夜のふかし方
気づけば夜更かしをしている。
昔から夜更かしがとても好き。
誰からの連絡も来ない、ひとりで考えごとができるあの時間。
私にとって絶対に必要な時間。
考え事がまとまって、
夜中に突然仕事が捗ったりする。
映画やドラマに没頭し朝を迎えたりする。
日中は車が絶えない道を一人でふらふらと散歩してみたりする。
夜のふかし方は気分によって様々なのだが、どれも大好き。
これまで何度も“成功者がやっている朝活!”的なインスタ投稿を深夜4時、5時に流し見してきた。私は夜更かしが好きなのだ。
どうかおすすめに出てこないでいただきたい。
でも稀に「今日はちょっと早めに寝るぞ!」と意気込む日がある。
とても大切な仕事の前日や大好きな人と会える前日は、その稀な日になることが多い。
寝支度を済ませ、日付が変わる頃には意気揚々とベッドに潜り込む。
明日を夢見ながら目をつむる…。
寝られない。
寝られるはずがない。
私はまだまだ起きていたい。
明日のためにも眠りたい。でも起きていたい。
いや眠ろう。目をつむりながら、
自分自身と押し問答。
5分後、私の視界には無機質な天井が映っている。最悪だ。
寝ようと思っているので、
起き上がるのも面倒。
電気をつけて読書するのも面倒。
じゃあ眠くなるまでスマホを触ろうか。
これがまた最悪。
一度「寝よう!」と決めたものだから
長尺コンテンツは面倒で見れない。
短いアニメもハマってしまう恐れがあるので見れない。
そんな時に決まって押すのは、
インスタの左下の虫眼鏡。
「あまり興味ないけど…まぁちょっと興味あるか」程度のものが最適化されて流れてくる。
とりあえず眠くなるまでその情報の流れに身をまかす。
この不毛な川下りを始めると、船は転覆するまでとまらない。
船が大きな岩のような気になる投稿に接触すると、謎の思考ムーブが発動。転覆して思考の渦に飲み込まれ沈む。
ある日の謎の思考ムーブ
・ある女優さんが出てきて「キレイだなぁー!」と感心
・Wikiで経歴や作品を見て、その多才さに驚愕
・素で話している様子が見たくなりYoutubeで検索
・舞台挨拶的な短い動画を発見
・「最近ハマっているものは?」の質問に対して女優さんが韓国コスメを紹介
・韓国コスメを検索 →有効成分を見聞きして「これめっちゃいいなぁ」
ここでようやく、ガチガチになった身体や、腕と目の疲れにはたと気づく。
コスメに1ミリも興味のない私は、
当然韓国コスメの良さなどわかるはずがない。
知りたかった女優の素顔など一切見つけることはできない。というか、それを知りたかった理由ももはや自分でも分からない。
そして当然、つらい朝を迎えている。
こうして使い果たした夜は、疲れ切った体を作っただけ。
そういう日の日中、電車・昼食・仕事中にいつも心にふわっと浮かんでくる内なる声。
「お前が持ってるそのスマホの中に、なにかの答えなんてあるはずがない」
誰もがアクセスできて、
誰もが簡単に共有できるものの中に
人生を輝かせてくれる貴重な答えや情報なんてものがあるはずがない。
本当に大切なものは垣間見えもしない。
「私は何を探すためにスマホの中の世界に浸っていたんだ?バカすぎる」と自分に対していつも思う。せっかく楽しみにしてた一日がバッドコンディションで過ぎてゆく。
良いことが一つもない。
こういう日の夜は寝不足もあってか常識的な時間に眠れる。そして朝早く起きる。
体が軽くて、頭も聡明に晴れている。
カーテンを勢いよく開ける。
空が抜けるように青く晴れている。
なんでもやれる気がする。
顔洗ったら今日はちょっとストレッチしてからゆっくり準備をしてみようか。
毛嫌いしていた朝活をしてしまってる。
恥ずかしい。
そんな日は機嫌が良くて元気がいいから、
また夜更かししちゃう。
次の日またちょっとしんどい。
このループを中学生くらいから私はずっと続けている。
私はこれからも夜更かしをする。
夜更かしは悪くない。
(多分悪いけど、悪くないって思わせてほしい)
でも、無駄にスマホを見る夜はもう過ごさない。
何かを思考したり作品に没頭する。
旧友との電話がとてつもなく盛り上がり長引いたりする。
そういう夜はとても貴重で、自分を助けてくれる夜になる。
スマホを見ながら何となく起きてる。
これだけはやめよう。
そこにあなたの探してるなにかの答えはない。
それぞれの良い夜のふかし方を。
夜更かし万歳!
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