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防火・防災管理者の資格を取得しました!(後半)

はじめに

株式会社GA technologies、Advanced Innovation Strategy Center(以降AISC)の福中です。本日9月1日は防災の日ですね!今回タイトルにあるように、防火・防災管理者新規講習を受講し、その資格を取ってきましたので、体験レポートとして報告しようと思います!後半である本記事は、どのようなことを学んだのか、その内容に関するレポートです。前半をまだ読んでいない方は、もしよければ以下に先に目を通していただけると嬉しいです!


防火・防災管理者とは?

防火・防災管理者とは何でしょうか?前半の記事でも書きましたが、重要なことなので、もう一度再掲しておきます!

日本防火・防災協会のホームページによると防火管理者とは、

多数の者が利用する建物などの「火災等による被害」を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務(防火管理業務)を計画的に行う責任者

日本防火・防災協会

のことを言います。一方、防災管理者とは、

大規模・高層の建築物等において、地震その他の「火災以外の災害」による被害を軽減するため、防災管理に係る消防計画を作成し、防災管理上必要な業務(防災管理業務)を計画的に行う責任者

日本防火・防災協会

のことを言います。どちらも消防法に基づく国家資格であり、原則として消防庁が実施する2日間の講習を修了することによって取得することができます。なお、防災管理者の資格を取得するためには、甲種防火管理者の資格を有していることが条件になっています。

注意事項

すでに述べたように、今回受けた講習は「防火管理者」に関する内容と「防災管理者」に関する内容の2つが含まれています。しかし、消防法の第36条で規定されている防災管理に関する内容は、その第1項に

第8条から第8条の2の3までの規定は、火災以外の災害で政令で定めるものによる被害の軽減のため~~(中略)~~準用する。

消防法

と書いてあります。これは簡単に言うと、防災管理に関する法律は、防火管理に関する規定である消防法第8条を防災管理の内容に読み替えてOKということであり、防災管理特有の内容のみ新規に追加しているということを表しています。また、区分所有のマンションで置くことが義務付けられているのは、防火管理者であって防災管理者ではありません。そこで本記事では防火管理に関する内容のみ記述いたします。

過去事例から学ぶ

本講習でまず初めに学んだことは過去の事例でした。以下の7つの事例を取り上げ、「なぜ火災が起こったのか?」「問題点はどこにあったのか?」を詳細に説明されていました。

  • 千日デパート火災(昭和47年)

  • 大洋デパート火災(昭和48年)

  • 川治プリンスホテル雅苑火災(昭和55年)

  • ホテルニュージャパン火災(昭和57年)

  • 特別養護老人ホーム松寿園火災(昭和62年)

  • 明星56ビル火災(平成13年)

  • 高円寺南雑居ビル火災(平成21年)

どの火災も犠牲者が多く、とても悲惨な災害でしたが、共通して言えることは「火災の発見の遅れ」「初期消火の失敗」「消防署への通報の遅れ」「避難誘導の不適」「防火設備の不備」などが重なってしまったことでした。歴史にifはありませんが、これらのことは事前の準備(火災への備え)が十全にできていれば防げたかもしれない内容です。

防火管理制度

これら過去の火災を教訓にし、消防法が随時改訂され、火災に対する備えの最新の内容をまとめたものが現在の「防火管理制度」です。防火管理制度は、

  • 火災の発生危険はどのような建物にも常に存在するものである

という認識のもとに立ち、その根源的な考え方として「自分のところは自分で守る」ということを原則としています。これはテナントなどが入った商業ビルだけでなく、居住用のマンションでも同じです。マンション管理組合で運営される理事の中でも、必ず防火管理の責任者をおかなければならないのはこのためでしょう。

防火管理者の仕事

防火管理者として選任された人が行わなければならない業務は、消防法施行令第3条の2に規定されていますが、その中でも特に重要なものとして以下の3点が挙げられていました。

  1. 消防計画の作成

  2. 消火、通報及び避難訓練の実施

  3. 消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備

このように防火管理者が行う業務は、平常時における火災予防を目的とした「予防管理業務」と、火災等の災害が発生した場合に被害を軽減することを目的とした「自衛消防業務」の2つに大別することができます。

1.消防計画の作成

「消防計画」とはその名の通り、火事が起こらないようにどのような対策を行っているのかを明記し、また、いざ火災が起こった際にどのように行動すべきかを想定した計画書を作成することです。フォーマットは消防庁のホームページにあるので、それに従って作成していきます。基本的な項目としては、「防火管理の業務の全体像」「居住者が行う対策」「火災が発生した場合の行動の仕方」「震災対策」「避難訓練」「共用部分における設備等の点検」などがあります。

作成した計画書は防火管理者として就任後、速やかに所轄の消防署に届け出なければなりません。居住用マンションの場合、たいていは先任者の計画書があるとは思いますが、この場合も内容を再度確認し、修正した際も同様に届け出る必要があることに注意が必要です。

2.消火、通報及び避難訓練の実施

定期的な避難訓練の実施はもちろんのことですが、共用部(廊下等)や非常階段部分に段ボール等のものが置かれて通行の妨げになっていないかの確認をすることも重要です。また、いざ火災が起こった際に初期消火活動を行い、被害を最小限にとどめるとともに、けが人がいた際の救護活動や速やかな消防署への連絡(専門用語で通報と言います)が必要になってきます。ちなみに初期消火を行う際の知識として、「消化器やバケツ等で消火できる限界は天井に火が移るまで」ということを学びました。

3.消防の用に供する設備、消防用水又は消火活動上必要な施設の点検及び整備

消防の用に供する設備とは、消火器や消火栓、スプリンクラーなどのことです。消火器が所定の位置にあるか、消火用設備がきちんと作動するのかを点検し、整備を行います。ただし、実際の点検は管理組合の委託先の管理会社が外注すると思います。定期的に「〇月〇日に火災報知器の点検を行いますので在宅をお願いします!」といったような案内が管理組合(賃貸の場合はオーナー)から来ると思いますが、これは消防計画に則った義務として実施されています。これまでは「めんどくさいなぁ」と思っていたのですが、今回防火管理者の講習を受けて正しい知識を学ぶと、改めて「協力しなくては!」と思うようになりました。

居住用マンションにおける防火管理者選任の問題点

今回のブログでご紹介した防火管理者の業務は全体の中のほんの一部です。それでもかなり大変な仕事があり、また責任の重さが伝わったかと思います。企業が所属する建築物であれば、このような防火管理活動は当然であり、組織的な対応はマストになると思います。しかし、居住用のマンションであればどうでしょうか?

実際、居住用マンションだと防火管理者の選任にかなり苦労するようです。なぜなら、資格を取得するのに2日間完全に拘束される研修の受講が必須(しかも有料!)で大変だからです。また、防火管理者になった際の業務(消防計画の作成や避難訓練の実施)やその責任の重さも、なり手を少なくする要因になっていると思います。そしていざ火災になった際にはリーダーとして居住者の避難活動を率先して行わなければならず、高齢の人には体力的・身体的に難しいことも考えられます。(実際問題、火災という極限状態で自分や家族よりも居住者のことを考えて動ける人がどれくらいいるでしょうか?)

そのため、防火管理者を選任する際には押し付け合いが発生し、理事会内でもめることはよくあるようです。結果、実態がどうなっているかというと、資格を取った人に名前だけ借りて、形骸化しているマンションが多くなっているみたいです。しかしながら、これでは火災が起こった際に適切な避難ができず、犠牲者が増えてしまう原因となってしまいます。なので、居住用マンションにおける防火管理者の選任は、「その運用も含めて考え直す必要があるのではないか?」と今回の研修を受けて改めて思いました。

さいごに

防火管理についていろいろ書きましたが、やはり居住者一人一人の「火事を起こさない」という意識が重要であることに違いはありません。「ちょっとした気のゆるみによる火の不始末」が大火災の原因になったという前例がいくつもあります。

本日は防災の日!改めて一人一人が火災だけではなく、台風・津波・地震などのさまざまな災害についての認識を深め、これに対処する心がまえを意識しましょう!

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