インドネシアを知る⑬祝祭日について
【1】インドネシアの祝祭日に改めて衝撃を受けた日
インドネシアの祝祭日に、宗教観の尊重を打ち出していること、多様性を国家としてお祝いすること、を打ち出してきた歴史に、衝撃を受けました。
①法的枠組み
衝撃を受けた、内容は、①イスラム教が多数派で、少数派となるキリスト教(②プロテスタント教徒③カトリック教徒、④ヒンズー教、⑤仏教、⑥儒教の6つもの、それぞれの宗派の信仰を公式にも認め、国家祝祭日としていることです。
唯一神への信仰が、国家理念として、定められていて、無宗教であることは認められていないからだといいます。
インドネシアにおいて無宗教(無神論や不可知論を含む)が許されているかどうかについては、複雑な問題です。インドネシアの法律や社会的慣習は、国内の宗教的多様性を認識していますが、同時に一定の制約も存在します。
インドネシアの国民は、身分証明書に宗教を記載する必要があります。これは、公式に認められた6つの宗教の、いずれかを、選択することを意味します。
②社会的・文化的側面
社会的には、無宗教や無神論に対する受容度は、低い傾向にあります。インドネシアは宗教的な国であり、多くの人々にとって宗教は日常生活の重要な部分です。
無神論者や不可知論者は、社会的な圧力や偏見に直面することがあります。
特に保守的な地域やコミュニティでは、宗教的信念を持たないことが問題視されることがあります。
無宗教や無神論に関する公的な表現は、時には法的な問題につながることがあります。例えば、宗教に対する冒涜とみなされる発言や行動は、法的な制裁の対象となることがあります。
日本の政教分離の社会観とは、まったく、違う歴史的な過程を踏む国家社会ですね。
③2023年の祝祭日
今年を振り返って、2023年は、どんな祝祭日だったのでしょうか?
1月1日 新年 (Tahun Baru 2023 Masehi)
※西暦の新年(グレゴリオ暦は、現在西洋世界で最も広く使用されている暦)1月22日 旧暦新年 (Tahun Baru Imlek 2574 Kongzili)
※旧暦の元旦を指し、儒教の宗教的な日としても重要ですが、儒教の信奉者でない中国系インドネシア市民にとっても、伝統的なお祝いの日とされています。2月18日 ムハマッド昇天祭 (Isra Mikraj Nabi Muhammad Saw)
※「ムハマッド昇天祭 (Isra Mikraj Nabi Muhammad Saw)」は、イスラム教における重要な祝日の一つです。この日は、イスラム教の預言者ムハンマドが、一夜にして、遠く離れたメッカからエルサレムへの夜旅(イスラー)と、その後の天界への昇天(ミラージュ)を体験したとされる出来事を記念しています。3月22日 釈迦暦新年(ニュピ)(Hari Suci Nyepi Tahun Baru Saka 1945)
※「釈迦暦新年(ニュピ)(Hari Suci Nyepi Tahun Baru Saka 1945)」は、インドネシアのバリ島で、特に、重要なヒンドゥー教の祝日です。ニュピは、バリ・ヒンドゥー暦の新年を祝う日であり、内省と沈黙の日として、知られています。4月7日 キリスト受難の日 (Wafat Isa Al Masih)
4月21~24日: 断食明け大祭 (Hari Raya Idul Fitri 1444 Hijriyah)
5月1日: メーデー (Hari Buruh Internasional)
5月18日: キリスト昇天祭 (Kenaikan Isa Al Masih)
6月1日: パンチャシラの日 (Hari Lahir Pancasila)
※「パンチャシラの日 (Hari Lahir Pancasila)」は、インドネシアの国家哲学であるパンチャシラの誕生を記念する日です。
この日は、インドネシアの建国の基礎となったパンチャシラの原則が初めて公に発表された日を祝います。
6月4日 仏教祭 (Hari Raya Waisak 2567 BE)
6月29日 巡礼の日 (Hari Raya Idul Adha 1444 Hijriyah)
7月19日 回教暦新年 (Tahun Baru Islam 1445 Hijriyah)
8月17日 独立記念日 (Hari Kemerdekaan Republik Indonesia)
9月28日 ムハマッド誕生の日 (Maulid Nabi Muhammad Saw)
12月25日 クリスマス (Hari Raya Natal)
【2】日本の政教分離
日本の政教分離は、特に、旧憲法体制下の「国家神道」の尊重から、アメリカの占領下での1947年憲法によって、「国家と神社神道との分離」が、強化された背景を持っています。
現行の日本国憲法は、宗教の自由を保障し、国と宗教団体との分離を明確に規定しています。政府は宗教活動に介入せず、宗教団体に対する特別な支援や特権を、本来、認めていません。
実際には、宗教と政治の分離は比較的厳格に守られていますが、神道や仏教などの伝統的な宗教は文化的側面として社会に深く根ざしています。
【3】インドネシアの政教分離
インドネシアは、多宗教国家であり、独立後の国家形成過程で宗教が重要な役割を果たしました。インドネシアはイスラム教が多数派ですが、国家としては、世俗主義を採用しています。
インドネシア憲法は、宗教の自由を保障していますが、政府は公式に6つの宗教間の調和を促進する政策を取っています。また、インドネシアでは、宗教は公共生活において顕著な役割を果たしており、政治と宗教の関係は、複雑です。
日本とは、異なった立法構成で、政教分離を貫いていると思います。
特に、イスラム教は政治的な議論や政策に影響を与えることがあります。
お読みいただいて、みなさま、本当にありがとうございます。
インドネシアを身近に感じて頂けると嬉しいです。
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