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もし今年バンテリンドームにテラスがあったらHRは何本増える?2023 ~フェンス直撃を数えて検証~ 【中間発表】

【追記】テラスではなく、「エンゼルスタジアムのようにフェンスに線を引いたらどうなのか?」という疑問を多く目にしたので追加検証しました。
目次の【追加検証】欄から飛んで見てください。

ホームランテラスが、ほしい。

SNS上のドラゴンズファン界隈で「テラス」の3文字を見ない日はほとんどない。

4月終了時点でシーズンHR24本という異次元のペースを記録したこともあり、テラスを待望する熱が日々高値を更新し続ける中日ドラゴンズ。

一方、黄金期を築いた名将・落合博満が「被弾も増える」という不要派の代表的な意見を出して以降、テラス議論はさらに加熱していく。

「テラスがあれば」と最も感じる瞬間はフェンス直撃の打球を見た時でしょう。

では、そのフェン直を数えたら損するか得するかわかるのでは?
というのがこのnoteの主題です。

昨年同じ調査を行いました。
大変好評をいただき、過去一のヒット作になりました。
読んでくださった方ありがとうございます。


しかし昨年のフェンスに直撃した=テラスがあったらホームランという調査はやや乱暴な気もします。
「フェンスの上に当たったか下に当たったかでも変わるだろう」というような声も何人かからいただきました。

実際、PayPayドームのテラスはライト線、レフト線、センター部分は前側にせり出しておらず、棒で線を引いてフェンスの高さを下げているだけです。

Abf000254667, CC BY-SA 3.0 , ウィキメディア・コモンズ経由で
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Softbankhawks20150509.jpeg

ZOZOマリンのセンター部分に至ってはフェンスも下がっておらず手が加えられていません。

これでは全てのフェンス直撃を一律でホームランとするのはフェアではありません。
そこで今年は新たに基準(後述)を設け、合致した打球のみをホームランとして集計に入れました。
さらに、ミスがないよう該当の打球の映像を全て確認しました。

テラス設置前のフェアゾーンの大きさが現在のバンテリンドームとほぼ同じであるPayPayドームのテラスがそのままバンテリンドームに設置されたと仮定。

球場の大きさを比較できるYAKYUJO.comさんのこちらのサイトにて、バンテリンドームとPayPayドームを比較すれば下記の基準は概ね同意していただけるのではないでしょうか。

結果だけ知りたいよ!って方はこの欄は読み飛ばしてください。

【集計手順】
対象:バンテリンドームで行われた試合
スポナビ 野球速報アプリにて結果欄に
フェンス直撃
フェンスギリギリ
フェンス激突(選手名)
と記載があった打球をJSPORTSオンデマンド(一部巨人戦は録画)を使い該当打球を見る。
基準と照らし合わせてテラスがあればホームランになるか確認し集計。

基準は以下の通り。
ライト線、レフト線→フェンスの上部3分の1に当たればホームラン(目安は329ft表示より上)

右中間、ライトオーバー、左中間、レフトオーバー→フェンスに当たればホームラン
捕球された場合や打球が地面に落ちた場合はその捕球位置、落ちた位置が"完全"にウォーニングゾーン内ならホームラン

センター(広告がない部分)→上部3分の1に当たればホームラン


下の動画の打球はフェンス直撃ですがレフト線で329ftの表示より下に当たっているのでホームランとしてはカウントしていません。

※該当箇所より再生されます

注意

この検証は個人が調べた70試合中33試合終了時点というサンプル数が少ないものです。
極端に盲信しないようお願いします。

前置きが長くなりました。ここから本編に入ります。

総収支

最も肝心な「テラスがあったら得したか損したか」の部分。
HRは18本増えて被弾は13本増えていたので得していたという結果になりました。(裏を返せばバンテリンに阻まれた)

33試合で31本のホームラン性の打球を飲み込むバンテリンドーム。恐ろしや。

テラスで本塁打が増える選手ランキング

続いて個人別の数値。
バンテリンの被害者ランキングと言い換えてもいいかもしれません。

昨年の調査同様今季も今のところビシエドがトップ。
テラスあったら、2軍降格はなかったかもしれません。

次点で石川昂・木下・福永と中長距離打者が並ぶ中、まさかの溝脇がランクイン。
他には石橋・柳のプロ初ホームランが生まれる可能性もありました。

他球団の選手に目を向けると、村上・岡本のような長距離砲、外国人選手が多く名を連ねました。
中山・楠本・野口と長打型ではない選手もちらほら。

※1 テラスでホームランになる影響で次の打者の打点が間接的に減っていた場合、その打者の打点をマイナスしてます。
マイナス数値や打点がHR数より少ない選手がいるのはそのためです。

※2 打点については塁状況で変わる物で運の要素、巡りあわせの要素が絡みます。参考程度に。

テラスで被弾が増える選手ランキング

お次は被弾ランキング。
広くて高いバンテリンの加護を最も受けた選手は誰になるんでしょうか。

1位は試合数が多い分当然ですが中日の選手。
しかし、打者部門と違い2位には他球団の選手が二人ランクイン
「中日はバンテリンに助けられている」とよく言われますが案外そうではない、、のかも?

※失点増については塁状況で変わる物で運の要素、巡りあわせの要素が絡みます。参考程度に。

チーム別収支

冒頭に中日は5本増える計算になると書きましたが、他球団はどうなのでしょうか。

本塁打

バンテリンのベスト被害者球団は貫禄の+5で中日という事がわかりました。

他球団は試合数が少ないということもあり、ほとんどが±1の間に収まりました。

得失点

得失点別で見ても中日が1位。

※打点、得失点については塁状況で変わる物で運の要素、巡りあわせの要素が絡みます。参考程度に。

勝敗の変動

「本数増えても勝てなきゃ意味ないじゃん」
ではHRが増えていたら拾えた試合はあるのか見ていきます。

1勝3敗が1勝3分けになりました。
数値だけ見れば得してますがかなり強引なデータなので下記の※を読んでくださいね。

※1 テラスありの場合同点だった時は延長を考慮せず強制的に引き分け扱いにしてます。
※2 点差、塁状況、守備シフトの変化、その後の継投策、戦術の変化など運や多くの変数が絡み合っているので参考程度で考えてください。
あくまでこれは「結果論」です。

順位の変動
完全版にて加筆予定

【追加検証】テラスではなく、フェンスに線を引いただけなら?

テラス設置というのは億単位の費用(PayPayドームは2,3億ZOZOマリンは4億)がかかり貧乏球団の中日ドラゴンズにとってテラス設置ができない理由の最たる例でしょう。

さらにテラスを作ると救急車を通す導線が遮られてしまうという消防法の問題もあるのではないかという噂もあります。

そこで一部ファンの間では「エンゼルスタジアムのように線を引くだけなら解決するのではないか?」という提案をよく目にします。

※大谷のフェンスは越えなかったものの線を越えたためHRになった打球

そこでフェンスに線を引いた場合ならHRと被HRはどれだけ増えるか追加検証を行いました。

検証方法は上に同じですが、基準を一律フェンスの半分より上に当たればホームランに変更しました。

半分より上というのは私の主観が入ってしまう可能性がありますが、フェンス広告に明らかに当たっていないというのを目安として映像を確認しました。
結構厳しめにとったので、映像を見た方はどれも半分より上だと思っていただけると思います。(基準の変更により減る選手が大勢いますが、逆に増えた選手もいます。)

それでは結果をどうぞ。

総収支

基準を変えても黒字は継続。
テラス調査からは11本減。

個人別HRが増える打者

ビシエドが変わらずトップ継続。

個人別被HRが増える投手

基準の変更で九里が0本、高橋が2本に。

チーム別総収支

ベスト被害者球団は変わらず中日。

まとめ

検証の結果、33試合終了時点でホームランは18本、被弾は13本増えるということになりました。
70試合換算だと約38本増、被弾は約28本増ペースです。

昨季の検証はHR30本増、被HR29本増なので、フェン直付近の打球を数える調査から0〜10本の得が予想できます。

しかしたった1年半のサンプルだけ見てテラスを全肯定するのは時期尚早でしょう。

そこで、先行事例であるZOZOマリン、PayPayドーム、楽天モバイルパークのテラス導入前後の数値を見ていきましょう。

球場名は現在のもの
収支の数はホームチーム目線

上記の数を見ると+10から-10前後に振れる可能性があることがわかります。
もちろん屋外屋内の違い、選手の違いなど様々な要因がありますが、テラス設置で収支は±10前後変化すると予想するのは大きく的を外してないように思えます。

もちろん、長打が打てるような育成法を取り入れる。被弾を減らすため奪三振が取れる投手を育成するというような取り組みがあってこそでしょう。
具体的な話はこちらのロバートさんのnoteがとても勉強になるのでぜひ読んでみてください。


ここからはみなさんの価値観によって見解が変わると思います。
+10になるかもしれない、-10になるかもしれない、はたまたトントンかもしれない。
いろんな意見があっていいと思います。
しかし、否定派の代表意見である「被弾の方が増える」という論理は必ずしもそうではないと言えるでしょう。

おまけ(テラス席の単価)

テラスによって球場を狭くするという観点はプレーする側、観戦する側の話ですが、球団運営の面で見れば付加価値の高い席を増やせます

先行事例を見てもテラス席の単価は通常の外野席より高く、収入増も見込めます。
※代表的な席種を記載

PayPayドーム(約340席)
外野指定1500円~3500円
テラス席4800円~7000円

ZOZOマリン(302席)
外野応援指定席1000円~4000円
テラス席2000円~6000円
※全席ダイナミックプライシングのため、さらに変動する可能性あり

楽天モバイル(90席)
外野指定席レフト3300円~
レフトEウィング指定席4700円~
※全期間の価格一覧表が無かったため、6月11日(日)中日戦の価格表を使用

なんならPayPayドームみたいにテラス席にネーミングライツもつけちゃいましょう。

バンテリンドームでもdocomoシートがあるので不可能な話ではないと思います。

億単位の費用、消防法の問題、会社内の反対勢力(?)作れない理由はたくさんあります。
でも、作る理由も探せばたくさん転がっています。


試合の価値を決める要因はもちろん勝ちか否かだと思います。
しかし、どれだけ強くても4割は負け、弱かったら6割は負けます。

例え負け試合でもホームランが出れば球場からの帰り道、観戦後の食事の時「負けたけど、あのホームランは見れてよかったよね」と言えるだけでその試合の価値が高まると思います。

5月14日神宮での試合。村松のプロ初ホームランをグランドスラムで飾った試合は敗戦したもののファンはどこか満足げだったと記憶しています。

個人成績の観点で見ても、バンテリンを出たアリエルマルティネスは交流戦終了時点でキャリアハイを更新。
シーズンHR20本も射程圏内です。

テラスによって直接的な本数増に加え、HRが打てるんだという自信がつき、他球場での本数アップという副次効果も見逃してはいけません。


さあ、皆さんの意見は?

今季ホーム最終戦後に完全版を投稿予定です。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。

データ参照:プロ野球-スポーツナビ

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