ストーブの音は覚えている

中3の時、担任の先生に恋をしていました。
初恋でした。
その先生は社会科の担当で、声が高く、マッシュヘアーで、平成ジャンプの知念侑李くんに雰囲気が似ている人でした。恋フィルターがんがん強めで、ですが!

先生とは少ないながらも、忘れられない思い出がいくつかあります。
中3は受験の年。
私は通信制を志望していたけど、面接くらいは準備しておかなきゃーという感じで。でも、当時、私は別室登校をしていてクラスの輪に入って面接対策を受けることが苦しかったので、先生とサシでやってもらうことになりました。
「間違えたらきっと恥ずかしい思いをする。」
先生とは少し世間話する程度で、親交が深いわけではなかったから、人見知りで考えすぎる私は、決して失敗しちゃだめだ。完璧でいなきゃとぐるぐるしてました。
好きだからこそ嫌われたくない…弱いところを見せたくなかったのかなと、今になって思います。
最低限覚えておく受け答えを、お風呂に入っている時や勉強する前など、常に復唱して必死に暗記に努めました。偉いなあ。

練習当日。
教室に先生と2人きり、机を挟んで向かい合う形で座りました。
誰もいない教室で先生の声とストーブのジリジリという音だけが、響いて、緊張して、寂しかったです。
当たり前だけど、先生って先生なんだよな。とその時実感しました。
先生が質問をして、私が答える。
私は、先生の目を見て、言葉一つ一つをはっきりゆっくりと発しました。
先生は、少しニヤニヤしながら相槌を打って聞いてくれました。
マスクをつけているからどうしても目の動きに集中してしまう。
初めて、はっきりと先生が笑っているところをを見ました。
元々人と目を見て話すことが苦手だった故、先生と目を見て話すことなんて普段無いから、緊張してどうしようもない気持ちしか頭になかったけど、この時の先生の笑顔は今でもずっと覚えています。
周りがぼやけてピントが先生に集中し、時間が止まったようでした。
なんだか焦ってしまって、早く終われーとつい早口になってしまいました。

おかげで、評価の時に「もう少しゆっくり話そうね」と言われる始末。「相手の目が見れなかったら、鼻を見るといいよ」とも言われたので、本当は目を合わせていられてなかったみたいです。練習の成果はいまいち出せなかったですね。
でも結局は志望校に受かりました。モウマンタイ!

他にも、行けなかった修学旅行のお土産をいただいたり、ゲームの話をしたりなど、不登校生ながらも先生との思い出がありました。先生のおかげで勉強を頑張れて、成績もよかったし、学校にも少しずつ行けるようになっていたしで、感謝でいっぱいです。
当時のことを思い出すと恥ずかしくて中学の記憶ごと消してしまいたくなるけど、他の子とは違う特別な経験をしたという事実は大切にしたいと思うから、いつか笑い話にできるまで、これからも大事に温めておこうと思っています。

まあ、のちのお正月で、地元の有名な神社に家族で行った時、先生が知らない女性の方と手を繋いでいるところを見てしまうんですけれども!
うえーん。

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