部署は 立て直しが早急に必要と見えていた。
のちに揃ったメンバーの顔触れを見ると なるほど 意見は言わず 黙って聞くタイプのひと達だった。

積極的な取り組みをしない、意味のある意見交換もない、上意下達のような会議を淡々と こなしていく。

 
つまり 進まない。

 
その上司の関心は そこにはなく、別の部分で成果をあげられていたことにものちに 気づいた。
だから 余計な面倒ごとを引き起こすような意見は不要ということだったのかと ようやく合点がいった。

 
企業というのは 不思議な場所だ。
全体で成果が上がっていれば どこかの部署が半分 眠っていても評価があがる。
商社などは 特にそうかもしれない。いつも 業態の中心が ウネウネと動き
回り まるで アメーバのように比重が変わって生き延びる。

 
案外 社会も同じなのかもしれない。
多少 停滞しているところがあっても 全体が上を向いていれば問題なし。

 
ただ 筆者にはあまり向いているとは思えなかった。
任されたことは 身を粉にしても 尽力する。
全力でなければ 自分を許せないところがある。

組織にいる以上 周りとのバランスを考えて どこかで チカラ加減をする必要がある。が、チカラが入り過ぎて 浮いてしまうというのは 何度も経験してきた。

それでも 自分としては まだ全然できていない感があり 更に努力が必要だと思っているのだから 周りと ズレて当たり前かもしれない。

 
ほんの最近 その上司の更にずっと上、ほとんどトップの位置のかたとお目にかかる機会があった。
どんな話が耳に入っていたのか知らないが とても情熱的で ストレートな
物言いのかただった。

そして なぜか強く握手を求められた。

何かを任されたわけではないから いわゆる出世とは何の関係もない。
今後 引き上げられる位置にも いない。

 
ただ 件の上司の本心は 実は変わってはいなかったのかもしれないと思った。都合よく 甘く見ようとしているのかは 分からないが。


企業内で求められることと 自分の本音は使い分ける。
企業で仕事をするとは そういうものなのかもしれない。

 
今 また上司の異動があって話す機会は全くなくなった。


集められたメンバーに 変更はない。もちろん 筆者が呼ばれることもない。
が、遠い場所からでも 自分なりにバックアップするつもりでいる。
すでに 頼まれていることは ジャマにならぬよう 支援している。

大きな影響力をもつことなど なくてもいい。
かつて受けた恩を 少しでも お返しできれば それでいいと思っている。


< サラリーマンとの二重生活    楽しみでも あるだろうけど
       いそがしさのほかに 何がいちばんタイヘンなんだろうか >


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