2024年 F1第1戦 バーレーンGP 感想

この記事では、2024年 F1第1戦 バーレーンGPについて、私が応援している角田裕毅選手(VISA CashApp RB F1 Team)に関することを中心に感想を書いていきます。

感想

レースを終えての率直な感想として。「開幕からしんど!!!」って感じです。

何がしんどかったかと言うと、シンプルに角田選手にとってフラストレーションのたまるレースだったことです。
予選では惜しくもQ3進出には手が届きませんでしたが、金曜から大きく改善したマシンのパフォーマンスを引き出し11番グリッドを獲得できていて、チームとの連帯感もあり非常に良い流れを作っていたと思います。

レースでもスタートで1つ順位を上げて10位、ポイント圏内を走っていました。トップ5チームに届くペースはありませんでしたが、後方の中団勢に対しては優位にレースを進められており非常に順調な第一スティントでした。

流れが変わり始めたのが最初のピットストップで、DRSトレインの中で詰まっていた周選手(ザウバー)やストロール選手(アストンマーティン)が早めのタイヤ交換に動き始めます。
彼らの狙いは間違いなく新品タイヤで速いペースを刻み、前の車がピットインする間に逆転すること、つまりアンダーカットでした。

角田選手側のRBチームはこのアンダーカットに対してすぐに反応はせず、5周後にタイヤ交換を行いました。しかしこの間に周選手とストロール選手は角田選手の前に。
ストロール選手に対してはペースで上回っておりコース上で抜き返すことができましたが、周選手に対してはペースのアドバンテージがそれほど大きくなく、DRS圏内に入るものの抜けない、手詰まり状態になってしまいました。

結果として周選手が2回目のピットに入るまで抜くことはできず、この1回目のタイヤ交換による順位ロスが今回の1つ目の失敗だったと思います。

その状況をさらに悪化させたのが2回目のタイヤ交換タイミングでした。周選手、ストロール選手は1回目のピットが早めだった分、2回目も早めに入り、また新品タイヤでペースを上げます。
対する角田陣営はまた5周遅れでピットイン、今度は前述の2人だけでなくヒュルケンベルグ選手にもアンダーカットを許し、マグヌッセン選手にもピットアウト直後にやや強引にオーバーテイクを仕掛けられ順位を失い、ハース勢の2台が前に入ってしまいました。

ヒュルケンベルグ選手は10周以上前にタイヤを変えておりペースに差があったため早々に抜き返すことができましたが、マグヌッセン選手はペースが良く、なかなか差を縮められない状況に。
結局、1回目のピットインまで10位を走っていたのが、この時点で13位に落ちています。
角田選手もレース後インタビューで「ピットインするたびに順位が落ちていった」と話していましたが、まさにその通りの展開だったと思います。

さらにここで、後方からチームメイトのリカルド選手が迫っていました。RBチームは角田選手とリカルド選手で作戦を分けており、最終スティントでハードを履いた角田選手に対しリカルド選手はソフトに交換。2人の間には1周0.4秒〜0.7秒ほどのペース差があり、タイヤ交換直後に10秒ほど離れていた2人のギャップはどんどん縮まっていきました。

リカルド選手が角田選手のDRS圏内に入ったあたりで、チームからはポジションの入れ替え指示が出ます。同じチーム内でペースの速い方が後ろに詰まっているときにポジションの入れ替えをすることは当然であり、そのこと自体は問題ないかと思います。

問題だったのは、入れ替え指示のタイミングでした。このとき角田選手もマグヌッセン選手のDRS圏内に入り、オーバーテイクを仕掛けようとプレッシャーをかけているところでした。
当然、最後まで一つでも多くポジションを上げようと奮闘しているところでの入れ替え指示なので角田選手も納得がいかず、指示から1周の間、チームと議論した末にポジションを譲りました。

これでリカルド選手は前に出ましたが結局マグヌッセン選手を捉えるまでには届かず。リアルタイムで見ていた時、最終ラップのセクター2までに抜けなかったため、フィニッシュライン前で角田選手にポジションを戻すのかな?と思っていましたが、順位はそのままでチェッカー。リカルド選手が13位、角田選手が14位でレースを終えました。

これに関しても角田選手は不満を露わにしておりましたが、私も完全に同意見です。
リカルド選手はレース後「チームから指示があれば順位は戻した。いずれにしてもポイント圏外なのでお互いにどこでフィニッシュしても同じ」という旨のコメントをしていました。

確かに13位でも14位でもポイントは入りませんが、私が気になったのは、結果として「リカルド選手が前でフィニッシュした」という事実が公式に残ることです。
予選、決勝のチームメイト対戦成績は常に注目されますし、このレースが終わって「角田は負けた」ということになるのは納得感がないなと思います。

(あまりチームメイトとのバトルにフォーカスしすぎるのも私は嫌なのですが…)予選の4回のアタックラップで全て先行し、決勝も終盤まで前を走っていた角田選手からすれば怒りがあるのは真っ当なことかなと思います。

リカルド選手とのストラテジーの違いについては事前にチーム内でも共有されていたとのことですが、必要だったのはその先の決め事でしょうか。終盤にペースが速いであろうリカルド選手が追いついてきた時にどうするのか、確実に合意が取れていたようには見えないので、この辺りは次に向けてチームが改善してほしいところです。

ストラテジーそのものについても、最後にソフトを履くつもりだったリカルド選手が序盤のスティントを引っ張るのは理解できますが、最後にハードを履く予定だった角田選手に関しては周囲のライバルの動きやペースに柔軟に対応する必要があったと思います。(結果論ですが)

昨年までも戦略によって失うレースが多くあり、今回も同様のレースになってしまいました。この点は新体制でこれからしっかりと強化してほしいと思います。

なお、レース後にはピットへ戻るクールダウンラップ中に角田選手がリカルド選手を至近距離から追い抜いていくシーンがありました。
これに関しては「やるべきではなかった」「もっとクレバーな方法で抗議すべき」との意見が多く、私もその通りかなと思います。

一方で、リアルタイムで見ていた時は不満の感情が爆発した動きなのかなと思っていましたが、マシンを降りたあとの様子などを見ていると、これまでの上手くいかなかったレースの後と比べると落ち着いているなという印象でもありました。
不満がある時はインタビューでもあまり言葉を発さずに終わることがありましたが、今回は淡々と質問に答えており、苛立ちこそ感じるものの、感情が爆発している感じはあまり見えないなと思いました。

戦略のことなど、外から見えること以外にもバックグラウンドで起きていることは他にもあるはずで、行動の裏にあることの全てが分からない以上はどうこう言うのも難しいなとも思います。(今回の行動を肯定するものではないので、悪しからず)

いずれにせよ、今回に関してはレース後の出来事も含め、色々と後味の悪い結末になってしまいました。
一ファンの気持ちとして、角田選手の飛躍を楽しみに待っていたシーズン開幕がこんな形になり、とてもフラストレーションがあります。

チーム、ドライバーのそれぞれに今回のことで見直すべき点があると思います。決して幸先の良い出だしにはなりませんでしたが、残り23戦、長いシーズンが待っていますのでチームとして最大限の成果が得られるように取り組んでほしいなと願うばかりです。

なかなか気持ちの落ち着けどころが難しいですが、早くも来週、第2戦のサウジアラビアGPか行われます。ファンですらそうなのですから、当人たちはもっと難しいと思いますが、角田選手には今回から得たことも活かし、いつも通り100%の力を出し切った気持ちの良いレースができるといいなと思います!

では、また次のレースで🇸🇦🏎️💨

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