F1チーム別 2022年振り返り・2023年展望

はじめに

個人的見解でチームごとに2022年の振り返り・2023年への展望を書いてみました。一ファンの立場で偉そうなことを言ってしまっていますが、気にせず寛大な心で読んでいただけると嬉しいです。

1.レッドブル

2021年、悲願のドライバーズタイトルを掴み王者となったフェルスタッペン、そしてタイトル獲得を強力にサポートしたペレスのコンビで2022年は連覇を狙ってシーズンに臨んだ。

シーズンが開幕すると最初の数戦こそ信頼性の問題などでフェラーリに先行を許したものの、アップデートの投入をするごとに戦闘力を増して行き、首位を奪還。リードしてからは盤石の戦いで差を広げ、日本GPでフェルスタッペンが2年連続のドライバーズタイトルを獲得。アメリカGPで2013年以来となるコンストラクターズタイトルも決めた。
ドライバー・マシンの戦闘力、PUのパワー、戦略やチームのマネジメントといった総合力で他を圧倒する一年となった。

そんな今シーズンを一言で表すなら「フェルスタッペン無双」だろう。フェルスタッペンはチャンピオンを経験し、さらに一回り強さを増した印象。終盤戦は、ライバルからすると余程のことがなければ勝てないと思わされるような圧倒ぶりだった。
特に圧巻だったのは、グリッド降格をあっさりと跳ね返したハンガリー、ベルギーのレースだろう。まさに「手がつけられない」というレベルだった。

ペレスは序盤フェルスタッペンに迫る速さを見せた。サウジアラビアで自身初のポール、モナコで優勝。2年間の契約延長も早々に決めた。中盤から終盤にかけては圧倒的な速さのチームメイトに対し差を開けられたものの、シンガポールでは優勝。日本ではルクレールのミスを誘って2位に入り、フェルスタッペンのタイトル決定をアシストした。
フェルスタッペンにトラブルなどが発生したときに確実にペレスが穴を埋めることで、チームとしては盤石な体制を築くことができていた。

一方で、ブラジルではランキング2位争いをするペレスにポジションを譲るよう、フェルスタッペンに対しチームオーダーが出たものの、フェルスタッペンはこれを拒否。
チームの中で話し合い、問題は解決したと後にレッドブルからコメントが出たものの、2人の無線を聞く限り背景には様々な事情がありそうで、来年以降にどのような影響が出るかは少し気になるところである。

2023年に向けてはドライバー2人ともに複数年契約を持っており、ラインナップを継続。今年の強さをキープできればまず間違いなく来年もタイトル争い最有力だろう。
もし他チームに付け入る隙があるとするならば、上述したドライバー同士の微妙な関係からチームワークに綻びが生じた場合か。レッドブルのマネジメント手腕が問われることになる。

https://twitter.com/f1/status/1608425723387170819?s=46&t=-tsuD4qJdrXJY6kSKlRfQg

2.フェラーリ

2020年の絶不調から徐々に息を吹き返した2021年を経て、今年はチャンピオン争いへの返り咲きを目論むシーズンだった。
開幕戦、復活の狼煙を上げる1-2フィニッシュに始まり、序盤戦はルクレールがチャンピオンシップをリード。コンストラクターズでもレッドブルを上回り、古豪フェラーリの完全復活かと思われた。

しかし、次第に綻びが生じ始める。スペインでは楽々と首位走行中のルクレールにトラブル。モナコではピット戦略のミス。バクーではルクレールにまたトラブル。さらにその後も重なるチームのオペレーションにおけるエラーやトラブル、アップデートの不調、そしてドライバーのミス…
気がつくとコンストラクターズではレッドブルに逆転され、ルクレールもフェルスタッペンに対しては到底届きようのない差をつけられてしまった。
終盤は復調してきたメルセデスに迫られ、ドライバーズでもルクレールがペレスと最終戦まで争うなど、苦しい展開が続いたが、なんとか両方のランキングで2位は死守した。

過去の2年間を考えると、今期のフェラーリは確実に戦闘力が向上した。開幕時点ではNo.1のマシンだったと言える。
ただシーズンのそれ以降に関して、昨年までチャンピオンを激しく争っていたレッドブル・メルセデスと比べると、やはりチームの総合力としてはまだ再建の途上にあると感じられた。
特にレース中の戦略に関しては疑問符のつく采配が目立った。

それぞれのドライバーに目を向けると、ルクレールはその恵まれた才能が戦闘力ある車と重なり、素晴らしい走りを何度も見せた。イモラやフランスなどミスは出たものの、マシンさえあればタイトルを争えるだけの準備ができていることは証明した。
後半戦はレッドブルに対してチームとして遅れを取る中、最終戦アブダビで見せた見事なレース運びなど、奮戦する姿が印象的だった。

サインツは序盤戦にアクシデントでのリタイアが続くなどややルクレールに対して出遅れた印象はあったが、シーズンを通して徐々にキャッチアップし、後半はルクレールと互角の戦いを見せた。
また今シーズンは自身初のポール、そして優勝も経験。持ち味の安定したパフォーマンスは今年も継続して発揮された。

来期に向けてはドライバーラインナップを継続する一方で、チーム代表がマッティア・ビノットから前アルファロメオのフレデリック・バスールへ変更された。
今シーズン何度か起きたチームのエラーが全て代表1人のせいかと言われればそうではないのだが、誰が責任を負うかと考えると、やはりトップが変わるしかないのだろう。
タイトル争いに打ち勝つにはチーム全体としてさらに競争力を上げる必要があるのは明らかであるため、新体制によりどこまで改善できるか注目。

https://twitter.com/f1/status/1607806015646334977?s=46&t=V-VX2KKZtUnCfmpb9CAcTg

3.メルセデス

2021年まで8年連続のコンストラクターズタイトルを獲得、PU時代を席巻していた絶対王者。昨年はハミルトンが最終戦でドライバーズタイトルを逃し、今シーズンはそのリベンジに燃えていた。チームメイトにはウィリアムズで活躍し育成からの昇格を勝ち取ったラッセル。戦う体制は十分に揃っていた。

しかし蓋を開けると、グラウンドエフェクトカーによるポーパシングなど、新レギュレーションへの適応に苦しむこととなってしまった。
その中でも何とか開幕からコンスタントにトップ5フィニッシュを続けたラッセルに対し、トップ争いに戻る糸口を掴むためにあらゆるセッティングを試したハミルトンは、サウジアラビアでまさかの予選Q1敗退、イモラでは決勝で周回遅れのP13と、昨年までの強さからは想像もできないような戦いが続いた。

しかしこのままで終わる王者ではなかった。徐々に状態を上げていくハミルトンがカナダ以降5戦連続で表彰台。ラッセルもハンガリーで自身初のポールを獲得。アップデートを積極的に投入し後半戦も着実に結果を残していった。そしてブラジルでついにラッセルが今期チーム初、そして自身のF1キャリア初となる優勝を果たす。ハミルトンも2位に入り久々の1-2フィニッシュを成し遂げた。

ただ、それでもレッドブル・フェラーリには届かず、最終的にコンストラクターズランキングは3位。8年続いた王座を明け渡すことになった。そしてデビューから毎年ポール・優勝を続けてきたハミルトンの記録もストップ。チームとしては忘れたい1年になった。

来期もドライバーラインナップは継続。今シーズン、ランキングではラッセルがハミルトンを上回ったものの、ハミルトンが試験的なセットアップを終えた後半戦はラッセルに対し予選・決勝ともに先行する場面が多く、7度の世界王者の実力を見せた。
ラッセルも移籍初年度から速さと一貫性を発揮し、特に初優勝のブラジルでは後ろから迫るハミルトンを抑え込むなど、こちらも実力に疑いはない。来シーズン、マシンにタイトル争いをする力が戻った時にこの2人がどんな戦いを見せるのか、早くも楽しみでならない。

https://twitter.com/f1/status/1605665158516334607?s=46&t=-jDuHb9Do9XMQfc6cFAM8w

4.アルピーヌ

今シーズンもアロンソ・オコンのコンビを継続。昨年はオコンの初優勝をアロンソがアシストするなど、良いチームワークを見せコンストラクターズでも5位を獲得。更なる躍進を狙い2022年シーズンを迎えた。

開幕からマシンは戦闘力を発揮し、両ドライバーがコンスタントにポイントを重ねた。一方で信頼性の問題も多く、特にアロンソはトラブルでのリタイアが5回(完走扱いのメキシコも含む)と苦しんだ。
しかしこれはチームの方針として、信頼性を多少犠牲にしても速さを向上させることを意図してマシン開発を行ったためであり、信頼性の問題をカバーできるくらいのパフォーマンスを出せたことは狙い通りであったとも言える。

結果としては、しっかり完走できるレースで上位入賞し続けたことでチームとしてポイントを稼ぎ、目標であったコンストラクターズ4位を達成。チームの躍進を示す実績を残した。

そしてアルピーヌに関して忘れてはならないのが、サマーブレイクの主役となったドライバー人事である。

ハンガリーGP前に今期限りでの電撃引退を表明したベッテルに代わり、アロンソが来期アストンマーティンへの移籍を発表。アルピーヌはその後釜として、育成ドライバーで昨年F2ルーキーながら圧倒的な強さでタイトルを獲得したオスカー・ピアストリの昇格を発表した。
ところがピアストリ本人は直後にSNSを更新し、自身はアルピーヌで2023年に走る意思は無い旨を公表したのである。

彼が書いた文章は「ピアストリ構文」としてネットミームになり一時大流行した

その後明らかになったところでは、アルピーヌは来期もアロンソ・オコンのペアを継続するつもりであり、ピアストリはウィリアムズへレンタル予定であったという。しかしピアストリ本人やマネージャーであるマーク・ウェバーは戦闘力あるチームでのデビューを望み、このプランを拒んだ。

そして水面下でマクラーレンとの交渉を進め、すでに2023年のレギュラードライバーとしての契約を締結していたのだ。最終的には契約認定委員会による審査を経て、マクラーレン側の契約が有効であることが証明され、ピアストリはアルピーヌを離れることとなった。

結果的にアロンソとピアストリという2人のドライバーを失うことになったアルピーヌは、アルファタウリのピエール・ガスリーに白羽の矢を立てた。レッドブル側との交渉の末、ガスリーの獲得を果たし日本GP開催中の土曜日に加入を発表した。
これで来期はオコンとガスリーのフランス人コンビで戦うこととなる。同じ国籍でかつ同い年である2人は少年時代からの確執が噂されていたが、お互いに現在は関係性に問題がないことを強調している。

しかしオコン・ガスリーともにチームメイトに対しては最大のライバルとしてアグレッシブに戦いを挑むタイプのドライバーであり、コース上でのバトルがヒートアップすることは容易に想像できる。
実力としても非常に拮抗していると思われる2人であり、ここはチームのマネジメント手腕が問われるところ。ファンとしては非常に興味深い点となりそうだ。

https://twitter.com/F1/status/1604423730679144449?s=20&t=Y631--r--0wipVqwv6bJoQ

5.マクラーレン

ドライバーは前年に引き続きノリスとリカルドがコンビを組んだ。2021年はノリスが自身初のポールや複数回の表彰台を獲得、リカルドもチームに久々の優勝をもたらし、2022年も力強いパフォーマンスを見せるべくシーズンに臨んだ。

しかし開幕戦では2台そろってまさかのノーポイント。第2戦以降も、ノリスは安定してポイントを重ねるもののリカルドが想定外の大苦戦。結果としては22戦で入賞17回のノリスに対しリカルドは入賞7回と、最後までレッドブル時代に見せたようなトップフォームに戻ることはできなかった。
今年のマクラーレンのマシンは乗りにくい特性があるとノリスも語っており、実際に他チームと比較して相対的なパフォーマンスはやや後退した。最終的にはアルピーヌにコンストラクターズ4位を明け渡すこととなり、悔しいシーズンになったと言えるだろう。

マクラーレンは前述したアルピーヌのドライバー騒動における影の主役でもあった。不振のリカルドに対し2023年まで残っていた契約を破棄、代わってアルピーヌ育成ドライバーであったピアストリの起用を決めた。
来期はノリスとピアストリというフレッシュなコンビで戦うことになる。若くしてF1での5シーズン目を迎える実力者ノリスに対し、新進気鋭のピアストリがどこまで迫れるか、非常に興味深い。

チームを離れるリカルドは古巣レッドブルのサードドライバーとなることが発表された。2024年以降のレギュラーシート復帰へ向けて取り組むことになる。個人的にマクラーレン移籍後の彼のパフォーマンスは本来の力からは程遠いものであったように思う。リカルドのトレードマークである陽気な笑顔がまたグリッドで見られる日は来るのだろうか。

https://twitter.com/F1/status/1603404764854861824?s=20&t=A91Xtec8Xiy0M3HSw7aAEQ

6.アルファロメオ

今年からドライバーラインナップを一新。メルセデスから移籍のボッタスと初の中国人F1ドライバー・周冠宇のコンビになった。
シーズンを通してベテランのボッタスがルーキーの周、そしてチーム全体を牽引する形となった。特に序盤戦はマシンの戦闘力も高く、ボッタスが9レース中7レースで入賞するなど、中団上位での戦いを見せた。中盤以降は他のライバルがアップデートを重ねるにつれ後退したものの、最終的にはコンストラクターズ6位を獲得。昨年の9位から大きく躍進した。

周は昨年F2で3位の成績を残しF1へ昇格したものの、F2の3シーズン目での結果だったことや中国市場からのバックアップを受けてのシート獲得というイメージがあったことから、シーズン前の期待値は決して高いとは言えなかった。
しかしデビューレースでのポイント獲得に始まり、シーズンを通してルーキーとは思えぬ安定したパフォーマンスを発揮。開幕前に浴びた批判を実力で覆して見せたことは痛快であった。

序盤にトラブルが相次いだことや、F1に慣れて周自身の速さが向上してきた後半戦には既にマシンが相対的に後退していたことで、結果こそ6ポイントにとどまったものの、経験豊富なチームメイトに対して先行する場面もあり、2年目のシートを確保するには十分な力を示した。特に、メルセデスではハミルトンとも渡り合ったボッタス相手にウェットコンディションの予選で5戦中4勝と強さを見せたことは印象的だった。

来期もドライバーラインナップは継続。ボッタスは長く望んでいたエースドライバーとしての立場を得て、今シーズン見せたような生き生きとしたパフォーマンスをより高めてチームを引っ張りたい。

周は2年目シーズンでさらなる成長を狙う。特にボッタスに対してレースペースでどこまで差を縮められるか。今シーズンの安定したパフォーマンスをより高いレベルに持っていくことで、ボッタスと共にチームを引き上げたい。2人の関係性も良好であり、2023年シーズンも良い戦いが見られることを期待。

https://twitter.com/F1/status/1602280858886340609?s=20&t=mhx-JwwALlpS8VtS50izgw

7.アストンマーティン

ベッテル・ストロールのラインナップで2022年も継続。開幕2戦はコロナ感染のベッテルに代わりヒュルケンベルグが出場した。
最初の3戦はノーポイントに終わるものの、第4戦イモラでダブル入賞を果たす。その後はスペインで通称「グリーン・レッドブル」と呼ばれる大型アップデートを投入するなどマシンの改良を進め、コンスタントにポイントを重ねていった。
どちらかというと予選よりも決勝のレースペースで強い戦闘力を発揮し、後方のグリッドから着実に順位を上げていく戦いを見せた。

今シーズン大きな話題になったのは、ハンガリーGP前に発表された4度の世界王者・ベッテルの衝撃的なF1引退である。家族との時間を優先し、レース以外の人生に重心を置くことを考え引退を決めたベッテル。彼らしい、優しい理由だった。

そんなベッテルだが、引退を発表した後の後半戦はF1での最後の時間を一つ一つ楽しむように、生き生きとしたレースを見せてくれた。特に、一貫して「一番好きなコース」と公言してきた鈴鹿では凄まじい走りを見せた。

まず予選で見事なラップを決めQ3進出、P9を獲得。予選後に発した無線での "This track is just so much better than all the other ones. Arigato gozaimasu, Suzuka"という言葉は多くの日本のファンの心に触れた。
決勝ではオープニングラップにスピンを喫し後退するも、それを逆手に取った大胆な戦略で順位を上げ、P6で入賞を果たした。最終戦までアドレナリン全開のパフォーマンスを見せ続け、多くのファンに惜しまれながらF1を去ることになったベッテル。彼の残した偉大な功績が忘れられることはないだろう。

2023年シーズンはベッテルに代わりこちらも2度の世界王者であるアロンソが加入する。彼の強烈な速さ・個性が躍進を狙うチームにどう作用するのか。チームメイトであるストロールは今シーズンも度胸満点の走りで持ち味を発揮し、若いながらも経験のあるドライバーらしいパフォーマンスを示した。アロンソと共にどのような結果を出してくれるのか、早くも来シーズンが楽しみである。

https://twitter.com/F1/status/1601494695623872512?s=20&t=mhx-JwwALlpS8VtS50izgw

8.ハース

今年からの新規定で躍進することを目指し、2021年はチーム再建と新車開発にほぼすべてのリソースを注いだ。2022年はその成果を見せるべく臨んだが、プレシーズンテスト中にロシア情勢によりマゼピンとの契約を解消。急遽マグヌッセンが2年ぶりに復帰した。準備も十分でない中で開幕を迎えたが、なんとバーレーンでいきなりマグヌッセンが5位入賞!2年間の苦労が報われる瞬間となった。

その後もマグヌッセンがチームを牽引する一方、2年目のシューマッハはサウジアラビア・モナコでマシンを全壊させるクラッシュを喫してしまう。さらにレースでマグヌッセンと差を開けられる場面もあり苦戦が続いたが、イギリスで念願のF1初ポイントを獲得、さらにオーストリアでも続けてP6で入賞を果たした。

そのまま勢いに乗っていきたかったが、チーム全体として前述のクラッシュで予算にも影響がありアップデートが遅れ、後半はマグヌッセンと共にポイントから遠ざかった。ただその中での大きなハイライトとして、ブラジルでマグヌッセンがトリッキーなコンディションを活かしチーム・ドライバーともに初となるポールを獲得。チームとしての総合力が着実に上がっていることを示した。

2023年に向けてはシューマッハが継続できるかどうかが長らく話題になったが、チームは経験豊富な35歳、ニコ・ヒュルケンベルグの起用を決めた。現行グリッドでは最も若いチームであるハースは、チームを引き上げられるような経験を持ったドライバーを求めていた。様々なチームを渡り歩いたキャリアを持つ2人のベテランが、さらに成長し続けるハースを引っ張ることに期待。

一方でチームを離れるシューマッハについて。彼は1年目にチームの戦闘力がない状態でデビュー、さらに(率直に言えば)ベンチマークとなるにはあまりに差があるチームメイトと組んでいたことで、自らの立ち位置が見えづらい状況だった。
そこから2年目に経験のあるチームメイトのマグヌッセンを迎え、急に見えた現実に戸惑いもあったはずだが、この1年の中では確実に進歩を見せていた。決勝ではマグヌッセンより上位でフィニッシュする回数が多かった。

ジュニアカテゴリでは必ず2年目にタイトルを取るという堅実な歩みを見せていたドライバーであり、F1での3年目となる来期はより大きく成長すると信じていた。個人的には彼が来年のレギュラーシートを掴めなかったことが残念でならなかった。

来期はフェラーリ育成を離れ、メルセデスのリザーブを務めることが発表された。2024年以降のレギュラーシート獲得に向け、すぐにチャンスを掴めるポジションにいられることを願いたい。

https://twitter.com/F1/status/1599829707133886465?s=20&t=mhx-JwwALlpS8VtS50izgw

9.アルファタウリ

前年からガスリー・角田コンビが継続。歴代最高の成績を残した2021年を超える、初のコンストラクターズ5位を目指したシーズンだったが、結果は9位。
序盤こそ中団の中でも戦えていたが、年間を通してマシンのアップデートが遅れ、シーズンが進むにつれ後退していった。
マシンのダウンフォース不足に苦しみ、特に高速コーナーの多いサーキットではどうしようもないという状況だったが、その中でもドライバー2人は奮闘しマシン性能を引き出し続けた。

F1での5年目を迎えたガスリーは成熟したリーダーとしてチームを牽引。レッドブル復帰の願いは叶わなかったものの、その実力はパドック全体が認めるところであり、2023年はアルピーヌへ移籍することになった。
2年目の角田は対チームメイト比較で大きくゲインした。予選・決勝ともにガスリーに対し引けを取らないスピードを見せ、3年目のシートを勝ち取った。初の地元GPも経験しさらに大きく成長した一年になった。

コース外では兄弟のように仲が良く、F1界屈指のおしどりチームメイト(?)でもあったガスリー・角田コンビだったが、2023年は移籍するガスリーに代わり、F2/FEでチャンピオン経験のあるニック・デ・フリースが加入する。

デ・フリースは今年のイタリアGPでウィリアムズから体調不良のアルボンに代わって出場し見事に9位入賞。この結果がヘルムート・マルコの目に留まり、アルファタウリのレギュラーシートを獲得。メルセデスでも長くリザーブドライバーを担当し、「経験豊富なルーキー」である彼は3年目の角田にとっても強力なライバルとなる。

ただ角田も2年間F1を経験しており、すでにガスリーとも対等に戦える速さがあることは証明済み。この2年間で見せた急激な成長曲線が続けば、彼の飛躍に疑いはない。コンビを組む前から良好な関係を持つ角田とデ・フリースの2人が相乗効果を発揮してチームを引き上げることに期待。

https://twitter.com/F1/status/1599118017824178177?s=20&t=mhx-JwwALlpS8VtS50izgw

10.ウィリアムズ

2021年は戦闘力の向上、そしてラッセルの活躍によりランキング8位まで復活。2022年はメルセデスへ昇格したラッセルに代わりアルボンが加入し、更なる躍進を目指したが新レギュレーションの車体に苦しみ、またランキング最下位に戻ってしまった…。

ただ成績こそ低迷はしたものの、群を抜いて直線で速いというマシン特性を生かし、モンツァやスパといったサーキットではポイントを獲得。特にモンツァでは体調不良のアルボンに代わって出場したデ・フリースが初のF1レースで9位入賞するという印象的な活躍を見せた。

オーストラリアではアルボンがハードタイヤをスタートから引っ張り続け、ラストラップにタイヤ交換する大胆な作戦でポイント獲得。アルボンは低迷するチームの中でも奮闘し、1年のブランクを感じさせない活躍を見せてサマーブレイク中に2年の契約延長を発表した。

一方でラティフィは苦戦を強いられた。新規定のマシンに適応できなかったのか、ウィリアムズのマシンと相性が悪かったのか…。個人的には昨年アブダビのクラッシュ後、SNS上で多くの誹謗中傷を浴びたことがメンタル的に影響を与えたことは無視できないのではないかと思っている。
苦しんだ一年の中でも雨のシルバーストーンではQ3進出、同じく雨だった鈴鹿では好戦略で今シーズン唯一のポイントをゲットするなど、光る走りも見せた。
来年についてはF1を離れることが決まっており、進路はこの記事を書いている2022年12月時点では未定だが、彼の明るい未来を祈りたい。松下信治(SF/SGT)いわく、「ラティフィはものすごくハードワーカー」。

そして2023年は育成ドライバーのローガン・サージェントが加入する。一度は資金難でフォーミュラのキャリアを諦めかけた22歳の苦労人が、F2で初年度4位の成績を残しF1昇格。アルボンに対してどれだけ迫れるのか注目。F1バブルの真っ只中にある母国アメリカの大きな期待を背負ってのデビューだが、プレッシャーは感じすぎずに頑張ってほしい。

https://twitter.com/F1/status/1598015251903021079?s=20&t=mhx-JwwALlpS8VtS50izgw

おわりに

チームごとに振り返り・展望を書いてみました。
どのチームについても共通して言えるのは、「来年が楽しみ!」ということでした。
ドライバーが変わるチーム、継続するチーム。はたまた代表が変わるチームなど、それぞれ来年に向けては色々な進み方をしており、どのチームの、どの方向性が成功するのか今からワクワクしています。

今年はレッドブル圧勝で終わったシーズンでしたが、フェラーリやメルセデスも挽回を狙っているはず。さらにアルピーヌやマクラーレンなどトップ3への挑戦を狙ってくるチームもいるでしょう。
変わらず激戦が予想される中団勢も、少しのズレで一気に順位が変動する可能性があり、新レギュレーション導入2年目でまた勢力図が変わるかもしれません。
とにかく見所満載の2023年シーズンに期待して、ワクワクしながらオフシーズンを過ごしたいと思います。

最後までお読みいただきありがとうございました。来年も一緒にF1を楽しみましょう!!

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