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採用ブランディングがついに始動した話〜創業8年目のスタートアップの現場から〜

これは「Funds Advent Calendar 2023」9日目の記事です。

こんにちは!ファンズ(株)というFintechスタートアップで採用人事をしている市丸です。(Xはこちら!
前職では5年間エージェントの立場でたくさんの企業や候補者の方の採用・転職に関わり、今年の3月にファンズへ入社。
初めてのスタートアップ、初めての人事、と、社会人10年目にして新たな挑戦をさせていただけることにとても感謝する今日この頃です。
誰だって今日この瞬間が1番若い!!!

さて、そんな中でもう1つ、初めての挑戦がありました。
その名はそう、採用ブランディング
ファンズでは採用広報専任の担当者はおらず、現状は採用人事である私がメインで担っています。
私が入社するまで、人事は1名で採用+組織を担っている状況でした。
今年3月に私が入社したことで晴れて人事が2名体制となり、リソース的にもいよいよ採用ブランディングに本腰を入れられる状態となったことで、満を持してスタートしたわけです。


このテーマでnoteを書く理由

採用ブランディングに取り掛かりはじめ、自分なりに世の中に転がっているノウハウを探しにいったりするものの、すぐにぶち当たった壁、それは「欲しい情報が無い」
「採用ブランディング」や「採用広報」と調べると、もちろんいろんな記事が出てくるし本もあります。
ただ、当たり前ですが、会社のおかれている状況(成熟度・規模・認知状況・経営陣の理解・かけられる予算等・・)によって話は変わってくるし、「考え方」「フレーム」は世に溢れているものの、より具体には触れられていないものがほとんどで、いまいち解像度も高まりせん。

ということで、あくまでこれは一例でしかないですし、私も初めての挑戦で右往左往しながらやってきた、たった半年強の軌跡でしかないのですが、自分自身の備忘も兼ねて具体的に振り返ってみたいと思います。(ただし、私は幸いにも採用ブランディングに造詣の深い上司のもとで、サポートを受けながら取り組んでいます。この環境にも感謝。)

採用ブランディングを担う同じような境遇の方にとって、少しでも何かの手がかりになればこの上ない幸せであります。

※この記事で触れる内容は全ての取り組みを網羅できているわけではありませんのでご了承くださいmm

前提:ファンズの状況について

先ほど、「会社のおかれている状況によって話は変わってくる」とも書いたので、よりリアルにイメージいただけるよう、採用ブランディング始動当初の前提情報を記載しておきます。

  • 業界:Fintech

  • 成熟度:2016年創業(現在8年目)、2023年3月シリーズD調達済のスタートアップ

  • 従業員数:正社員約60名

  • 採用市場での認知状況:低(ほとんどの人が「会社の名前を聞いたことがない」という状態)

  • 経営陣の理解:有(これは定義が難しいのでいったん主観です。)

  • 予算:㊙(さすがに開示困難ですが、経営陣の理解もあり、主観としては「思い切って承認いただいた・・mm」という気持ちがあります)

  • リソース:メインは採用人事が担当(組織人事・労務は別の社員が管掌)。その他、上司(CFO)・組織人事の2名に適宜関与してもらっています。

やったこと①:バリュープロポジションの策定

バリュープロポジションとは?

バリュープロポジションとは、「対象者のインサイトと、提供者の強みのベン図において重なり合う部分」、つまり、「対象者のニーズが高く、且つ競合他社が十分に提供できていない独自の価値」のこと。
提供者の強みを最も印象深く伝える方法を模索するフレームワークとして用いられています。(定義については諸説ありますので参考程度に捉えてください。)

やみくもに「会社の名前を知ってもらえればいい」ということでは無く、「知ってほしい人に、適切な認知を届ける」ことをしていきたいわけなので、「採用のシーンでファンズが訴求すべきメッセージは何なのか?」を定義しました。

どうやって定義したのか?

バリュープロポジションの検討にあたっては、社外と社内、両方の情報を取得しにいきました。
【取得した情報例】
社外:
①採用市場トレンド(主な採用ターゲットとなる業界・職種ごと)
②競合調査(ベンチマーク企業を5社設定。認知・理解・興味・応募のファネルごとにどんな施策を打っているかリサーチ)
社内:
①入社者インタビュー
②過去採用ファネル分析

↑こんな感じで収集した情報をspreadsheetに集約(実際のスプシです)

入社者インタビュー

情報収集する中で特に参考になったのが入社者インタビューなので、ここだけもう少し詳しく。

インタビュー人数:8名(入社時期・職種をできる限りバランスよく分散)
インタビュー時間:1時間/人
質問項目:下記のキャプチャの通り

当時使用していたインタビュー質問項目のメモ

策定したバリュープロポジション

上記で収集した社内外の情報を踏まえて、ファンズでは4つのバリュープロポジションを策定しました。(実際はより具体的に言語化しています)
①事業テーマ(取り組む社会課題の壮大さ&取り組み方の独自性)
②カルチャー
③働く環境(市場価値に見合った報酬・柔軟な働き方)
④組織体制(メンバーの専門性)

正直なところ、ここまでが最もヘビーであり、約3か月を要しています。
このフェーズに関しては完全にPJT化し、3名(上司であるCFO、組織人事、私)のリソースをしっかり投下しました。

やったこと②:おおよその年間計画を作る

さて、①で訴求していきたい方向性が決まりましたので、次はこれを「実行」に移していくフェーズです。
採用ブランディングが十分に世の中に浸透していくには、少なくとも3年はかかると見込んでいますが、その上で、まずは直近1年間の大枠の計画を検討しました。

採用ブランディングにおける現状分析

マーケティング文脈でもよく語られる、現状分析を行うフレームワークを用いて、下記のようなファネルに分解して考えています。
1.知っている(認知)
2.よく知っている(興味・関心)
3.好意をもっている(好意)
4.選択肢に入る(応募)

上記に当てはめると、ファンズは言うまでもなく最上位の「認知」に課題がある状況でした。

計画を立てる

期初に立てた大まかな計画は下記の通りです。

  • 上半期は『1.知っている ~2.よく知っている』のファネルに注力

    • 【補足】1から取り掛かりたくなりますが、『とにかく認知だ―――!』ということで、最初に「1.知っている(認知)」だけに全力投球をしてしまうと、『名前は知ったけど会社のこと調べにいったら全然情報がない😇』という悲しすぎる事態になりかねないので、認知してくれた人の受け皿になるような、「2.よく知っている」の状態にするためのコンテンツ(資産)作りも同時進行で行うことにしました。

  • 1か月に1コンテンツのペースで露出を行う

    • 外部のパートナーにヒアリングしたところ、やはり認知を獲得するには少なくとも月に1度程のペースコンスタントに露出し続けることが大事、と伺ったため、「何月に何をする(記事露出?イベント登壇?等)か」の計画を立てました。

やったこと③:実行!!!!!!!!

さて、ここからはもう走るのみ!!!考える、走る、考える、走る・・・!
ここからは、実際に上半期に打ってきた施策と併せて振り返り。

実行の際のポイント①:常にバリュープロポジションに立ち返る

始まってみるとついつい「手段」に頭を持っていかれがちですが、各コンテンツの構想段階では、必ず「この企画ではどのバリュープロポジションを訴求したいのか?」を意識するようにしていました。
且つ、インタビューの際には、必ずインタビュイーとなる対象者向けにブリーフィングを行い、「今回の採用ブランディングではこういうバリュープロポジションを掲げていて、今回はその中の『コレ』を訴求するためのコンテンツです!」という導入をしていました。
インタビューでは基本的に自由に話してもらいますが、この「核」をインタビュイーに理解してもらっているか否かで話す内容も変わってくると思っています。

▼実際の事例

▼CEO×CTO対談
適応するバリュープロポジション
①事業テーマ(取り組む社会課題の壮大さ&取り組み方の独自性)

▼CFO×CLO対談
適応するバリュープロポジション
②カルチャー
④組織体制(メンバーの専門性)

▼メガバンク出身社員×大手証券会社出身 社員対談
適応するバリュープロポジション
③働く環境(市場価値に見合った報酬・柔軟な働き方)
④組織体制(メンバーの専門性)

実行の際のポイント②:「話者」を変える

上記のようにコンテンツを作っていくわけなのですが、途中にであることに気付きます。
「なんか自分たちで頑張って発信するだけだと説得力が足りないよな・・これもっと違う角度でも発信できないかな・・」

そこで取り入れたのが『話者を変える』

社内の人だけで発信するのではなく、自社のドメインの有識者や、自社のステークホルダーの方たちに協力してもらい、『別の視点から見たファンズ』を露出し、その説得力を強めることにもトライしました。

▼実際の事例

▼有識者対談
慶応義塾大学の准教授でありながら、複数のスタートアップの社外取締役も務める琴坂先生とファンズCEOの対談。

▼Voice of Stakeholders
ファンズに出資いただいているVC、ファンズの利用企業(法人)、ファンズを利用するユーザー(個人)、と3つの異なる立場の方々にインタビューを行いました。

実行の際のポイント③:Think Leverage!

当社のバリューの1つでもある「Think Leverage」。
Think Leverageとは、非連続な成長のために「小さな力で、大きな成果を上げること。」
採用ブランディングのシーンでこれを考えると、すでに広く認知されている企業さんや特定の誰かの力を借りて、自分たちの認知度向上に繋げること。
これはまさに「1.知っている(認知)」に有効な手段ですね。

▼実際の事例

▼イベント登壇

「スタートアップに関心のある方なら多くの方がご存知のはず!」
な企業の皆さんと並んでのイベント登壇を行いました

▼イベント登壇②

こうしてイベントの告知を見た方やイベントに参加した方が『ファンズって初めて聞いたな』『この人たちと登壇するファンズってどんな会社なんだろう』という具合でそれとなくファンズのことを検索してみたりして、これまでに掲載したような「2.よく知っている」を狙いとして作った記事に辿り着く・・みたいなことを考えています。
もちろんイベントだけでなく、上述した琴坂先生との対談記事なんかもこちらに該当する施策の1つです。
そしてこれもまた、やみくもに「ただ認知度が上がればいい」というわけではなく、「知ってほしい人に、得たい認知を得る」ということが大切なので、対談相手や登壇するイベントについては十分な検討が必要です。これがまたなかなか難しい、、

最後に

つらつらと偉そうに書いてしまいましたが、冒頭にも記載した通り、私は採用ブランディングの識者ではなく、初めての挑戦をしている若輩者であります。(当該領域に知見のある上司の絶大なサポートに頭があがりません・・)まだまだ日々学ぶことばかりで毎月のように壁にぶつかっています。
ただ、採用ブランディングの着手に困り果てている誰かのもとに届き、1社でも多くのスタートアップが世の中に名を轟かせていくほんの小さな手助けの1つになる日がきたら嬉しいなぁと思ってこのテーマで書いてきました。
ファンズでは12月から下半期がスタートしましたが、下半期も引き続き様々なコンテンツをリリースしていく予定です。
またどこかのタイミングで、自分の頭の整理も兼ねてこの記事の続編を書けたらいいな~と思っています(自分の首を絞める)

ファンズは、採用ブランディング担当の私が「世の中に伝えたいいいところ」がありすぎて頭を抱えるほど、魅力溢れるヒトやコトがたくさん揃った会社です。
少しでもご興味をお持ちいただけたら、ぜひこのnoteに載せたインタビュー記事や、下記の採用特設ページを覗いて見ていただけたら嬉しいです。
また、カジュアル面談も大歓迎しておりますのでぜひお気軽に。
直接ファンズのことを伝えさせてください!

それではみなさん、よいお年を・・!♡

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