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ガザの女性ボランティアたちが戦争の心の傷と向き合う~心のケア研修~

こんにちは!コロナウイルスの影響で剣道ができず、ちょっぴり悲しいJVCパレスチナ事業・現地インターン生の齊木です。剣道は20年くらい続けているので正直やり飽きていましたが、半年もブランクがあると流石に寂しくなってきます。

20年剣道を続けてわかったことですが、剣道で勝つためには自分の心理状態がとても大事です。メンタル面で問題を抱えていると本当に勝てなくなります。なので僕も現役時代はメンタル面を整えることを常に意識してきました。

メンタル面を整えるといえば、先週ガザでは、5月の戦争で心に傷を負った女性ボランティアたちを対象にした「心のケア研修」が行われました。この研修は、ボランティアの女性たちが同じようにコミュニティで傷を負った人たちに適切な対応ができるようにする、という目的で行われました。今回はその内容について紹介します!

1.アイスブレイク                                                                 初めに行われたのは、ジェスチャーゲームやウォーターバランスゲームによるアイスブレイクです。ここで参加者の女性たちは親睦を深めました。ウォーターバランスゲームとは、下の写真のように水の入ったペットボトルを手の上に乗せ、バランスをとるゲームらしいです。

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2.トーキングセッション                            次に、戦争で家族を亡くした女性によるトーキングセッションが行われました。このセッションで話をした女性は、20歳の脳性まひによる機能障害を抱えていた息子を3年前に亡くしました。彼女は泣きながらその心境を語っていました。とても明るい息子さんだったようで、今でも夢に出てくるそうです。

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3.「生命の木」アクティビティ                        生命の木アクティビティ(英語ではtree of life activity)とは、もともとは南アフリカにおいて子どものHIV患者のために行われたものです。木が書いてある絵に参加者が体験したことや人生において大切だと思う要素を書き込み、参加者同士で発表し合います。それによって、参加者にトラウマを再び与えることなく、参加者の心のケアを行うことができます。ガザの心理研修でも女性たちがグループに分かれ、お互いの体験を共有しました。このアクティビティを通じて、参加者の女性たちは戦争によって失った自己肯定感を回復させるとともに、参加者同士の関係性も深まりました。

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4.ダンスセッション                              研修最後のセッションとして、参加者たちは風船を使ったダンスをしたり、音楽にのって歌を歌いました。女性たちは戦争による心的ストレスを発散するとともに、今回の研修を良い思い出として終わらせることができました。

途中、感情を解放する場面では多くの女性ボランティアたちが涙を流していたそうで、「彼女たちがたくさんのストレスを抱えていたことがわかり、このセッションがいかに必要なものだったかを感じた」とパートナー団体の保健師・ラナさんは言っていました。このように、このセッションは戦争の心の傷だけでなく、それ以前に受けた心の傷を解放する場にもなっていたようです。

つい最近まで、日本でもガザ地区での空爆のニュースが盛んに報道されていました。この事実について知る人は多いと思いますが、戦争によってどれほど多くの人が傷ついたのか、ということまで知る人は少ないのではないでしょうか。JVCパレスチナ事業はこのような現場に即した情報を発信しています。少しでも多くの人にパレスチナで生きている人たちの声や実情を知ってほしいと願っています。


JVCのパレスチナ事業では、現地に暮らす人びとの意思を応援する形での支援を行なっています。また、パレスチナの問題を日本社会にも伝えることで、一人ひとりが取り組むための橋渡し役を担うことも試みています。 サポートしていただいた分は全額、JVCのパレスチナ事業に寄付いたします。