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【コラム】令和版CAの魅力

2025年卒の大学生が選ぶ「就職したい企業ランキング」。
その1位を獲得したのは、総合商社の伊藤忠商事です。
しかも6年連続の偉業。

コロナ禍で世界中が揺れた期間が含まれた6年間。
その中でも1位を獲り続ける「最強企業」の力を感じます。

私が就職活動をしていた2008年当時。
その時の同ランキング1位が、全日本空輸(ANA)でした。
コロナショックにより、航空運送事業は大きな打撃を受け、人員削減や事業規模の縮小・変革を求められたことは、皆さんもご承知のとおりです。

その影響もあり、航空業界への就職希望者は減少しました。
学生たちの想いを伺うと、
「本当はエアラインを目指していたけど、数年採用がないので、泣く泣く諦めました」という悲痛な気持ちも数多く聞かれたのが、つい2年前。

そのような状況を乗り越え、昨年からは採用も再開。
今回の同ランキングでも、航空会社の名前が再びランクインしている様子に、情勢の復調を感じました。

ここでふと…
元CAの私が言うことではないかも知れませんが、時代が進めど変わらぬエアライン業界の魅力って何だろう?と、考えさせられるのです。

時代や世代が刻々と変わり、学生と接していても、
「私が学生だった頃とは感覚が違うな〜」と思うことが多くあります。
しかし、エアライン業界を目指す学生にその想いを聴くと、その内容は今も昔もさほど変化がないことに驚かされます。

特にCAやグランドスタッフに対する憧れは、キラキラ感やスマートさ、自身が持つ憧れの女性像を照らし合わせることが多いのだと感じます。
また、海外を行き来するライフスタイルに憧れを持つ方も多いですよね。

私は、
「女性でも引け目なくキャリアを積むことができる仕事」
「女性でも差別なくお給料や待遇を受けることができる仕事」
という視点でCAという仕事を選んだので、「憧れ」というよりも「現実」を重視していました。

一般的には、「幼い頃からの憧れ」と言う印象が強い職業ですが、蓋を開けてみると、私のような現実思考の人間が同期でも多かったように思います。
そればかりか、「憧れ」で入社できた人は…結果的にすぐに辞めてしまう
印象でした。

誤解を恐れずに言うと、総合職など、オフィスで働く職種以外、エアライン業界はある意味「ブルーカラー」のようなもの。
「ブルーカラー」と言っても、会社のブランドカラーではないですよ。笑

とにかく肉体労働そのもの。
(立ちっぱなし・10kg前後の荷物をひたすら物入れに入れる・国際線は8時間以上のFLTじゃないと休憩なし)

常に加圧トレーニング状態。
(客室内は0.8気圧に調整)

そして華奢に見えても、体力自慢の猛者が多い。
(フルセットされたミールカートは1台70~80kg・フィリピンは日帰り当たり前)

短時間でのお弁当や機内食の早食い当たり前。
(基本的にはお腹にたまる米やパン、肉から喰らう!)

よっぽど丸の内や日比谷界隈のランチタイムに見るオフィスワーカーの方がキラキラして(見える)。
けれど、それでもキラキラ感を与えることができるのが、「真のCA力」だと私は思うのです。

それでは、その「CA力」とは?
それは、あらゆる「強さ」から成すものだと思います。

「芯の強さ」があるから、人を楽しませたり、勉強を続けることが出来る。
「信念の強さ」があるから、緊急事態でもお客様をお守りすることが出来る。
「心の強さ」があるから、人にも優しく出来る。
「体の強さ」があるから、たとえ忙しくても元気に振る舞える。
「想いの強さ」があるから、次の世代の方にもその品質を伝承することが出来る。

もちろん仕事だから大変なことばかり。
辛いことや理不尽なことも多くあります。
けれど、そんな「強さ」があるから、いつまでも「憧れ」を与えられる魅力が備わるのかもしれません。

CAという仕事は、その一つ一つの業務にキラキラ要素はありません。
けれど、そのタフさによって磨き上げられた「煌めき」が存在します。
それは、電飾のようなキラキラ感ではなく、内から湧き上がるような輝きに近いのではないでしょうか。

令和になり、性別役割やカテゴライズが減っている今、日系企業でも男性の客室乗務員が増えています。
男性・女性に関わらず、「強さ」も魅力の一つと捉える令和の価値観では、ある意味この時代だからこそ、「CA」という職業が現実的にハマるのかもしれません。

退職した今でも、現役でフライトしている先輩方とお会いすると、
「さすがだな〜」と感心させられることばかり。
色々なものが変化しましたが、今も昔も変わらないものがあります。

そんな「古き良き」素晴らしさを、ぜひ一人でも多くの方にも感じてもらいたいと思います。

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