SXSWは「未来との接点」を作る場所、という話 @SXSW Meet Up 2018
東京と大阪でそれぞれ行われたSXSW2018のミートアップイベントにて、表題の内容で少しお話したので、その内容をまとめます。
資料全体は以下のSlideShareより。
※SlideShareのドキュメントをここにEmbedできたら便利なんですが、現状はできないようです。noteとSlideShareの相性はいいと思うのですが・・・
SXSW Meet Up 2018 - そこは「未来との接点」をつくる場所
さて、今回は初めてSXSWを視察される方/出展される方を対象にしたイベントだったので、一般的な情報を中心にしたことと、持ち時間が20〜30分程度だったので、比較的コンパクトな内容にまとめています。
望月個人として、ミートアップイベント自体は2014年から毎年スピーカーとして登壇する機会を頂いていますが、参加人数は過去最高レベルだったのではないでしょうか。東京はざっと見た感じ、150名以上は参加されていた印象です。
スライドの内容を搔い摘みながら、要点を書いていきます。
前述のようにスライドはアップしてますので、全容はそちらでご確認ください。
まず、SXSWは大きく3軸で行われますが、もともとは1986年にMusicフェスとして始まったイベントです。その後に、InteractiveとFilmが90年代半ばに加わり、現在のような形になってます。ローカルから生まれたフェスティバルがどんどんと成長し、世界トップレベルの経済効果を生み出すに至るSXSWのあり方をリサーチするために訪米する人も少なくありません。
上記に書いている参加人数などのデータは、SXSWオフィシャルで全て公開されています。こちらで確認できます。
また、イベント自体の幅の広がりも膨大で、セミナー/展示会/ミートアップ/Gaming Expo/SX Create・・・など、1週間も満たない期間の中で様々なイベントやセッションが行われるので、SXSW公式としても「カオスである」と表明しており「その全てを把握することは不可能である」と言っているほどです。
エリアサイズとしては、渋谷のメインエリアくらいの広さ、と考えるとわかりやすいです。コンベンションセンター/ホテル/レストランなどを会場に、様々な企業やスタートアップ、ミュージシャンによるイベントが広いエリアで行われているので、歩きやすい格好や靴で参加する方が良いでしょう。
さて、そのようなSXSWの中での我々のアプローチですが、
2014年から4年ほど連続してTrade Showに出展しています。また2017年においては、公式スピーカーとして初のパネルセッションにも参加しました。
振り返ると、4年間で23個のプロトタイプを開発/展示しており、そこから様々な「ビジネス」が生まれてきています。
僕らは「プロトタイピング起点での拡張を目指す」ことを主とし、2016年より「Prototype to Business(P2B)」というコンセプトを掲げて新しい領域への踏み込みを行っています。その中で目指す拡張領域としては、
この三つが、大きく挙げられます。
(1)新規事業のスタート、に関して言えば、SXSWに出展したプロトタイプから4つの事業が生まれています。
(2)新しい受託の獲得、でいえば、出展により僕らのケーパビリティが直接見えることで、新しいクライアント/パートナーの獲得に寄与しています。多くは日本企業ですが、グローバル企業で日本にブランチがある会社とも幾つか、新しい業務が生まれています。
(3)リクルート、も実はかなり大きい影響をもたらしてくれます。クライアントワークではないオリジナルアクションを積極的に行い露出を図ることで「独自に挑戦してみたい」という学生たちや中途採用者に一つの道が提示でき、いい影響となって届いています。
そのような活動/影響を経る中でSXSWとはどんな場所か、という僕の見立てを述べると、
ただ、ここで重要な視点として、
未来につながる接点をつくる、と言っても、ただフェスティバルに参加するだけでは「接点」はつくれない、ということです。
先にも述べたように膨大な数のイベントが広大なエリアで行われているので、そのキャッチアップは大変ですし、なんとなく行って未来がわかるという類のものではありません。ですので、
ある目的意識をもって、自らが歩み寄って触れることで「接点」が生まれ、新しいビジネスに通じる扉が開きます。
自分から探し、交渉し、繋がりを作るフェスティバルであるので、僕はSXSWを「フリーマーケット型」のフェスティバルだと捉えています。
ということで、接点作りのために「準備が必要」になりますよ、という話に繋がります。
ここで準備への視点を2軸(視察と出展)に分けます。まず視察ですが、
視察の場合は、大きく分けて三つの参加フレームがあります。
ですが、実はこの数が半端なく、
◯セミナー = 2000個を超えるセッション数
◯トレードショー = 620社を超える出展社
◯イベント&パーティ = 1000を超えるパーティー
が、5日くらいの中で行われます。
ですので(先にも述べたように)何も考えずに飛び込むと、あっという間に終わるような印象を受けるでしょう。
セミナーは2000以上あり、会場も一箇所ではなく複数に分かれているので(最近は距離がグッと近くなったとの話ですが)どのセミナーを見るのか?のしっかりしたスケジュール立てが1日単位で必要になります。ただ、人気のセミナーは数時間前から並びますし、ギリギリに行くと入れないセミナーもあります。入れない場合どうするか?のバックアッププランも合わせて考えた方がいいでしょう。
このように、渡航前からフェスティバルの内容を事前にリサーチし「どう動くか?」を組み立てる必要があります。その際に、最もシンプルかつ、効果的な準備の方法として、
SXSWの公式アプリを事前にDLすることをおすすめします。
今日現在で既にセミナーのリストは公開されてますし、パーティーやミュージックアーティストなどの検索もできます。
気に入ったセミナーやアーティスト、企業は都度ブックマークできますし、セミナーの場合はスケジュールリストにこれらが反映されます。目的としているネタがいつ、どこでやっているかの確認がすぐにできるので、空き時間にチェックしてポチポチとブックマークすると良いでしょう。
また、もう一つ有効な使い方として「SX Social」との連携があります。SX Socialとはバッジ購入者が参加できるSXSWのソーシャルリストのことで、どこの国の、どんな企業の、誰が参加しているのか、ということが確認できるものです。ソーシャル機能がついているので、フォローしたりDMを送ることも可能です。
ここで重要なのが、このSX Socialでフォローしている人の「ブックマークリスト」も同時に閲覧できる、ということです。ですので、もし事前準備ができない人は気になる誰かをフォローしておくと、そのフォロワーの日々の動きがなんとなく把握できるので、その人が気になっているイベントに参加する、というやり方もできるでしょう。
次に出展側の話に移ります。
これは、Trade Showに参加する人がどんな属性か、どんな割合で参加しているかのデータです。この辺りの情報も、前述のこちらから確認できます。
ご覧のように、幅広い層の参加者がいますが、94%以上が何かしら職を持っている人である、ということです。裏返せば、彼らも新しい未来ビジネスのリサーチのためにきている、ということです。
そのような人たちに向けて、自社プロダクトやサービスをどう伝えるか?が重要になります。そこで、
Why / What / Howの流れから、展示する作品について振り返ってみるとよいと考えています。手前味噌ですが、この辺りの思考フレームに関しては以前「Connective Design、というデザイン」という記事で述べているので、もしよければこちらも参照ください。
特に初出展となるとプロダクト自体の展示に注力しがちですが、SXSWはテクノロジーがもたらす未来のあり方/ビジネスを目撃する場所です。その視点で考えた時に、How(=どう実現しているか)という具体の話だけでなく、Why(=なぜそのテーマに向き合っているか)とWhat(=そのテーマに向き合うことで生まれる新しい価値は何か)があってはじめて、未来のあり方に対しての注目が生まれると考えます。
ですので、ポテンシャルやヴィジョンといったものを感じさせる説明が必要になります。そこを明らかにし、どんな質問がきても打ち返せるようなスタンスにすることで、より深いコミュニケーションが可能になります。
来場者は様々な人がいるので、質問も多岐に渡ります。様々な角度から説明を求められた際、口頭のみだと伝えにくいケースが往々にしてあります。そこでiPadやドキュメントシートなど、スライドになっているものを用意すると色々と役立つでしょう。チーム内での意識統一もできますし、説明に疲れた場合もタブレットを手渡し、読んでもらうように促すこともできます。
P10未満くらいの短いドキュメントでかまわないので、Why / What / Howの説明につながるシートがあれば、展示をより簡単に乗り越えることができます。
最後になりますが、
接点作りのために準備が必要になると長々と述べましたが、最も大事なのは、
これに尽きます。
フェスティバル=お祭り、ですので、ちょっとの失敗があってもそれも経験と割り切り、全力で楽しむことが最大の成果をもたらすでしょう。
SXSWまで残り数日、一番楽しい時間を過ごすために余念なくいければと思います。もし現地で僕を見かけたら、気軽に声をかけてもらえれば幸いです。
オースティンの最高に美味しい地ビールで乾杯しましょう!
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