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勇者たち一行~村の祭り~

勇者たち一行。今夜は村で年に一度開かれる祭りに招待された。

村で一番大きな広場にすべての村民が集まって行われるこの祭り。
元々は五穀豊穣を願って行われ、生贄を用意するなど物騒な習わしがあったが、時代の移り変わりと共に今では若者と年配者の交流や村で作られている伝統工芸を来場者に売って利益を得たりと地方創生を目的とした祭りに変化を遂げていた。

広場の中心では焚火が煌々と燃えており、火に照らされた村民たちは地元で採れた作物やお酒に舌鼓を打ちつつ、楽しそうな表情を浮かべている。

 舞台上では村長の挨拶が始まり、その中で勇者たち一行は1人ずつ紹介された。魔王を倒すために旅を続けていると村長が言った部分で、村民たちからは拍手が上がり顔を赤らめた勇者たちは、嬉しい気持ちになった。

そして毎年この祭りで一番の盛り上がりを見せる「カラオケ大会」がスタートした。流行りの曲から往年の名曲まで各々が気持ち良く歌を唄い、村民たちも独自の掛け声と手拍手、カラダを横に揺らして楽しんいる。
その時、司会の男性がマイクを通して勇者たちに向かって一曲どうかと声を掛けてきた。

勇者たち一行が顔を見合わせて思案していると、村民たちからは手拍子や歓声があがり、歌を促す空気が祭りを包んでいる。

村長も勇者たち一行の前に歩みより、村の為に一曲お願いしますと頭を下げてきた。断るわけにもいかず、勇者たち一行は何を唄うか作戦会議を始めた。
勇者『盛り上がる曲って何かな?』
戦士『ロックなら何でもいいんじゃねーか』
賢者『みんなが知ってる有名な曲が良いと思うよ』
遊び人『俺はアニソン専門だからな~』

司会者に促され、勇者たち一行が舞台に上がると歓声はひと際大きくなった。
セレクトした曲は嵐の『Love so sweet』
イントロが流れ、Aメロを唄おうとしたその時だった。
勇者たち一行の前にバブルスライムが現れた。

 

ひとり~の小さな手~♬なにもできないけど~♬それでもみんなの手と手を合わせれば♬何かできる♪何かできる♪